
短毛でお手入れが楽な印象のあるビーグルですが、実は想像以上に毛が抜ける犬種です。
その理由は「ダブルコート」にあり、季節によって生え変わる毛の量も多め。
この記事では、ビーグルが毛が抜ける原因と、季節別の対策・掃除・フード選びまで詳しく解説します。

ビーグルの抜け毛の理由

そもそも、なぜビーグルはこんなにも毛が抜けるのでしょうか?
その答えは、ビーグルの体を覆う「ダブルコート」という特別な被毛構造にあります。
ビーグルの被毛は「オーバーコート(上毛)」と「アンダーコート(下毛)」の二層構造になっています。
オーバーコートは外部の刺激から皮膚を守る役割をもち、やや硬くて短く、雨や泥をはじく性質があります。
一方のアンダーコートは、ふんわりと柔らかく保温性が高いのが特徴で、体温を一定に保つ重要な働きをしています。
ただし、このアンダーコートこそが“抜け毛の主犯”なのです。
オーバーコートに比べて細く柔らかいため、季節の変化に合わせて大量に抜け落ちます。
特に春と秋の「換毛期」には、冬毛と夏毛が入れ替わるため、ごっそりと毛が抜けることがあります。
これは、人間で言うところの衣替えのようなもので、寒暖差に対応するための自然な生理現象です。
また、ビーグルは猟犬として活躍してきた歴史を持つため、屋外の厳しい環境に適応できるよう、被毛が常に新陳代謝を繰り返すよう進化しています。
そのため、室内で飼われていても、季節に関係なく一定量の毛が抜け続けることがあります。
つまり、ビーグルの抜け毛は「健康な証拠」であり、「自然な体の仕組み」なのです。
大切なのは、抜け毛を完全に止めようとするのではなく、定期的なケアでうまく付き合っていくことです。
ビーグルの抜け毛対策
様々な対策法がありますが、ここでは2つの対策法を紹介します。
ブラッシング

ブラッシングをしてあげることで、「死毛」と呼ばれる役目を終えて自然に抜けかかっている毛を取り除き、床に散らばってしまうことを防ぎます。
ビーグルは皮脂が多いので、こまめにブラッシングすることである程度汚れを取り除いてあげることもできます。
ペットショップで専用のブラシが販売されているので、探してみてください。
使用の際は決して力を入れず、毛並みに沿って優しく行ってくださいね。
筆者はお散歩から帰ったあと、家に入る前に簡単にブラッシングを済ませるようにしています。
換毛期にはそれはもうごっそりと毛が抜けるので、思わず熱中してしまうほどです。
愛犬も最初は嫌がっていましたが、最近ではすっかり慣れて気持ちよさそうにしています。
ビーグルにおすすめのブラシ選び

ビーグルのブラッシングでは、どんなブラシを使うかによってお手入れのしやすさが大きく変わります。
短毛犬だからといって万能ではなく、被毛の密度や抜け毛の時期に合わせたブラシを選ぶことが大切です。
① ラバーブラシ(ゴムブラシ)
ビーグルのような短毛種に最も使いやすいのがラバーブラシです。
ゴム製の突起が皮膚を傷つけにくく、マッサージ効果もあります。
抜け毛をやさしく絡め取りながら、皮脂汚れやホコリも取り除けるため、日常ケアにぴったりです。
お風呂中のシャンプー時にも使えるタイプなら、泡立てとマッサージを兼ねてより効率的に毛を落とせます。
② スリッカーブラシ
スリッカーは針金のようなピンが並んだブラシで、換毛期の大量の抜け毛に効果的です。
ただし、ビーグルは皮膚が薄くデリケートな子も多いので、柔らかい「ソフトタイプ」や「ピン先に樹脂ボールが付いたタイプ」を選ぶと安心です。
力を入れすぎず、毛並みに沿って軽く撫でるように使いましょう。
③ コーム(仕上げ用)
ブラッシング後の仕上げにはコームを使うと美しい毛並みに整います。
細かい目の部分で抜け残ったアンダーコートを取り除き、粗い目の部分で全体を整えると、ツヤのある仕上がりに。
特に被毛が密な背中やお尻周りのチェックに向いています。
シャンプー

