左から黒虎毛・虎毛・赤虎毛
甲斐犬の最大の魅力といえば、まるで虎のような縞模様の毛色です。
この記事では、黒虎・赤虎・虎毛の違いや人気の毛色、成長とともに変化する理由などを詳しく紹介します。
写真だけでは分かりにくい毛色の見分け方も分かるので、甲斐犬を迎える前にぜひ参考にしてください。
甲斐犬の毛色の種類
甲斐犬の毛色は、大きく分けて「黒虎毛（くろとらげ）」「赤虎毛（あかとらげ）」「虎毛（とらげ）」の3種類に分類されます。
いずれも縞模様が現れるのが特徴で、「虎毛犬」と呼ばれるほど独特の外見を持っています。
この模様は保護色としての役割も果たしており、山中での狩猟時に自然と風景に溶け込むことから、猟犬として重宝されてきました。
黒虎毛
黒虎毛は、甲斐犬の中でも最も多く見られる毛色です。
地の色が黒く、そこに赤茶や焦げ茶の縞がうっすらと浮かび上がります。
光の当たり方によっては、黒一色に見えることもありますが、よく見ると体の側面や脚の内側に縞が走っています。
毛の密度が高く艶があり、力強く精悍な印象を与えるため、「番犬として理想的」と好まれる傾向にあります。
黒虎毛の子犬は、生後間もない頃は真っ黒に見えますが、成長とともに赤茶の縞が浮かび、成犬になるころに独特の模様が完成します。
雄ではより黒の割合が多く、雌ではやや赤みが差すことがあるため、性別によっても微妙な違いが見られます。
赤虎毛
赤虎毛は、全体的に赤褐色から茶色をベースとし、そこに黒い縞模様が入る毛色です。
温かみがあり、やや優しい印象を与えるため、家庭犬として人気の高い毛色でもあります。
ただし、赤虎毛といっても個体差が大きく、ほぼ黒虎に近い濃い色合いから、小麦色に近い明るいタイプまで幅があります。
成長過程で色が変わることも多く、子犬のときは黒くても成犬になると赤みが強くなる場合もあります。
日差しの下で見ると縞模様がはっきりと浮かび上がり、光沢感と立体感のある美しい被毛が際立ちます。
虎毛
虎毛は、黒虎と赤虎の中間にあたる毛色で、黒と赤褐色の割合がほぼ半々に混ざったタイプです。
縞模様が最も明確に見える毛色で、甲斐犬らしさを最も強く感じさせるともいわれます。
ただし、実際にこの虎毛を持つ個体は少なく、赤虎や黒虎に比べて珍しい存在です。
虎毛の甲斐犬は、体全体にマーブルのような模様が広がり、光の加減で色の印象が大きく変わります。
この美しい毛色は愛好家からの人気も高く、「甲斐犬の中の甲斐犬」と称されることもあります。
甲斐犬の毛色が変化する理由と見分け方のコツ
子犬期から成犬期にかけて変化する毛色
甲斐犬の毛色は成長とともに変化します。
生後すぐは真っ黒に見える子犬でも、成長するにつれて徐々に虎模様が浮き出てくることが多いです。
これは「サブコート（下毛）」と「オーバーコート（上毛）」の成長速度に差があるためで、1歳前後でようやく成犬らしい虎毛模様が完成します。
また、季節ごとの換毛でも色の印象が変わります。冬毛が生えると全体的に黒く、夏毛では明るく見えることがあります。
そのため、「子犬のころの色」と「成犬になったあとの色」が違っても自然なことです。
虎毛模様の濃淡やパターンの違い
甲斐犬の毛色の特徴である「虎模様」は、個体ごとに縞の太さや入り方が異なります。
中には背中だけが濃く足元にかけて明るくなるタイプや、全身が均一なストライプのように見えるタイプもいます。
また、光の当たり方で黒虎が赤虎に見えたり、逆に赤虎が暗がりでは黒虎に見えたりすることもあり、日中と夕方で印象が変わる犬もいます。
血統的には黒虎が優勢とされますが、赤虎や中間の虎毛も遺伝の組み合わせによって現れます。
つまり、兄弟犬でも毛色の出方がまったく違うことが珍しくありません。
甲斐犬の毛色を見分けるポイント
甲斐犬の毛色を見分ける際は、全体の色よりも「縞の入り方」を見るのがポイントです。
- 黒虎毛：黒が主体で、光の下で赤茶や焦げ茶の縞が浮き出る
- 赤虎毛：赤褐色の地に黒い縞が入り、全体的に柔らかい印象
- 虎毛：赤と黒が均等に混じり、縞がはっきり見えるタイプ
ただし、毛の長さや照明条件で印象が変わるため、写真だけで判別するのは難しいこともあります。
ブリーダーや愛好家の間では、幼少期からの毛の変化を観察しながら見極めていくのが一般的です。
甲斐犬の中で人気な毛色や珍しい毛色ってどんな色⁉
人気な毛色
甲斐犬は他の犬種に比べて、虎の様に縞々の毛色を持つことが多く、そこが珍しく好まれて飼われることもあるようです。
私自身も、散歩中やドッグランで出会う犬を思い返すと、マーブルのような模様があるものや、体の先端や顔周りだけ色が異なるものは見かけますが、縞模様の毛をもつ犬はほとんど見かけません。
我が家の犬を買うときは、黒虎は全体的に黒く、見た目が怖いから赤虎の黒色が比較的薄めな毛色にしようと決めました。
見た目が怖い、いかつめな番犬向きの犬を飼いたい人にとっては、黒虎が好まれるのかもしれません。
珍しい毛色ってどんなの⁉
先ほど紹介したように、黒虎・赤虎・虎毛の3種のうちで、一番黒虎が多いため、赤虎や虎毛は比較的珍しいとされています。
私も散歩中、たまに他の甲斐犬に出会いますが、黒っぽい色の犬を見ることが多く、虎毛はなかなか見ません。
うちの犬は赤虎ですが、体重25kgほどに大きくなってしまったため、見た目がオオカミに近いです（笑）
黒虎だったら、よりオオカミに近づいていたかもしれません。
甲斐犬の毛色は？【まとめ】
甲斐犬の毛色は成長や季節で印象が変わり、同じ赤虎でも模様の入り方や濃淡が違います。
「どんな色になるか分からない」その変化も甲斐犬の魅力です。
毛色の違いによる性格差はほとんどありませんが、被毛ケアや換毛期対策は共通して大切。
