
犬の散歩は毎日の大切な習慣ですが、体の小さな犬にとって外の気温は想像以上に危険になることがあります。
特に夏はアスファルトの温度が高温になり、冬は風で体感温度が大きく下がります。
「何度までなら散歩していいの?」「気温が高い(低い)日の時間帯は?」と迷う飼い主さんは多いでしょう。
この記事では、犬の散歩に適した気温の目安から、夏・冬それぞれの注意点、散歩の時間帯、路面温度の見極め方までまとめて解説します。
季節ごとに安全に散歩するためのポイントがわかる内容になっています。
犬が快適に散歩できる気温の目安

いちばん快適に歩けるのは18〜22度前後
犬が最も気持ちよく散歩できる気温は 18〜22度 とされています。
人が「ちょうどいいな」と感じる程度の涼しさは、犬にとっても体温を保ちやすい環境です。
湿度が高すぎず、風が少しあるだけで体への負担はぐっと少なくなります。
この気温帯であれば、散歩の時間を特別短くする必要もなく、普段通りのペースで歩かせることができます。
散歩前は“気温だけで判断しない”ことが大切
散歩前に見ておきたいのは、気温だけではありません。湿度や風、そして路面温度も合わさって初めて犬にとっての“体感環境”が決まります。
夏は湿度が高いと熱がこもりやすく、冬は風が吹くだけで体感温度が一気に下がります。
さらに犬は地面から近い場所で歩くため、アスファルトの熱や冷えを人より強く受けます。
散歩を安全に楽しむためには、「気温・湿度・風・路面温度」この4つをセットで見る習慣をつけることがとても大切です。
夏の散歩は何度までOK?危険ラインと判断基準

23〜25度は暑さを感じやすい“注意温度”
23〜25度になると、犬は少しずつ暑さを感じやすくなります。
特に湿度が高い日は体の熱をうまく逃がせないため、同じ気温でも負担が大きくなりやすいのが特徴です。
息が荒くなるのが早かったり、歩きながら日陰へ避難しようとする仕草が見られたら、散歩コースを短めに調整したり、こまめに休憩を挟むと安心です。
- 湿度が高い日は体内に熱がこもりやすい
- アスファルトの照り返しで体感温度が上がりやすい
この温度帯では「日向は暑いが日陰は歩ける」など、場所による差が大きくなってきます。
25度を超えたら熱中症リスクが急上昇する
25度を超えると、犬にとっては本格的に暑さがつらくなる温度帯です。
人が感じるよりも犬に暑さが響きやすい理由は、地面との距離が近く、照り返しによって体が熱を受けやすいからです。
気温が同じでも、犬の体感温度は人よりずっと高くなりやすいのが特徴です。
- 25〜28度 → 日陰中心なら歩ける
- 29度以上 → 基本的に散歩は避ける
特に短頭種や黒い被毛の犬は熱吸収が強く、より早く体が熱くなるため注意が必要です。
気温と湿度の組み合わせで危険度が変わる
夏の散歩で最も注意したいのは、気温そのものより 「気温 × 湿度」 の組み合わせです。
犬は汗をかけないため、湿度が高いほど熱が逃げにくくなり、体に熱がこもりやすくなります。
気温が25度前後でも湿度が高ければ、人間が感じる以上に犬はつらさを感じています。
気温別のざっくりとした目安としては
- 25度 → 無理は禁物。日陰中心なら歩ける
- 28度 → 熱中症リスクが高まる温度帯
- 30度以上 → 基本的に散歩は避けるべき温度
と覚えておくと判断しやすいです。
ただし湿度が高い場合は、この基準よりも危険度が一段階上がると考えておく方が安全です。
アスファルトの熱は気温以上に危険
夏の散歩で見落としがちなのが 路面温度 です。
気温が30度のとき、アスファルトの温度は簡単に50〜60度に達します。
人間は靴で守られていますが、犬の肉球はむき出しの状態なので、火傷や痛みのリスクが高くなります。
また、犬の体は地面に近いため、照り返しによる熱の影響が大きく、体感温度は40度以上に感じることもあります。
外に出る前に
- 手の甲をアスファルトに2〜3秒当ててみる
- 日向と日陰の温度差を確かめる
だけでも危険度が確認できます。
手で触れない温度の路面は、犬にとっては火傷レベルと考えてよいです。
夏に散歩できる安全な時間帯は限られる
夏は1日の中で安全に歩ける時間がとても短くなります。
特に11時〜16時の時間帯は、気温・路面温度ともにピークに達するため、短時間でも熱中症のリスクが高まります。
現実的に安全に散歩できるのは
・朝 5〜7時ごろ
・夜 20〜22時ごろ
この時間帯が中心です。
早朝でも湿度が高い日は蒸し暑く、犬がすぐに息を荒げてしまうこともあります。犬の様子を見ながら、無理のない範囲で時間帯を調整してあげましょう。
短頭種(フレブル・パグなど)や呼吸器が弱い犬、黒い被毛の犬は熱を吸収しやすく、同じ気温でもより暑さを感じやすい傾向があります。このような犬は、より慎重な判断が必要です。
冬の散歩は何度から寒すぎる?体感温度がカギ

