
老犬が急に食べなくなったり、少しずつ食欲が落ちてきたりすると、「無理に食べさせていいの?」「このまま様子を見るべき?」と不安になりますよね。
実は、老犬の食欲低下には“無理に食べさせない方が良いケース”と“積極的に食べさせる工夫が必要なケース”があり、この見極めがとても重要です。
この記事では、実際の飼い主さんの経験や獣医師が用いる判断基準をもとに、老犬が「食べられない」のか「食べたくない」のかをどう判断するか、そして安全にできる対策について詳しく解説します。
老犬は無理に食べさせない方が良い?

これは愛犬の年齢や状態によって考え方が分かれるように思います。
食欲ないな、食べなくなっちゃったなと感じる時期が続き、愛犬もかなりの高齢だったとしたら、寿命を考えて覚悟する飼い主さんもいます。
でも突然食欲ない!ってことになって焦る飼い主さんなら、無理に食べさせない方が良い?とは考えにくいと思います。
食欲ないって状況は、高齢の老犬では命のことを真っ先に考えてしまいますよね。
ただ、こういう時はまず原因を探ったり、愛犬が食べ物を飲み込める状態かどうかを確認してみたりすることも大切です。
もしかしたら、愛犬は食べたいのに食べられない状態かもしれません。
それなら食べるきっかけ作りをしてあげたいですよね。
愛犬が、お腹は空いているのに食べられなくなる理由として、以下のようなことが考えられます。
- 口の中もしくはからだのどこかが痛くて食べられない
- 嗅覚が弱まってきたことで匂いを感じられず食べ物を置かれても食べたい気持ちになれない(食べ物と気づけない)
もしこんな理由があるのだとしたら、飼い主さんは愛犬が食べられるように工夫してあげる必要があるのではないでしょうか。
まずは獣医の診察を受ける

初めにやってみていただきたいことは、からだのどこかに異常がないかという確認です。
これは専門家、つまり獣医さんにしっかり診てもらう必要があります。
もしもどこかにトラブルがあって食べられないのなら、それが治せるものなのか、それとも症状を抑えられるものなのかを聞き、少しでも苦痛を和らげられるように対策してあげてください。
この時、愛犬が楽に過ごせる体勢や環境を聞いて整えてあげると、より快適に過ごせるのではないかと思います。
また、これは獣医さんの判断になりますが、体力を回復する点滴注射をしてもらうことで状態が改善することもあります。
獣医さんに相談して、愛犬の状態を把握し、できることをやってあげてくださいね。
老犬を“無理に食べさせない方が良いケース”と“食べさせた方が良いケース”
無理に食べさせない方が良いケースとは

老犬になると、身体の機能が全体的にゆっくりになり、若い頃と同じ量を食べられない日も増えます。
中には、老化に伴う自然な食欲の低下として受け止めるべき段階もあり、どれだけ工夫しても無理強いが返って逆効果になることさえあります。
たとえば、寝たきりに近くなり反応が乏しい、横になったまま食べ物を飲み込む力が明らかに落ちている、水を飲むのすら負担そうに見える──こうした状況では、「食べること自体が苦痛」である可能性があります。
無理に口へ運ぶことで誤嚥を招く危険もあるため、どこまで介入するべきかは慎重に判断してあげたいところです。
それでも“食べさせる工夫が必要”なケース

一方で、老犬が食べられない原因が老化だけとは限らず、治療やサポートで改善する場合もあります。
「食べたい気持ちはあるのにうまく食べられない」という状態がこれにあたります。
口内炎・歯周病・喉の痛み・胃のムカつきなど、比較的対処できる症状が原因で食べられない場合、痛みが軽減すれば食欲が戻ることはよくあります。
また、嗅覚が衰えてフードの匂いを感じにくくなると、食べ物として認識できず見向きもしないこともあります。
こうしたケースは、工夫次第で「食べられる」状態に戻るため、完全に任せきりにせず、優しく食べるきっかけを作ってあげることが大切です。
老犬に無理をさせないための“判断の目安”

どの程度食べさせるべきか迷った時は、いくつかのポイントを基準に考えると判断がしやすくなります。
目安になるのは、愛犬の体重の変化、飲み込みの力、表情や反応の速さ、そして何より「苦しそうにしていないか」ということです。
少しずつでも自分から食べようとする様子がある、飲み込む力がまだ十分にある──こうした状態であれば、工夫して食べやすい形にしてあげることが有効です。
逆に、顔をそむけて明らかに嫌がる、食べると咳き込む、疲れ切ってぐったりするようなら、無理に続けるのは避けるべき段階です。
老犬にとって「食べること」は体力以上の負担になることがあるため、今の状態が“頑張れる食事”なのか、“休ませるべきなのか”を丁寧に見極めてあげることが大切です。
食欲がない老犬に食べさせる方法
愛犬のからだに特に問題がなく、自力で食べ物を飲み込めるような時にできるようなら、こんな対策を取ることもできます。
シリンジで強制給餌する

針のついていないシリンジで、ふやかしフードや液体の栄養剤などを口に直接入れる方法です。
シリンジは動物病院でもらえたり購入できたりすることが多いので、まずは病院に相談してみるのも良いでしょう。
病院で手に入らなければ、インターネットで購入もできます。
シリンジは5〜10mmタイプのものがおすすめです。
水をあげたり、サラサラした液体の栄養剤を与えたりするなら、何も加工せずこのまま使うことができます。
一方で、ふやかしフードやとろみのある栄養剤の場合だと、そのままでは先が細く詰まりやすくなります。
先端をハサミで5mmほどカットし、穴の部分をハサミの先や箸などで少し広げてあげると使いやすくなりますよ。
シリンジは、必ず犬の口の横から入れるようにしてください。
歯の間からそっとシリンジの先端を入れて、ゆっくりと少しずつ中身を口の中に出してあげると食べやすいです。
真正面から入れると中身が勢いよく飛び出してむせる原因になるので、気をつけてあげてくださいね。
匂いの強い食べ物を与える

犬は匂いを感じて食べ物を認識し、食欲が出ます。
だから嗅覚が弱まってくると、食べ物を見せられても食べたいと思えなくなってくることもあるようです。
こんな時はふやかしフードにレバーを混ぜてあげたり、魚の身を混ぜてあげたりすると、匂いが増して食欲が出ることもあります。
この時、レバーも魚も必ず加熱して、魚は骨が入らないように気をつけてあげてください。
魚の場合は、犬用に販売されている水煮を使うと、骨も丸ごと食べられるので良いかもしれませんね。
老犬は無理に食べさせない方がいい?【まとめ】
老犬が食べなくなる理由はさまざまですが、まずは原因を知り、無理のない方法で食べるきっかけを作ってあげることが大切です。
少しでも自分から食べようとする姿があるなら、その気持ちを支えてあげましょう。
逆に、食べること自体が負担になっている場合は、無理に続けず休ませることも大事なケアです。
愛犬が最も楽に、そして穏やかに過ごせる形を一緒に探してみてくださいね。