
アカヒレは丈夫で飼いやすい小型魚として人気ですが、水槽の水流が強いと心配になる方も多いでしょう。
実際には意外と泳ぐ力があり、多くのフィルターにも対応できます。
本記事ではアカヒレの水流適応性と、強すぎる場合の対策やフィルター選びを解説します。
魚と水流の関係|適切でない水流が招く問題
魚には種類ごとに好む水流の強さがあります。
川の上流のような急な流れを好む魚もいれば、ため池のようなほぼ流れのない環境を好む魚もいます。
水流が適切でないと、魚にさまざまな影響が出ます。
- 水流が強すぎる場合
魚は常に流れに逆らって泳ぎ続けなければならず、体力を消耗します。
体力が落ちると免疫力も下がり、病気になりやすくなります。また、休む時間が十分に取れないことで寿命が縮む可能性もあります。 - 水流が弱すぎる場合
酸素の行き渡りが不十分になりやすく、水質の循環も悪化します。
その結果、酸欠やアンモニア蓄積など水質悪化による健康被害が出る恐れがあります。
このように、水流は魚の体調や長期飼育に大きな影響を与えるため、適切な水流環境を作ることが大切です。
アカヒレの原産地環境は不明?水流判断の根拠は飼育経験から
魚の飼育では、本来の原産地環境を参考にして水質や水温、さらには水流を設定するのが基本です。
たとえば急流に棲む魚なら強めの水流、止水域に棲む魚なら弱めの水流が適しています。
アカヒレも本来なら原産地の環境から適切な水流を想定できますが、残念ながらその自然環境はほとんど分かっていません。
理由は、中国での自然個体群が環境破壊によってほぼ絶滅し、かつての生息地も都市開発で大きく姿を変えてしまったためです。
近年、ベトナムにも分布しているという報告がありますが、現地の環境や水流の状態については詳しい情報が得られていません。そのため、原産地の情報をもとに水流の強さを判断するのは難しい状況です。
しかし、飼育下での観察からはアカヒレがメダカに近い性質を持つことが分かっています。
止水〜緩やかな流れの環境でも問題なく生活し、さらに適度な水流があっても活発に泳ぎ回る姿が見られます。
このため、実際の水流設定は飼育下での行動や体調を見ながら判断するのが現実的といえるでしょう。
アカヒレの水流に負けず泳ぐ力は意外と強い?

見方によってはひょろひょろとしていて弱弱しく見えるかもしれませんが、アカヒレは意外と泳ぐ力の強い魚です。
実際に水槽にいるアカヒレを観察するとわかりますが、常に泳ぎ回っていて縦横無尽に移動しています。
休まず泳ぎ続けているのはそれだけ体力があり、縦横垂直どの方向にも移動できるのはそれだけ泳ぎがうまい、ということです。
実際に、水槽内の水流に逆らって泳いでいる様子を見ることもできます。
魚に「遊ぶ」という感覚があるかどうかはわかりませんが、わざと水流に向かって泳ぐような行動をとることもあります。
逆に、フィルターやポンプの水流に負けて流されてしまうような様子はほとんど見られません。
日本のメダカに近い性質と書きましたが、メダカは流れに逆らう力が弱くエアリフトタイプのフィルターが推奨されることもあるくらいなので、メダカよりも泳ぐ力の強い魚だと思っていいでしょう。
アカヒレ飼育に適した水流のフィルターは?