冬は7度を下回ると冷えを感じる犬が増える
犬は暑さに弱いイメージがありますが、寒さに弱い犬種も多くいます。
気温が7度を下回る頃になると、特に小型犬や毛が短い犬種では体が冷えやすく、歩いていてもブルッと震えたり、座り込んでしまうことがあります。
冬は気温だけでなく風の強さで体感温度が大きく下がるため、その日の寒さに合わせて散歩時間を調整してあげましょう。
- 小型犬、シングルコート犬種は冷えやすい
- 風が強い日は体感温度がさらに下がる
- 老犬や子犬は特に注意が必要
洋服で保温するだけで散歩の負担は大きく違ってきます。
体感温度は“風の強さ”で大きく変わる
冬の散歩では、気温だけでなく 風の強さ が重要なポイントになります。
たとえば気温5度でも、風が強い日は体感温度が0度近くまで下がり、犬の体への負担が一気に大きくなります。
犬は地面に近いぶん、冷たい空気の層にずっと触れて歩くことになり、人間より強く寒さの影響を受けます。
風がある日の散歩は
・普段より短めの散歩に切り替える
・日が当たる場所を選んで歩く
といった工夫をすると、冷えすぎを防ぐことができます。
寒さに弱い犬は特に注意したいポイント
冬の散歩で冷えやすいのは主に以下のタイプの犬です。
・小型犬(チワワ、トイプードルなど)
・シングルコートの犬(イタグレ、ミニピンなど)
・老犬・子犬
・脂肪が少なく痩せやすい体質の犬
これらの犬は、気温が7〜10度でも冷えを感じることがあり、散歩の時間帯や服装のサポートが必須になります。
体の震えは寒さのサインだけでなく、緊張や不安でも起こりますが、冬場は特に「冷えていないか」を優先して見てあげると安心です。
冬に避けたい時間帯と歩かせ方の工夫
冬の散歩は、気温がいちばん下がる早朝と、日没直後の冷え込みに注意が必要です。
特に、夜にぐっと冷え込む地域では、18時以降の散歩で急激に体温を奪われてしまうことがあります。
寒い日の散歩は
・お昼〜夕方のあたたかい時間帯に変更する
・洋服で体を保温する
・足先が冷える前に切り上げる
といった工夫で、犬の負担を大きく減らせます。
雪が残っている地面では、肉球に雪玉がつきやすく、冷えをさらに進めてしまいます。
散歩後は足をしっかり拭き、よく乾かしてあげることも大切です。
犬種・年齢・体質別の散歩リスクの違い

暑さに弱い犬は気温の影響を強く受けやすい
犬の中には、体のつくりや被毛の特徴から「暑さに特に弱いタイプ」がいます。
夏場は気温だけでなく湿度による負担も大きくなるため、同じ気温でもこれらの犬は早い段階で息が荒くなったり、散歩を嫌がるような仕草を見せることがあります。
暑さに弱い傾向がある犬の例には、以下の特徴があります。
- 短頭種(フレンチブルドッグ、パグ、シーズーなど)
- 黒い被毛の犬
- 呼吸器や心臓に持病のある犬
短頭種は鼻が短いため、空気中の熱をうまく逃がせず体が温まりやすい体質です。
黒い毛の犬は太陽光を吸収しやすく、日差しの強い日ほど熱を溜め込みやすくなります。
こうした特徴を持つ犬は、夏は特に散歩の時間帯を慎重に選び、無理をさせないことがとても大切です。
寒さに弱い犬は冬の散歩に工夫が必要
一方で冬になると、寒さに弱い犬たちが一気に散歩しづらくなります。
体の小ささや被毛の構造によって、体温を保持しにくい犬は冷えやすく、短い時間でも震え始めてしまうことがあります。
寒さに弱い主なタイプは次のとおりです。
- 小型犬(チワワ、トイプードルなど)
- シングルコート犬(イタグレ、ミニピン、ウィペットなど)
- 体脂肪が少ない犬
- 老犬や子犬
これらの犬は、気温7〜10度でも散歩中に明らかな寒さを感じることがあります。
服で保温したり、日中の暖かい時間に散歩をずらすだけでも負担を大きく減らすことができます。
特に老犬や子犬は、体温調節が苦手なため、気温の変化に十分注意してあげる必要があります。
年齢や体質による“気温耐性”の差も大きい
同じ犬種でも、年齢や体質によって気温への耐性は大きく変わります。
老犬は筋肉量が減って体温を生み出しにくく、逆に子犬は体温調節機能がまだ未熟なため、暑さ・寒さのどちらにも敏感です。
また、持病がある犬は体調が変わりやすく、気温の変化が体に大きく影響します。
散歩前に
- いつもより歩くペースが遅い
- 暑さや寒さで呼吸が荒くなる
- 地面を嫌がるような仕草がある
こうした小さな変化に気づいてあげることが、季節を問わず安全な散歩につながります。
犬種・年齢・体質による違いを知っておくと、気温の基準だけでは判断できない“その子に合った散歩の基準”が見えてきます。
気温が高い・低い日は散歩をどうする?代替案

