犬の座り方を見て「いつもと違うかも」と感じたことはありませんか。
実は、座り方には癖で済むものと、体の不調が隠れているものがあります。
この記事では、犬の座り方の種類と、心配すべきポイントを分かりやすくまとめました。
犬の座り方の種類
犬の正常な座り方は、前足と後ろ足がまっすぐ体の下に収まり、左右のバランスが取れている状態です。
しかし、それ以外にも犬にはいくつかの座り方があり、癖や体格によるものもあれば、体の違和感が関係している場合もあります。
ここでは、犬によく見られる座り方を、心配のいらないものと注意したいものに分けてご紹介します。
あぐら

後ろ足を前に投げ出すようにして座る姿勢で、人のあぐらに似ていることからそう呼ばれます。
フレンチブルドッグなど体型の影響でこの座り方をする犬も多く、リラックスしているだけの場合もあります。
ただし、これまで正常なおすわりをしていた犬が、急にあぐら座りをするようになった場合は、股関節や膝に違和感がある可能性も考えられます。
頻度が増えたり、歩き方に変化がある場合は注意しましょう。
横座り(おねえさん座り)

片方の後ろ足を横に流し、お尻を床につけて座る姿勢です。
子犬の頃は関節が柔らかく、ふにゃっと座ることも多いため、成長とともに自然に減っていくケースがほとんどです。
たまに見られる程度であれば、その犬の癖であることもありますが、いつも同じ方向に横座りをする場合は、関節や筋肉の左右差が影響している可能性もあります。
スフィンクス姿勢(伏せに近い中間姿勢)

前足をそろえて前に伸ばし、胸やお腹を床につけた姿勢で、ライオン像(スフィンクス)のように見えることからこう呼ばれます。
座り方というよりは「伏せ」に近い姿勢ですが、犬がよく取る自然なポーズのひとつです。
多くの場合、すぐ立ち上がれるようにしているだけで、心配はいりません。
警戒しつつ休んでいるときや、完全に伏せるほどリラックスしていないときに見られます。
片足浮かせ座り

おすわりの姿勢をとりながら、片方の後ろ足だけを浮かせたり、体重をほとんどかけていない座り方です。
一時的な姿勢の崩れであれば問題ありませんが、毎回同じ足を浮かせる場合は注意が必要です。
関節や足先に違和感があり、無意識に体重を避けている可能性があります。
歩行時の左右差や、触られるのを嫌がる様子がないかもあわせて確認しましょう。
座ってもすぐに立ち上がる

おすわりをさせても、腰を完全に下ろさず、すぐに立ち上がってしまう場合は注意が必要です。
この動作は座り方の種類というより、体の不調が行動に表れている可能性があります。
考えられる原因としては、肛門周りの炎症、脱臼、腰やお尻の痛みなどが挙げられます。
繰り返し見られる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
犬の座り方がおかしいときはどうしたらいい?

犬の座り方がおかしいときは、しっかりと対策をとってあげましょう。
激しい運動をしない
関節や骨に異常がある場合は、ドッグランへ行ったり、室内でボール遊びをしたり、激しい運動をしないようにしましょう。
飼い主さんと遊ぶことが楽しいと、痛みを忘れて夢中になってしまうものです。
その結果、異常がある部分が悪化してしまい、痛い思いをさせてしまうことになります。
異常がなくても、運動や遊びをするときは、適度な休憩をとりながらにしましょう。
肥満体型の解消
肥満体型の場合、体の重さから関節に負担がかかってしまいます。
関節に異常がある場合、動くと痛みが伴うことで、じっとしている時間が多くなり、肥満が解消されることはありません。
肥満体型の場合、いきなり運動することは避けましょう。
食事やおやつの量を調節しながら、徐々に運動量を増やし、適正体重に戻してあげましょう。
足が滑らないようにする
室内犬の場合、フローリングの床で遊ぶことが多いのではないでしょうか?
また、ソファーからジャンプしたり、ボール遊びしたり、遊びに夢中になっていることで関節を痛める可能性があります。
クッション性のあるコルク素材や、カーペットを敷いてあげることで、関節への負担を減らすことができるでしょう。
愛犬と飼い主さんが、室内でも元気に楽しく遊べるように、むやみにジャンプさせたり、むやみに走らせたりしないように注意してあげましょう。
犬の座り方で注意したい“危険サイン”の見分け方

犬の座り方は癖や体格によるものも多く、必ずしも異常とは限りません。
ただし、座り方とあわせて行動や様子を観察することで、ケガや病気のサインに早く気づけることもあります。
ここでは「様子見でよいケース」と「受診を考えたいケース」を具体的に整理します。
座り方以外にも一緒に確認したいチェックポイント
座り方だけで判断するのは難しいため、以下のような変化がないかを同時に確認してみてください。
- 歩き方がぎこちなくなっていないか。
- 立ち上がるときに時間がかかっていないか。
- 触れたときに嫌がったり、逃げたりしないか。
- 散歩や遊びへの意欲が落ちていないか。
これらが特に見られず、元気や食欲も普段通りであれば、急を要さないケースも多いと考えられます。
成長期・老犬で起こりやすい座り方の変化
子犬の場合、関節や筋肉が未発達なため、横座りや崩れた座り方をすることがあります。
しつけが進み、体が成長していくにつれて自然と減っていくことも少なくありません。
一方、老犬になると筋力の低下や関節のこわばりから、以前と違う座り方になることがあります。
これは加齢による変化の一部であることもありますが、痛みをかばっている可能性もあるため、頻度が増えた場合は注意が必要です。
すぐに動物病院を検討した方がいいケース
次のような様子が見られる場合は、様子見を続けず、早めに獣医師へ相談することをおすすめします。
- 座るたびに鳴く、震えるなど明らかな痛みの反応がある。
- 左右どちらか一方に極端に体重をかけて座る。
- 座ること自体を嫌がり、立ったままでいる時間が増えた。
- 座り方の変化と同時に食欲不振や元気消失が見られる。
これらは関節疾患や神経系の異常、肛門周囲のトラブルなどが隠れている可能性もあります。
犬の座り方の種類【まとめ】
犬の座り方は可愛らしい仕草のひとつですが、体からのサインでもあります。
普段との違いに気づくことが、早期発見につながることもあります。
気になる変化があれば無理に様子見せず、獣医師へ相談することも大切です。
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