
スコティッシュフォールドといえば垂れ耳が魅力ですが、その可愛らしさの裏には遺伝的なリスクもあります。
この記事では垂れ耳になる確率や病気との関係、健康な子猫を迎えるための選び方までわかりやすく紹介します。
スコティッシュフォールドの垂れ耳
垂れ耳になる理由とは?

スコティッシュフォールドの「フォールド」とは「垂れ耳、折れ耳」という意味があるようで、スコティッシュフォールドといえば垂れ耳というぐらい名前と見た目のイメージがよく知られていますね。
猫の頭って丸いので、垂れ耳だとさらに顔が真ん丸になってとっても愛くるしいです!
では、なぜスコティッシュフォールドは垂れ耳なのでしょうか?
それはスコティッシュフォールドが垂れ耳の遺伝子を持っているからです。
遺伝的に耳の形が決まるので、親が垂れ耳だと垂れ耳になる確率が高くなります。
生まれたときは皆立ち耳ちゃんですが、生後3週間ぐらいから垂れ耳になる子と立ち耳のままの子に分かれてくるようです。
ただし、その後立ち耳に戻ってしまう子もいるのだそうです。
垂れ耳になる確率は?

スコティッシュフォールドの垂れ耳は「優性遺伝」によって遺伝していきます。
優性遺伝なんて難しいことを言われても…と身構えなくても大丈夫です!(笑)
人間の血液型と同じ仕組みです。
人間のA型の人はAA型とAO型の2種類がいますよね。
どちらの遺伝子型でもA型になります。
垂れ耳のスコティッシュフォールドは
・垂れ耳—垂れ耳型
・垂れ耳—立ち耳型
のどちらかの遺伝子型をもっています。
ただし垂れ耳―垂れ耳型のスコティッシュフォールドは非常に病弱であることが明らかであるため、ほとんどの垂れ耳スコティッシュフォールドは垂れ耳―立ち耳型の遺伝子型です。
垂れ耳同士の交配は禁止

法律で垂れ耳同士の交配は禁止されているため、垂れ耳―立ち耳型の子と立ち耳―立ち耳型の子の交配で垂れ耳型の子猫が生まれます。
この交配では
・垂れ耳―立ち耳型(垂れ耳スコティッシュフォールド):50%
・立ち耳―立ち耳型(立ち耳スコティッシュフォールド):50%
の確率で子猫が誕生します。
要は、片方の親が垂れ耳だと5割の確率で垂れ耳になるということです。
垂れ耳と病気の関係

上で説明したように、垂れ耳同士の交配は禁止されています。
そもそも垂れ耳遺伝子は骨軟骨異形成症の遺伝子でもあり、この遺伝子を持つスコティッシュフォールドは病気を発症しやすくなってしまいます。
垂れ耳のスコティッシュフォールドが垂れ耳―垂れ耳型の遺伝子型を持つことは病的な遺伝要素が強まり非常に危険であるため、垂れ耳―立ち耳の交配を行うように規制しているのです。
骨軟骨異形成症とは、関節内の軟骨が異常に硬くなってしまう病気です。
関節を動かすたびに硬い軟骨にぶつかると、ぶつかった部分の骨がすり減ったりその部分に炎症が起こったりしてしまいます。
このようなことから関節の変形や痛みがみられるようになります。
足の関節にこぶのようなものができたり、運動量が減ったり痛がったりしたらこの病気の可能性があります。
垂れ耳と寿命の関係
スコティッシュフォールドは愛らしい垂れ耳が魅力ですが、その特徴と寿命には深い関わりがあります。
一般的に猫の平均寿命は14〜16年ほどといわれていますが、スコティッシュフォールドの場合は10〜13年程度とやや短めです。
これは垂れ耳の原因となる遺伝子が、骨や関節に異常を起こしやすい性質を持っているためです。
垂れ耳による健康リスクと寿命への影響
垂れ耳のスコティッシュフォールドは「骨軟骨異形成症」と呼ばれる遺伝性疾患を発症するリスクが高くなります。
関節や骨に負担がかかることで慢性的な痛みを抱えることも多く、運動不足やストレスによって体力が落ち、結果として寿命が短くなりやすい傾向があります。
立ち耳との寿命の違い
同じスコティッシュフォールドでも立ち耳の個体は病気の発症リスクが低いため、一般的な猫と同じくらいの寿命(14〜16年)を目指せるといわれています。
つまり「耳の形」そのものが寿命の差を生むのではなく、耳の形を決める遺伝子が健康状態に影響しているのです。
長生きさせるための飼育ポイント
垂れ耳のスコティッシュフォールドでも、飼い主の配慮次第で健康寿命を延ばすことができます。
具体的には、関節に負担をかけないよう段差の少ない住環境を整えることや、肥満防止のための適切な食事管理が大切です。
また、定期的な動物病院での検診を行い、関節炎や痛みの兆候を早期に発見することが寿命を延ばす大きなポイントとなります。
スコティッシュフォールドの立ち耳