無理に外へ行かず“室内での運動”に切り替えるのも安全
気温が高すぎる日や、逆に冷え込みが強い日は、あえて外に行かない選択も大切です。
犬は散歩が好きな子が多いですが、暑さや寒さで体調を崩すリスクと比べると、短期的に散歩を休むことはほとんど問題になりません。
そんな日におすすめなのが、家の中でできる簡単な運動です。狭いスペースでも工夫次第でしっかり遊べます。
例えば
・お気に入りのおもちゃでの引っ張り遊び
・部屋の中でできる簡単な追いかけっこ
・ニオイ探しのノーズワーク
・知育トイで頭と体を刺激する遊び
などは、体力発散とストレス解消の両方に効果があります。
天候や気温によって散歩が難しい日は、室内遊びを「外の代わり」ではなく、その日の安全な運動時間 と考えて切り替えてあげると負担がありません。
どうしても外に出る必要がある日の“歩かせ方の工夫”
外でしかトイレができない犬や、ルーティンとして散歩が必要な犬もいます。
その場合は、その日の気温に合わせて「どこを歩くか」「どれくらい歩くか」を細かく調整してあげると、安全に外へ連れて行くことができます。
気温が高い日は、日陰の多い道を選び、アスファルトではなく土や芝生の上を中心に歩かせることで、足裏への負担が大きく減ります。
逆に寒い日は、日向を選ぶことで体が温まりやすく、散歩中に震えが出にくくなります。
体調と気温を見ながら
・短時間で切り上げる
・休憩を挟みながら歩く
・必要に応じて抱っこを併用する
こうした工夫を加えることで、危険な環境でも最小限の負担で外へ連れて行くことができます。
気温が極端な日は、犬も本能的に歩きたがらないことが多いです。無理に距離を伸ばす必要はなく、あくまで“安全第一”で判断してあげるのが最善です。
気温と散歩の安全チェックリスト
散歩へ出かける前に、その日の気温がどれくらい安全に歩ける温度なのかを判断するための早見表をまとめました。
数字だけを見ると難しく感じるかもしれませんが、毎日チェックしていると自然と「今日は無理せずに室内遊びだけにしよう」「今なら短時間なら歩ける」といった判断がしやすくなります。
以下が目安となる温度帯です。
気温の早見表(散歩の可否)
| 気温 | 散歩の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 18〜22度 | 最も快適に歩ける温度 | いつも通りの散歩でOK |
| 23〜25度 | 注意しながら散歩可能 | 湿度が高い日は短時間にする |
| 26〜28度 | 基本的には避けたい温度帯 | 行くなら早朝・夜で短時間 |
| 29度以上 | 散歩は避けるべき温度 | 路面温度が高く火傷の危険 |
| 7度以下 | 多くの犬が寒さを感じる | 小型犬やシングルコートは防寒必須 |
| 0度前後 | 短時間散歩に切替える | 風の強い日はさらに体感温度低下 |
チェックリストをどう使えばいい?
この早見表は「気温だけ」を判断材料にするものではありません。散歩の安全性は、
・風の強さ
・湿度の高さ
・路面温度
などにも大きく左右されます。
例えば、気温24度でも湿度が高い日は熱中症が起こりやすく、逆に気温6度でも風が弱く日向が多い散歩道では、思ったほど寒さを感じないこともあります。
そのため、この表は
“まず気温で大まかに判断 → 当日の風・湿度・路面温度で微調整”
という流れで使うのが最も安全です。
散歩前に見ておきたいポイント
気温チェックと合わせて、次の点をサッと確認するだけで散歩の安全性がぐっと上がります。
・アスファルトが手で触れないほど熱くないか
・犬が外へ出た瞬間に息が荒くなっていないか
・冬は風が強くないか、震えが出ていないか
こうした小さなチェックは、犬にとって快適に歩けるかどうかを判断する大切な材料になります。
まとめ
犬の散歩は、気温が高すぎる日も低すぎる日も、ちょっとした油断が体への負担につながります。
特に夏は湿度や路面温度が危険を大きく左右し、冬は風の強さで体感温度が一気に下がります。
そのため、気温という数字だけで判断するのではなく、散歩前に「湿度・風・路面温度」を合わせて確認してあげることがとても大切です。
また、犬種や年齢、体質によって暑さや寒さに対する強さには大きな差があります。短頭種や小型犬、老犬・子犬は気温の影響を受けやすいため、その日の状態を見ながら散歩時間を調整したり、無理のない運動方法を選ぶことが必要です。
気温が難しい日は散歩を休むという選択肢もあり、室内でも十分に体を動かす方法があります。大切なのは“その日の環境でできる最も安全な方法”を選んであげることです。
愛犬がいつまでも健康で散歩を楽しめるよう、この記事のポイントを毎日の判断に役立ててくださいね。