犬がずっと吠え続けると、理由が分からないままでは不安になりますよね。
近所への迷惑も気になるし、叱ればいいのか無視すべきなのか判断が難しいものです。
吠える行動には必ず原因があり、その理由を知ることで正しい対処ができます。
この記事では、犬が長時間吠える主な原因と、今日からできる具体的な対処法を分かりやすく解説します。
犬がずっと吠える原因
主な理由
犬が長時間吠え続ける時は、必ず何らかの理由があります。
ただうるさく吠えているように見えても、犬なりの不安や要求を伝えようとしている場合がほとんどです。
ここでは代表的な原因を分かりやすく説明します。
不安やストレス
環境の変化や飼い主の不在、苦手な音などで不安が強くなると、犬は吠えて気持ちを落ち着かせようとします。
雷・花火・工事音などの大きな音だけでなく、引っ越しや家具の配置換えといった小さな変化でもストレスになることがあります。
要求吠え（かまって欲しい・遊びたい・ごはん・散歩など）
「吠えれば望みが叶う」と学習すると、犬は必要以上に吠えて気を引こうとします。
忙しくて相手にできない時にも吠え続けるため、一度クセになると止めさせるのが難しくなります。
警戒心や怖いものへの反応
見知らぬ人、通行人、インターホンの音、外の物音などに反応して吠えることがあります。
特に警戒心が強い犬や、外部の刺激に敏感な犬は吠えやすい傾向があります。
体調不良や痛み
普段吠えない犬が急に吠え続ける場合、体のどこかに痛みがあるケースもあります。
お腹の不調、関節の痛み、外傷、耳の炎症など、犬は言葉で伝えられないため吠えて訴えることがあります。
老犬に多い認知機能の低下
高齢になると昼夜が逆転したり、不安感が強くなったりして、深夜や早朝に吠え続けることがあります。
突然の変化であれば、認知症の初期サインとして早めに相談することが大切です。
状況別で考える原因
犬がずっと吠える時は、「その場の状況」によって原因が大きく変わります。
いつ、どんな場面で吠えるのかが分かると、改善ポイントも見えやすくなります。
それぞれのシーンごとに考えられる理由を説明します。
留守番中に吠える場合
飼い主が家を出た後、寂しさや不安が強くなると吠え続けることがあります。
特に、普段から飼い主との距離が近い犬ほど、急に1匹になると落ち着けなくなります。
また、部屋の中の物音や外の音に敏感に反応して吠えるケースも多いです。
分離不安の一部として見られることもあり、生活の中での対策が必要になります。
夜中・早朝に吠える場合
外から聞こえる物音、野良猫の声、風の音などに反応して吠えることがあります。
若い犬の場合は警戒心が原因であることが多く、シニア犬では認知機能の低下で昼夜の区別がつかなくなり吠えることもあります。
生活リズムの乱れが影響していることもあり、普段からの運動量や刺激の少なさが原因になることもあります。
散歩中や来客時に吠える場合
知らない人や犬に対して警戒して吠えることが多いシーンです。
怖さから距離を取りたい時、逆に興奮しすぎて気持ちが抑えられない時など、理由はさまざまです。
玄関チャイムや来客の足音に反応して吠えるのは、家を守ろうとする本能的な行動でもあります。
飼い主に向かって吠える場合
稀にですが犬が飼い主に向かって吠えることもあります。
この場合、他とは違って主従関係について等深く掘り下げる必要があるため別記事で詳しく解説しています。
犬がずっと吠える時にできる吠え対策
おすすめの対策
犬がずっと吠えるのを止めさせるには、「なぜ吠えているのか」を理解したうえで、原因に合った対処を続けることが大切です。
すぐに効果が出る場合もあれば、少しずつ慣らす必要があるケースもあります。
ここでは日常で取り入れやすい対策を紹介します。
要求吠えは応じず冷静に対応する
吠えるたびに声を掛けたり、おやつを与えたりすると、「吠えれば望みが叶う」と犬が覚えてしまいます。
要求吠えの場合は、目を合わせず・声も掛けず・何も与えないことが基本です。
静かになって落ち着いた瞬間に褒めることで、「静かにすると良いことが起こる」と学習させられます。
不安から吠える時は、生活環境を整えて安心させる
留守番が苦手、外の音に敏感、暗い場所が怖いなど、不安が強い犬は落ち着ける環境が必要です。
部屋のレイアウトを変えたり、カーテンを閉めたり、外音を遮る工夫だけでも不安が軽減します。
飼い主の匂いがついた毛布や、安心できる「自分の場所」があると落ち着きやすくなります。
運動不足を解消してストレスを減らす
運動量が足りないとエネルギーが余り、些細な刺激に反応しやすくなります。
散歩の時間を少し増やしたり、におい嗅ぎの時間を多めに取るだけでも満足度が上がります。
室内遊びや知育トイで「頭を使う刺激」を与えるのも効果的です。
