グラミーは丈夫な熱帯魚ですが、水質変化やストレスなどで体調を崩すこともあります。
そんな時に役立つのが「塩浴」です。
塩浴は寄生虫や病原菌への対処だけでなく、弱ったグラミーの回復をサポートします。
この記事では、塩浴が必要なタイミングから具体的なやり方、注意点まで詳しく解説します。
どんな時にグラミーを塩浴させる?

こんな時には塩浴をしてみましょう。
・水槽にグラミーを導入するタイミング
・体調不良や病気のような症状がみられた時
まずはグラミーを購入し、水槽に入れる前に1週間程度の塩浴を行って頂きたいです。
これは購入したグラミーが寄生虫や病気を持っていないかの確認と、運搬時に消耗した体力回復にもなります。
ちなみに購入前の塩浴を「トリートメント」と呼びます。
これをやらないと万が一グラミーが病気を持っていた場合、水槽内の別の観賞魚に感染してしまいます。
なので購入後は水槽に入れるのを少し我慢して、1週間の塩浴からスタートしましょう。
次に飼育していたグラミーの体調不良が見られた時には塩浴をしましょう。
グラミーだけに言えることではありませんが、観賞魚は水質や餌、ストレスなどでも病気になったり体調不良になります。
人間も同じですね。
人間だったらまず病院に行く前にベットで横になって休みますが、グラミーはベットで横になるわけではありません。
人間がベットで休むのと同じような効果が【塩浴】にはあります。
塩浴のやり方は後述します。まずはグラミーの塩浴の目安、体調不良のサインを紹介します。
・底でじっとしている
・動かない
・餌に食いつかない
普段からグラミーを観察していれば元気がない時にすぐに気づけます。
もし上記の体調不良が見られるようならばまずは塩浴をしてみましょう。
グラミーの塩浴のやり方

グラミーのいる水槽に塩を入れるだけなのですが、塩分濃度だけは必ず守ってください。
塩分濃度は0.5%これは1リットルに対して塩5グラムです。
塩分濃度の間違いは致命的になりますので注意が必要です。
水槽に塩を入れる?それとも塩を混ぜた水を水替え時に使う?
塩を混ぜるだけなので簡単そうに思うのですが、「それって水槽に直接塩を入れたら良いの?」「もしくは水替え時の水に塩を混ぜておけば良いの?」と言う疑問が湧く方も多いのではないでしょうか?
結論を言えば水替え時の水に塩を混ぜておく方が正解です。
その理由を以下に説明します。
直接水槽に塩を入れる方法の問題点
- 塩が一気に沈殿・溶解するため、一部に高濃度の塩水ができてしまう
- 塩の塊が魚や底砂、水草に接触すると、局所的に強い刺激を与えることがある
- 混ざり切るまでに時間がかかるため、浸透圧の急変によるストレスが起こりやすい
水替え用の水に塩を溶かしておく方法のメリット
- 均一な塩分濃度に調整した状態で水槽に入れられる
- グラミーへの刺激が最小限で済む
- 塩の溶け残りがないため、水質の安定性が高い
おすすめのやり方
- バケツなどに汲んだ水替え用の水に、必要量の塩(小さじ換算など)を投入
- よくかき混ぜ、完全に溶かしてから水槽にゆっくり戻す
- 大量換水する場合は、一度に全部ではなく数回に分けて少しずつ入れると負担が少ない
塩の入れ方と塩分濃度の維持方法
塩浴では、水槽全体の塩分濃度を0.5%に保つことが重要です。
ここを勘違いして、水替え用の水だけを0.5%にしてしまうと、実際には全体濃度が薄まり効果が落ちてしまいます。
塩分濃度の計算方法
塩分濃度0.5%とは、水1リットルあたり塩5gを加えるという意味です。
たとえば、20リットル水槽なら必要な塩は以下の通りです。
20L × 5g = 100g(小さじ約20杯)
初回と2回目以降の水替え時の塩分管理
塩浴の塩分管理は、初回と2回目以降でやり方が少し変わります。
ここを間違えると効果が薄れたり、逆に濃度が急変してグラミーに負担がかかるため注意しましょう。
初回(塩浴開始時)
初めて塩浴を行う際は、水槽全体が真水の状態です。
そのため、水槽全体の水量に対して0.5%の塩を加える必要があります。
例:20リットル水槽の場合
20L × 5g/L = 100g(小さじ約20杯)
これをあらかじめ水替え用の水に溶かし、全体が0.5%になるように調整します。
2回目以降(水替え時)
2回目以降は水槽内がすでに0.5%の塩分濃度になっています。
そのため、交換する水にも同じく0.5%の塩を加えれば、全体濃度は変わりません。
例:20リットル水槽で1/3(約6.7リットル)換水する場合
6.7L × 5g/L = 約33g
この塩を新しい水に溶かしてから水槽に戻します。
ポイント
- 初回は「水槽全体の塩分濃度を0.5%にする」
- 2回目以降は「交換する水だけを0.5%に調整する」
- 0%の水を入れると全体の濃度が薄まるので注意
水槽に直接塩を入れる方法のリスクと現実
塩浴の説明では、基本的に水替え用の水にあらかじめ塩を溶かしてから入れる方法が推奨します。
しかし実際には、水槽に直接塩を入れる飼育者も少なくありません。
直接入れる方法は手間がかからず便利ですが、いくつかのリスクを伴います。
リスク
直接塩を入れると、溶けるまでの間に局所的な高濃度ゾーンができます。
この付近に魚がいると急激な浸透圧変化が起こり、体調を崩す原因となります。また、粒が粗い塩や湿気で固まった塩は溶け残って底に沈むことがあり、底砂や水草に触れることでダメージを与える場合もあります。
実際の現場
実際のところ、アクアリウム歴の長い飼育者の中には水槽に直接塩を入れても問題がなかったという声も多くあります。
これは、水流やエアレーションが強い水槽では塩が短時間で全体に混ざるためです。
安全に行うには
初心者や小型水槽、弱っている魚がいる場合は、やはりバケツなどであらかじめ塩を溶かしてから入れる方法が最も安全です。
どうしても直接入れる場合は、細かい粒の塩を複数箇所から少しずつ入れ、水流でよく撹拌させるようにしましょう。
塩浴期間
塩浴させる期間はグラミーの様子を見ながら1~2週間程度。
この間は餌を与えずに様子を見ましょう。
そして塩水には水をきれいに保つバクテリアが存在しない為、2日に1回3分の1程度の水を換えましょう。
水替え、足し水をする際もきちんと塩をはかって同じ塩分濃度の水を与えてください。
1週間たって元気になったようならば、1日かけてゆっくりと水合わせをしてから水槽に戻しましょう。
病気の場合も初期の軽症でしたら改善する場合があります。
2週間たっても症状が改善されないようでしたら、薬浴に切り替えます。
グラミーの塩浴に使う塩の選び方と注意点
塩浴に使う塩は、天然か人工かよりも成分が純粋であることが重要です。
塩浴の効果は塩化ナトリウム(NaCl)によって得られるため、余計な成分が入っていない塩を選びましょう。
人工的に精製された食卓塩でも問題ありません。
「味の素」はNG