見た目に反して遊泳力の強い魚ですので、水流の強さを気にしてフィルターを選ぶ必要はありません。
わざわざ強い流れを作ってやる必要はありませんが、フィルターが強すぎてアカヒレが流されてしまう心配はしなくても大丈夫です。
強い水流が起きやすいフィルターとしては、外掛けフィルター、上部フィルター、水中ポンプフィルターが思い浮かびますが、この中のどのフィルターを使用しても、アカヒレには特に問題ありません。
また、これ以外のスポンジフィルターやパワーフィルター、底面フィルターなどももちろん大丈夫です。
水流の強さを気にせず、水槽に見合った能力のフィルターを選びましょう。
ただし、アカヒレの改良品種の1つであるロングフィンタイプは、その長いひれが水の抵抗を受けやすく、ノーマルタイプよりも少し水流に影響されやすい傾向にあります。
ロングフィンタイプのアカヒレがフィルターの水流に巻き込まれて弱ってしまった、という話は聞いたことがありませんが、気になる人は水流を弱める工夫をしたほうがいいでしょう。
ロングフィンアカヒレと水流の工夫

ロングフィンタイプのアカヒレは、その長いヒレが水流の抵抗を受けやすいため、ノーマルタイプよりもやや水流の影響を受けやすくなります。
とはいえ、適切な工夫をすれば問題なく飼育できます。
たとえば、外掛けフィルターや上部フィルターを使用する場合は、水流が直接魚に当たらないように流出口の向きをガラス面や水槽の壁に向けるだけで水流がやわらぎます。
また、スポンジや流量調節アタッチメントを使う方法も効果的です。
水流が強すぎると感じたら、フィルターの位置や水流の向きを少し変えるだけでも魚への負担は大きく減らせます。
こうした工夫により、ロングフィンアカヒレもストレスなく泳げる環境が作れます。
水流と混泳魚の関係
アカヒレは水流に柔軟に対応できる
水流の強さは、同じ水槽で飼育する魚種の選び方にも影響します。
流れの強い水槽では泳ぎの得意な魚種が向いており、反対に流れの弱い環境ではヒレの長い魚や遊泳力の弱い魚が快適に過ごせます。
しかし、アカヒレは遊泳力が高く、止水〜中程度の水流まで幅広く対応できるため、混泳相手の制約が比較的少ない魚です。
強めの水流がある環境でも、自分から流れに立ち向かう姿が観察されるほどです。
もちろん、混泳魚の中には水流の影響を受けやすい種類もいるため、混泳の可否はアカヒレではなく相手の魚の水流適性を基準に判断するのがおすすめです。
例えば、ロングフィンベタや遊泳力の弱いグラミー類などは強い水流を避ける必要があります。
アカヒレと混泳に向いている魚の例
アカヒレは温和で泳ぎも上手なため、多くの小型温和魚と混泳が可能です。
水流に対しても強めなので、相手の水流適性が極端でない限り大きな制限はありません。
以下はアカヒレと相性が良い代表的な魚です。
- ネオンテトラ・カージナルテトラ
温和で群泳する性質があり、同じ中性〜弱酸性の水質を好みます。水流にもある程度適応可能です。 - プラティ・モーリー
カラフルで丈夫な小型魚。弱め〜中程度の水流に適応できます。 - ラスボラ系(ヘテロモルファ、エスペイなど)
性格がおとなしく群泳を好むため、アカヒレとの混泳でもトラブルはほとんどありません。 - 小型コリドラス(アエネウス、パンダなど)
底層を泳ぐため、アカヒレと遊泳域が重ならず争いが起きにくいです。水流は中程度までなら適応します。 - オトシンクルス
苔取り要員として人気。温和で遊泳力もそこそこあるためアカヒレと問題なく共存できます。
この「混泳魚リスト」を入れると、混泳水槽を考えている初心者層への訴求力が高まりますし、記事全体の網羅性も上がります。
フィルター別・水流の簡単な調整方法
アカヒレは水流に強い魚ですが、ロングフィンタイプや弱った個体には水流の調整が役立ちます。
フィルターごとにできる簡単な方法を紹介します。
- 外掛けフィルター
流出口を水槽の壁面やガラス面に向けると水流が拡散し、直接魚に当たりにくくなります。専用の流量調整レバーや水流拡散パーツを併用するとさらに効果的です。 - 上部フィルター
水の落ちる位置を壁側に寄せることで水流が柔らかくなります。排水口にスポンジやネットを軽くかぶせる方法もおすすめです。 - スポンジフィルター
水流が穏やかなので、基本的に調整不要です。どうしても流れを弱めたい場合はエア量を少し絞ることで調整できます。 - 水中ポンプフィルター
吐出口の向きをガラス面に向けたり、パイプにディフューザー(分散パーツ)を取り付けると水流がやわらぎます。
こうした調整を行えば、どのタイプのフィルターでもアカヒレが快適に過ごせる環境を作ることができます。
アカヒレに強い水流は禁物?【まとめ】
アカヒレは流れのある環境にも適応できる丈夫な魚で、水流が強くても基本的に問題はありません。
ロングフィンタイプの場合のみ水流をやや調整する工夫をすれば安心です。
フィルターは水槽サイズに合わせて選び、アカヒレの元気な泳ぎを楽しみましょう。