スコティッシュフォールドは垂れ耳のイメージが強いですが、実は立ち耳の子も一定数生まれます。
立ち耳の存在を知ると「この子はスコティッシュなの?」と驚く人も多いでしょう。
ここでは立ち耳の特徴や確率、寿命の違いを詳しく解説します。
立ち耳の特徴

立ち耳のスコティッシュフォールドは、見た目がアメリカンショートヘアなどの丸顔の猫に似ているため「別の猫種?」と間違われることもあります。
しかし、骨格や丸みのある顔つき、毛色のパターンはスコティッシュフォールド特有のもの。
性格も垂れ耳と変わらず、おっとりして人懐っこい傾向があります。
立ち耳が生まれる確率

スコティッシュフォールドは、生まれたときは全員立ち耳です。
その後、生後3週間〜3ヶ月の間に垂れ耳になるか立ち耳のまま残るかが分かれます。
片方の親が垂れ耳の場合、子猫が垂れ耳になる確率はおよそ50%。
つまり、同じくらいの確率で立ち耳のスコティッシュフォールドも誕生するのです。
寿命や健康リスクの違い

立ち耳スコティッシュフォールドは、垂れ耳の子に比べて「骨軟骨異形成症」などの遺伝病リスクが低いとされています。
そのため寿命は他の猫と同じ14〜16年ほどを目指せるケースも多く、健康的に長生きしやすいのが特徴です。
垂れ耳に比べて人気はやや低いものの、健康リスクを重視する飼い主からは立ち耳を選ぶ声も増えています。
立ち耳スコティッシュフォールドの性格

立ち耳でも垂れ耳でも、基本的には「おっとり」「甘えん坊」で、人懐っこい性格が多いのがスコティッシュフォールドの特徴です。
特に立ち耳の子は、活発で遊び好きな傾向が少し強いといわれています。
これは遺伝的な病気のリスクが少ないため、体を動かすことに積極的で健康的だからとも考えられます。
静かな性格の垂れ耳と比べると、元気で活発な印象を持つ飼い主さんも多いようです。
立ち耳スコティッシュフォールドの値段相場

ペットショップやブリーダーでの値段は、見た目の人気度に左右されます。
垂れ耳が「スコティッシュらしい」として需要が高いのに対し、立ち耳は人気がやや低め。
そのため立ち耳のスコティッシュフォールドは垂れ耳よりも安く販売される傾向があります。
相場としては、垂れ耳が20〜40万円前後なのに対して、立ち耳は15〜30万円程度とややリーズナブル。
健康面のリスクが少ないことを考えると、コストパフォーマンスの高い選択肢ともいえるでしょう。
スコティッシュフォールドを迎えるときの注意点と選び方
スコティッシュフォールドはその可愛らしい垂れ耳で人気がありますが、購入や譲渡を考えるときにはいくつかの大切な注意点があります。
ここを理解しておくことで、健康に長生きできる子を迎える確率が高まります。
健全なブリーダーとペットショップの見分け方

スコティッシュフォールドは垂れ耳の人気が高いため、悪質なブリーダーが「垂れ耳同士の交配」を行うケースがあります。
しかしこれは遺伝病を強めてしまい、子猫の健康を大きく損ないます。
信頼できるブリーダーは、必ず立ち耳と垂れ耳の組み合わせで交配を行い、親猫の健康診断もきちんと公開しています。
購入時には「両親の耳のタイプ」「健康検査の有無」を必ず確認すると安心です。
子猫の耳の形は成長で変わる

生まれたときはすべて立ち耳ですが、生後3週間前後から徐々に折れ始め、垂れ耳か立ち耳かが分かれていきます。
さらに成長の過程で一度垂れても再び立ち耳に戻るケースもあります。
したがって、ペットショップで「将来必ず垂れ耳になります」と断言されても信用せず、成長を見守る気持ちが大切です。
垂れ耳にこだわりすぎない選び方

スコティッシュフォールドは垂れ耳だけでなく立ち耳の子も存在します。
立ち耳の子は遺伝病のリスクが相対的に低く、元気で長生きする傾向があります。
つまり「垂れ耳だから良い」「立ち耳だから価値が低い」という考え方は誤解です。
耳の形にこだわらず、その子の性格や健康状態を重視して選ぶことで、結果的に幸せな生活につながります。
スコティッシュフォールドのたれ耳ついて【まとめ】
スコティッシュフォールドの垂れ耳は人気の理由であると同時に、遺伝病リスクとも密接に関わっています。
耳の形だけにこだわらず、健康や性格を大切にすることで愛猫との暮らしはより豊かになります。