生活リズムを整えて吠え癖を落ち着かせる
起床・食事・散歩・遊ぶ時間・寝る時間を一定にすると、犬は先の予測が立てやすくなります。
予測できる生活は安心感につながり、無駄吠えの減少に役立ちます。
特に夜間の吠えには、日中の活動量を少し増やすことが効果的です。
クレートトレーニングを取り入れて落ち着く習慣を作る
クレートは「安全で落ち着ける自分の部屋」として機能します。
普段から慣らしておくと、怖い音がした時や留守番の時に安心材料になります。
無理に閉じ込めるのではなく、普段から扉を開けて自由に出入りできるようにして、居心地の良い空間だと覚えさせることが大切です。
やってはいけないNG対応
犬がずっと吠え続けると、つい強い口調で叱りたくなることがあります。
しかし、間違った対応は吠え癖を悪化させたり、犬の不安をさらに強めたりする原因になります。
改善のためには「やらない方がいいこと」を知っておくことも大切です。
怒鳴る・叩くなどの強い叱り方をする
大きな声で怒鳴ったり、体罰を与えたりすると、犬は恐怖で一時的に黙ることがあります。
しかし、根本的な解決にはならず、「人が怖い」「環境が怖い」という気持ちが強くなり、かえって吠えやすい性格を作ることにつながります。
不安や恐怖が原因の吠えの場合は特に逆効果です。
長時間の完全無視を続ける
要求吠えへの「短い無視」は有効ですが、何時間も犬を放置するような完全無視はNGです。
不安が強くなり、吠えがエスカレートすることがあります。特に留守番が苦手な犬や、ストレスが溜まりやすい犬には逆効果です。
吠えている瞬間に声をかける・抱っこする
犬が吠えているタイミングで「どうしたの？」と声を掛けたり、落ち着かせようと抱っこすると、「吠えると構ってもらえる」と学習してしまいます。
これは要求吠えを習慣づける大きな原因のひとつです。
音で脅して止めようとする
ペットボトルを叩く、大きな音を出すなど、人が驚かせる方法は恐怖を与えるだけで、問題行動の改善には結びつきません。
敏感な犬ほどストレスが強くなり、さらに吠えるきっかけになってしまいます。
しつけだけで解決しないケースの改善方法
犬の吠えはしつけで改善できることが多い一方で、家庭での工夫だけではどうしても収まらないケースもあります。
無理に我慢させ続けると犬自身が苦しみ、飼い主も負担を抱えてしまいます。
ここでは、専門家に相談すべき状況をまとめます。
体調不良や痛みが原因の可能性がある場合
普段吠えない犬が突然長時間吠えるようになった時は、体のどこかに不調があるサインかもしれません。
関節の痛み、耳の炎症、腹痛、怪我など、体への違和感を吠えて訴える場合があります。
吠え以外にも食欲の低下、歩き方の変化、触れられるのを嫌がるなどの様子があれば、一度動物病院で診てもらうのが安心です。
老犬で認知機能の低下が疑われる場合
夜中に急に吠える、昼夜が逆転する、同じ場所を行ったり来たりするなどの行動が見られる時は、認知症の初期症状である可能性があります。
しつけでは改善が難しいため、生活の工夫やサプリメント、環境調整などを含めて獣医師と相談しながら進める必要があります。
分離不安の傾向が強い場合
留守番中に延々と吠え続けたり、飼い主が見えなくなるだけでパニックのように吠える場合は、分離不安の可能性があります。
これは単なる甘えではなく「不安障害」の一種であり、トレーニングと環境調整を組み合わせて、慎重に慣らしていく必要があります。
専門のドッグトレーナーの力を借りることで改善が大きく進むことがあります。
攻撃性や強い恐怖反応をともなう場合
吠えると同時に威嚇する、歯をむく、逃げ場を探してパニックになるなどの状態が強い時は、無理に家庭だけで対処しようとすると危険です。
この場合もプロのトレーナーや獣医行動診療科に相談することで、犬に合った改善方法を知ることができます。
まとめ
犬がずっと吠え続けるのには、必ず理由があります。寂しさや不安、要求、警戒心、体調の変化など、その原因は犬によってさまざまです。まずは「いつ・どんな場面で」吠えるのかを観察することで、原因が見えやすくなります。
対策の基本は、吠えた瞬間に望みが叶わないようにすることと、落ち着ける環境を整えることです。運動量を増やしたり、生活リズムを整えたり、クレートで安心できる場所を作るだけでも、吠え癖が和らぐことがあります。
もし突然吠え続けるようになったり、老犬で夜中に吠えることが増えた場合は、体調や認知機能の低下が隠れていることもあります。その時は無理にしつけだけで解決しようとせず、獣医師や専門のトレーナーに相談するのが安心です。
焦らず、犬の気持ちに寄り添いながら少しずつ改善していくことで、吠えにくい穏やかな生活に近づいていきます。