ただし、注意すべきは添加物入りの塩です。
「味の素」のような旨味調味料が入っている塩や、ヨウ素・カルシウム・マグネシウムなどの成分が添加されている塩は避けましょう。
これらの成分が水質を変化させ、グラミーに悪影響を与えることがあります。
また、海水魚用の人工海水は淡水魚の塩浴には適しません。
これは海水環境を再現するために多くのミネラルを含んでおり、淡水魚にとっては負担となる可能性があるからです。
OKな塩のタイプ
塩浴には以下のような塩が適しています。
- 成分表示が「塩化ナトリウム」のみの無添加食卓塩
- 観賞魚専用のアクアリウム用塩
- 不純物のない粗塩(NaCl100%)
塩を選ぶ際は、必ず成分表示を確認し、添加物がないものを使用することで安全な塩浴ができます。
グラミーの塩浴時の注意点

グラミー以外には塩は優しくありません。レイアウトが全滅する可能性もあります。
塩には殺菌効果があります。
これはグラミーの病原菌を殺菌してくれるのですが、バクテリアも殺菌されてしまいます。
つまり水をきれいにするろ過バクテリアが塩水では生きていけませんので、ろ過器を塩浴に使用してしまうとろ過機能が失われてしまいます。
塩浴中はろ過器を外しましょう。
また塩によって水草が枯れてしまいます。
塩浴時は水草も別の場所に移しましょう。
一番ラクなのは塩浴・薬浴用に別の水槽を用意しておくと便利ですね。
塩浴の失敗例と注意すべき症状

塩浴はグラミーの体調回復に役立ちますが、やり方を間違えると逆に弱らせてしまうことがあります。
特に初心者が失敗しやすいポイントと、中止すべき症状を覚えておきましょう。
よくある失敗のひとつは塩分濃度の間違いです。
規定の0.5%より高くなってしまうと、グラミーが急激な浸透圧変化でストレスを受け、呼吸が荒くなることがあります。
塩を計量する際は必ず計量スプーンやキッチンスケールを使いましょう。
また、塩浴期間の延長しすぎも危険です。
回復の兆しが見えても心配で長く続けたくなるかもしれませんが、2週間を目安に終了し、通常の環境に戻すことが大切です。長期の塩浴は体力消耗や環境ストレスにつながります。
さらに、塩浴中に呼吸が荒くなる、底で横たわる、体色が急に薄くなるといった症状が見られた場合は、すぐに塩浴を中止しましょう。
その後は新しい真水で水合わせを行い、落ち着いた環境で経過を観察します。
塩浴は適切に行えば非常に有効なケア方法です。
正しい塩分濃度と期間、そしてグラミーの様子をよく観察することが成功のカギです。
グラミーの塩浴のやり方【まとめ】
グラミーの塩浴は、体調不良や導入時のトリートメントに効果的です。
塩分濃度や期間を正しく守ることで、無理なく回復を促せます。
ただし、水草やバクテリアには影響があるため、専用水槽や器具を準備して行うと安心です。
塩浴を正しく行い、グラミーが再び元気に泳ぐ姿を目指しましょう。