
ビーグルは明るく活発で屋外活動が得意な犬ですが、実は外飼いにはあまり向いていません。
それでも事情により外で飼う場合には、気温や湿度など季節ごとの対策が欠かせません。
この記事では、夏・冬・雨期それぞれでビーグルが快適に過ごせるポイントを紹介します。

ビーグルは外飼いできる?

猟犬出身なこともあり、身体は筋肉質で屋外の活動には向いています。
ビーグルはダブルコートと言って上毛と下毛がどちらも生えている犬種なので、体温調節が得意で暑さや寒さにも強い傾向にあります。
しかし、冒頭にも書いた通りビーグルは集団で暮らす習性をもち、寂しがり屋で甘えん坊な性格の子が多いのでひとりで長時間過ごすというのはその習性に反しているのです。
稀に人嫌いで構われるのが苦手な性格の子もいますが、そういう場合を除いて、決して外飼い向きの犬種とは言えないでしょう。

犬の外飼いは通報されることがある?法律上の扱いを解説
ひと昔に比べて犬を外飼いされているのをめっきり見なくなったと思いませんか?
そこで、「実は知らないうちに犬の外飼いが法律で禁止された?」と思う方もいるようですので、整理しておきましょう。
犬の外飼い自体は法律で禁止されていない

まず結論から言うと、犬を外で飼うこと自体は違法ではありません。
日本では「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」が定められており、飼育方法の自由はありますが、虐待や適切な環境を与えないことは法律違反にあたります。
つまり「外飼い=即違法」ではありませんが、
- 極端な暑さ・寒さの中に放置する
- 鎖が短すぎて動けない
- 飲み水やエサが与えられていない
といった状況は、虐待とみなされる可能性があります。
通報されるケースとは?

実際に通報されるケースでは、近隣住民が犬の状態を見て「虐待かもしれない」と感じることが多いです。
たとえば、
- 真夏に直射日光が当たる場所に犬小屋がある
- 鎖で繋がれたまま糞尿が放置されている
- 鳴き声が続いて明らかにストレスを感じている
などの場合、動物愛護センターや自治体、警察に通報されることがあります。
通報後は、自治体の職員が現場確認を行い、必要に応じて指導・勧告・改善命令が出されることもあります。
改善が見られない場合、動物愛護法第44条の「虐待行為」に該当し、罰則を受けるケースも存在します。
飼い主が守るべき「適正飼養基準」

動物愛護法では、環境省が定めた「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」に基づき、犬を飼う際に守るべき条件が示されています。
外飼いの場合、特に以下の点に注意が必要です。
- 風雨・直射日光を防げる犬小屋の設置
- 常に清潔な飲み水を与えること
- 健康状態を毎日確認すること
- 運動・しつけ・社会化の機会を確保すること
これらを怠ると「適切な環境で飼っていない」と判断され、通報・指導の対象になる恐れがあります。
ビーグルを外飼いするのに理想の条件

安全で快適な犬小屋の環境
ビーグルを外で飼う場合、まず最優先すべきは犬小屋の環境づくりです。
小屋は風通しがよく、直射日光や雨を避けられる場所に設置しましょう。
理想は、
- 夏は日陰で風が通る位置
- 冬は北風を避けられる壁際や塀の近く
といった季節に応じて快適に過ごせる場所です。
屋根には防水性があり、地面から少し高さをつけて床下に空間をつくると湿気対策になります。
床面には断熱マットやウッドデッキ風の板を敷き、地熱や雨水の浸入を防ぐと安心です。
気温と湿度の安定が保てる環境
ビーグルはダブルコートであるものの、極端な暑さ・寒さに弱い個体も多いため、温度・湿度の管理は重要です。
特に夏場は、コンクリートやアスファルトの照り返しで地面温度が上がるため、芝生や土の地面が理想的。
日中の気温が30℃を超える日は、屋外飼育を避けて屋内や日陰に移動させましょう。
また、冬は断熱性のある小屋に毛布を敷き、出入口に風よけのカーテンをつけると保温効果が高まります。
気温が20℃前後、湿度が40〜60%の範囲であれば、最も快適に過ごせると言われています。
コミュニケーションと運動の時間を確保する
ビーグルは本来、群れで行動する社会性の高い犬です。
そのため、単に外に小屋を置くだけでなく、飼い主との交流が欠かせません。
1日1〜2回の散歩を欠かさず行い、外飼いでも毎日声をかけてスキンシップを取りましょう。
孤独やストレスを感じさせないことが、健康的な外飼いの最大のポイントです。
また、退屈しのぎになるおもちゃや噛み心地の良いガムを用意しておくと、無駄吠えやいたずら防止にもつながります。
ビーグルの夏の外飼いは熱中症対策が最重要