2〜3週間に一度はシャンプーをしてあげましょう。
ブラッシングだけでは取りきれない汚れや死毛を取り除き、皮膚を清潔に保ちます。
ペットショップに行くと犬用のシャンプーがたくさん売っています。
シャンプーの選び方ですが、以前愛犬が動物病院で診察を受けた時に、獣医さんから「ビーグルは意外に肌が敏感で、アトピー性皮膚炎などを患う子が多い」と聞きました。
「皮脂が多いので洗浄力の強いシャンプーでガシガシ洗った方がいいのかな?」
と考えていましたが、実は全てのビーグルがそういうわけでもないようです。
シャンプー前後には皮膚に赤みが出ていたりしないか確認してあげると良いですね。
不安がある場合は、獣医さんやトリマーさんに確認して指示を仰ぐと良いでしょう。
ビーグルの抜け毛対策にトリミングは有効?

ビーグルは短毛犬種のため、カットそのものは基本的に不要です。
しかし、定期的なトリミングサロンでのケアは抜け毛対策として効果があります。
サロンではブラッシングやシャンプーに加えて、専用のドライヤーでアンダーコートをしっかりと吹き飛ばし、
家庭では取り切れない「死毛」や皮脂汚れを徹底的に除去してくれます。
また、サロンによっては「抜け毛軽減コース」や「デスコート処理」と呼ばれる専用ケアを行ってくれるところもあります。
この処理を行うことで、換毛期に舞い散る毛の量を大幅に減らすことができます。
さらに、サロンでは皮膚の状態をプロがチェックしてくれるため、皮膚トラブルの早期発見にもつながります。
自宅でのケアと併用することで、より健康的で清潔な被毛を保てます。
季節ごとの抜け毛対策と生活環境の工夫
春と秋の換毛期は“抜け毛のピーク”

ビーグルは春と秋の年2回、毛がごっそり抜ける換毛期を迎えます。
春は冬毛から夏毛へ、秋は夏毛から冬毛へと生え変わるため、毎日のブラッシングが欠かせません。
この時期に抜け毛を放置すると、皮膚の通気性が悪くなり、かゆみや湿疹の原因にもなります。
特に春先は気温も上がり湿度も増えるため、ブラッシングだけでなく、ドライヤーでの乾燥や除湿も意識してあげるとよいでしょう。
掃除しやすい環境づくり

抜け毛対策で意外に重要なのが「部屋の作り方」です。
カーペットよりもフローリングやタイルマットにすると毛が絡まりにくく、掃除機をかけやすくなります。
また、静電気を防ぐ柔軟剤スプレーを軽く吹きかけるだけでも、舞い上がる毛の量を減らせます。
空気清浄機やロボット掃除機を活用するのもおすすめです。
筆者の家庭では、ビーグルの毛が多い時期だけ「ペット用吸引ブラシ付き掃除機」を常備し、朝晩の短時間掃除で清潔を保っています。
食事と健康管理も抜け毛に関係

実は、ビーグルの抜け毛は「栄養バランス」や「皮膚の健康」にも大きく関係しています。
被毛の健康には良質なタンパク質やオメガ3脂肪酸(サーモンオイルなど)が欠かせません。
フード選びで「皮膚・被毛ケア用」と明記されたものを選ぶだけでも、毛並みの艶や抜け毛量に違いが出ます。
また、アレルギー体質の子は食材によって皮膚炎が起きやすく、結果的に抜け毛が増えることもあるため、気になる場合は獣医師に相談してフードの見直しを行いましょう。

ビーグルの毛が抜ける原因と対策【まとめ】
ビーグルの抜け毛は、ブラッシングだけでなく環境と栄養の管理も大切です。
日常の工夫で毛の量を減らし、快適に過ごせる住まいを作りましょう。
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