
コリドラスは水槽の「お掃除役」として人気ですが、「コケも食べてくれるの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
実は、基本的にコケ取り効果はほとんどありませんが、例外的に口にするケースもあります。
本記事では、コリドラスの食性とコケとの関係、さらに効果的なコケ対策生体まで詳しく解説します。
コリドラスはお掃除役?

そもそも、コリドラスは本当にお掃除役になるのでしょうか。
コリドラスは基本的に水底、それも底床の真上で生活し、砂利などの隙間に入り込んだ餌を探し出して食べています。
魚の餌は最終的に底に沈むため、ほかの魚の食べ残しを食べてもらう、という意味では、確かにお掃除役にぴったりです。
しかし、コリドラスそのものが大食漢で、ほかの魚の食べ残しでは足りない場合がほとんどです。
少しずつ痩せていき、そのうち弱ってしまいます。
お掃除役として飼われているコリドラスがあまり長生きしない理由のひとつはこれです。
コリドラスには専用タブレットフードをちゃんと与え、ほかの魚の食べ残しはおやつ程度に考えておいたほうがいいでしょう。
さらに、コリドラスはフンの量も多く、水を汚しやすい魚です。
コリドラスが「掃除」するのはあくまでも他の魚の食べ残しだけで、水質を保つわけではないことも、覚えておきましょう。
そのため、お掃除役のコリドラスを入れているから水がきれいになる、と考えるのは間違いです。
コリドラスはコケを食べる?

コリドラスは雑食性のナマズで、水底に落ちているものなら大抵のものは食べます。
ところが、あくまでも落ちているものを食べるので、しっかりと根付いて生えているものは食べません。
水草がコリドラスに食害されることがほとんどないのはこのためです。
同様に、ガラス面や流木などに生えたコケを食べることもありません。
まれに、お腹を空かせた個体がコケにかじりついていることもありますが、少なくとも水槽がきれいになるほどコケを食べることはありません。
ただし、例外的にコリドラスが柔らかい種類のコケを口にすることはあります。
例えば、水草の葉に生えたごく薄い新芽状のコケや、水槽内を漂って沈んだコケ片などです。
これは雑食性ゆえに口にしているだけで、好んで積極的に食べるわけではありません。
そのため、コケ取り要員として期待できるレベルには至らず、あくまで偶発的な行動と考えておくべきでしょう。
コケの抑制を期待してコリドラスを入れても無駄なので、コリドラスそのものが飼いたいわけではないのであれば、飼育は考え直した方がいいでしょう。
コリドラス・ピグミーはコケを食べる?

コリドラス・ピグミーは体長3cm前後と非常に小型で、群れで中層〜底層を泳ぎ回る愛らしい種類です。
食性は他のコリドラスと同様に雑食性で、落ちた餌や柔らかいコケ片を口にすることはありますが、根付いたコケを積極的に食べることはありません。
体が小さいためコケ取り能力はさらに限定的で、コケ対策は別の生体や掃除で行う必要があります。
コリドラス・パンダはコケを食べる?

白と黒の模様が特徴的なコリドラス・パンダも、基本的な食性は他のコリドラスと同じです。
底砂の上や隙間に落ちた餌を探して食べますが、ガラス面や流木などに生えたコケを積極的に食べることはありません。
まれに柔らかいコケ片をついばむことはありますが、コケ取り生体としての効果はほぼ期待できません。
コリドラス・ステルバイはコケを食べる?

オレンジ色の胸びれと白い斑点が美しいコリドラス・ステルバイも、雑食性で底砂上の餌を中心に食べます。
コケに直接かじりつくことはほとんどなく、柔らかいコケ片や偶然口に入った藻類を食べる程度です。
サイズはやや大きめですが、コケ取り能力は他のコリドラスと変わらず限定的です。
コケ取りにおススメなのはオトシンクルス&エビ
逆に、ほかの魚の食べ残しを掃除する効果はまったく期待できないけれど、コケ取りに絶大な効果を発揮する魚がいます。
オトシンクルス

オトシンクルスは口が吸盤状になった小型のナマズで、体長は約4センチとコリドラスとあまり変わりませんが、細身なのでボリュームがまったく違います。
この吸盤状の口でガラス面や流木に張り付きながら、コケをこそぎ落として食べてくれます。
オトシンクルスの場合、主食がコケの仲間(藻類)なので、かなりの効果が期待できます。
その代わり、コケが生えていない水槽でオトシンクルスを飼うのは、餌の面でやや困難です。
また、大型水槽のコケ取り要員としてセルフィンプレコなど大型プレコが飼われていることがあります。
プレコの仲間はコケ以上に水草をよく食べるので、水草を育成したい水槽には不向きです。
また、気が荒い種もおり、混泳に向かないこともあるので注意しましょう。
ヤマトヌマエビ

また、糸状やひげ状のコケはオトシンクルスも食べないのですが、こちらにはエビの仲間が有効です。
特に、昔から知られているヤマトヌマエビは体が大きく、糸状コケやひげ状コケをみるみる食べて減らしてくれます。
一回り小さなミナミヌマエビはヤマトヌマエビほどのコケ取り効果はないものの、小型水槽にはちょうどいい戦力となります。
また、水槽内での繁殖も簡単で、いつの間にか殖えていることも少なくありません。
一方、観賞用として人気のレッドビーシュリンプの仲間は、あまりコケを食べないようです。
コリドラスはコケを食べる・食べない?【まとめ】
コリドラスは雑食性で落ちている餌や柔らかいコケ片を口にすることはありますが、コケ取り要員としての効果は期待できません。
水槽のコケ対策には、オトシンクルスやヤマトヌマエビなど専門のコケ取り生体を導入しつつ、飼い主が定期的に掃除を行うことが重要です。
コリドラスはあくまで観賞魚として魅力を楽しむ気持ちで飼いましょう。