ビーグルはダブルコートで毛量が多いため、夏の直射日光を長時間浴びると体温が急上昇し、熱中症になるリスクがあります。
犬小屋は必ず風通しのよい日陰に設置し、屋根材は熱を吸収しにくい素材を選びましょう。
地面の照り返しも強いため、コンクリートより土や芝生が理想的です。
また、水を絶やさず、氷を入れたボウルを置くなどしていつでも冷たい水が飲めるようにしてあげてください。
真夏日(30℃以上)の時間帯は外に出さず、早朝や夜の散歩に切り替えるのも大切です。
ビーグルの外飼いの冬は防寒と風避けを徹底する

※実際の外飼いでは防寒が必須です
冬の外飼いでは、冷え込みによる体調不良を防ぐ工夫が必要です。
犬小屋には断熱材や発泡スチロール板を使うと効果的で、床面を少し高くすることで地面からの冷気を遮断できます。
毛布やベッドを入れるだけでなく、出入口に風除けのビニールカーテンをつけてあげると体感温度がかなり違います。
特に夜間は急激に冷え込むため、寝る前に湯たんぽや電気ヒーターを短時間使用して暖を取るのもおすすめです。
外飼いしなければいけない場合に気をつけること

それでも、住宅の状況や飼い主の事情など様々な理由によって、外飼いしなければならない場合もあると思います。
その場合は以下のことに気をつけましょう。
雨や湿気にも注意
雨の日が続くと犬小屋が湿気を含み、皮膚炎やノミ・ダニ繁殖の原因になります。
屋根はしっかり傾斜をつけて雨水を流し、床下にはすのこを敷くことで通気性を確保しましょう。
梅雨や秋雨の時期は特に、こまめな清掃と犬小屋内部の乾燥を心がけてください。
湿気を防ぐだけでも、被毛のツヤや体臭の軽減にもつながります。
予防医療をきちんとする
年一回義務付けられている狂犬病ワクチン接種に加え、混合ワクチン接種やノミ・ダニ・フィラリア予防薬の服用など、予防医療をきちんと行ってあげましょう。
特に子犬は免疫力がまだ弱いですから、生後まもなくの3回のワクチン接種が終わり、獣医さんの許可が下りてから外飼いにするのが良いですね。
犬小屋まわりを清潔・安全に
室内飼いに比べ、外飼いの方がどうしても衛生的に保つことが難しくなります。
こまめに掃除をし、清潔にしてあげましょう。
また、怪我や拾い食いを防ぐためにも、安全にも気を配ってください。
犬が食べると有毒な植物や除草剤、遊んでいてうっかり飲み込んでしまいそうな小さいプラスチックなどは片付けておきましょう。
去勢・避妊手術をする
愛犬が子犬を授かることを望んでいないのであれば、あらかじめ去勢・避妊手術を受けさせましょう。
外飼いの場合どうしても目が行き届かない時間が長くなってしまいますから、トラブルを防ぐためにも検討してみてくださいね。
しつけをしっかりとする
外飼い・室内飼いどちらにも言えることですが、しつけをして人との暮らしに馴染めるようにして行きましょう。
外飼いで家族以外の人と接する機会も多いので、しっかり訓練することでご近所から愛されるビーグルにしていきたいですね。

ビーグルは外飼いできる?【まとめ】
ビーグルを外飼いする際は、気温・湿度・安全面の配慮が欠かせません。
本来は家族と一緒に過ごすことで心が安定する犬種です。
季節ごとの環境を整えながら、できるだけ家族とのふれあい時間を確保することを意識しましょう。