
犬のしっぽは感情が表れやすいかわいい部位ですが、実はとても敏感で、触られるとストレスを感じる犬も少なくありません。
本記事では「しっぽを触るのはNG?」「掴むと危険?」という疑問に、犬の体の構造や心理にも触れながら答えていきます。
犬のしっぽを触る・掴むのはダメなの?

犬のしっぽは見た目以上に敏感で、必要がないのに触ったり掴んだりするのは基本的にNGです。
しっぽには細かい神経が通っており、ちょっと触られるだけでも不快に感じる犬が多く、強く掴まれれば痛みや恐怖を覚えることもあります。
また、犬のしっぽは感情を示す“サイン”としても重要な部位です。
無防備な背後を急に触られると、犬は身を守るために反射的にびっくりしたり、怖がったりする場合があります。
普段おとなしく触らせる子でも、実は「嫌だけど我慢している」ことはよくあります。
私の家のポメラニアンも、しっぽに触ろうとするとサッと避けます。
ふさふさでとてもかわいいのに、しっぽだけは絶対に触らせてくれません。
しつこく触ると怒るので、ストレスを与えないよう最小限のケア以外では触らないようにしています。
犬がしっぽを触られることを嫌がるのは珍しくありません。触る・掴む行為は、必要なケア以外は避けるのが安心です。
犬がしっぽを触られるとストレスを感じやすい理由

犬のしっぽは見た目がかわいく、感情表現が豊かなため、つい触りたくなる人は多いものです。
しかし、しっぽは外側から見える以上に繊細な部位で、触られるだけで強いストレスにつながる場合があります。
ここでは、犬がしっぽを触られることを苦手としやすい理由を、少し掘り下げて確認していきましょう。
しっぽは“背骨の延長”で神経が集中している
犬のしっぽは単なる飾りではなく、腰の骨につながる「背骨の延長」です。
中には細い骨が連なり、その周りには神経や血管が張り巡らされています。
人間で例えるなら、背骨の先を直接つままれているようなものなので、軽く触られるだけでも不快に感じる犬は少なくありません。
また、犬にとってしっぽはバランスを取るための重要なパーツです。
走るときに進行方向を調整したり、急ブレーキをかけるときに体勢を安定させたりと、普段から多くの役割を担っています。
このため、しっぽを掴まれる・強く触られると、反射的に身を守ろうとしたり、緊張状態に陥ったりすることがあります。
触られ方によっては威圧行動と誤解されることがある
犬同士の世界では、しっぽは“距離感”や“上下関係”を伝えるためのツールでもあります。
弱っている犬はしっぽを下げ、強気な犬はしっぽを上げるように、しっぽはコミュニケーションに必要なサインなのです。
そのため、人がしっぽを急に掴んだり、強引に持ち上げたりすると、犬にとっては「威圧された」と感じることがあります。
特に、後ろから手が伸びてくると、犬は逃げ場を失ったような恐怖を覚える場合もあり、驚いて噛んでしまうケースすらあります。
普段おとなしい犬でも、しっぽだけは触られるのが苦手ということは珍しくありません。
これは性格ではなく、本能的な反応として自然なことなのです。
過去の恐怖体験がしっぽ嫌いを強める場合もある
しっぽを触られるのが苦手な理由が「性質」ではなく「経験」によることもあります。たとえば子犬の頃にしっぽを踏まれた、しつこく触られて嫌な思いをした、小さな子どもに強く引っ張られた……などの体験です。
犬は記憶力が良く、一度“不快だった部位”を覚えると、その後も触られるのを避けようとします。
飼い主がそっと触っているつもりでも、犬の中では「また嫌なことをされるかも」という警戒心が消えていないのかもしれません。
このように、しっぽが苦手な理由は「構造の敏感さ」「犬同士のコミュニケーション」「過去の経験」の複合であることが多いのです。
愛犬にストレスを与えないためにも、しっぽを触る際はできるかぎり必要最小限にとどめ、健康チェックなど“どうしても必要な場面”に限定するのが安心でしょう。
犬のしっぽに触るのはNG?やってはいけない3つのこと

感情を表すだけではなく、体のコントロールにも重要な役目があるしっぽ。
絶対にやってはいけないのは、「掴む・踏む・撫でる」です。
掴む

短いしっぽがビコビコ動く、長いふわふわしたしっぽが優雅に動く姿は、とてもかわいいですよね。
でも、掴む行為は絶対にやってはいけません。
いたずらをして捕まえようとしたときに、しっぽを掴むなんて行為は、愛犬の大きなストレスにもなるので注意しましょう。
踏む

毛の長い子や、しっぽが長い子は、特に注意しましょう。
愛犬が床で眠っているときや、お散歩に行くときなど、誤って踏んでしまわないようにする必要があります。
しっぽを踏まれると「キャン!」と鳴き、驚いた衝撃で噛みついてしまう場合もあります。
尻尾には神経が通っているため、踏まれると痛みを感じますし、ケガをする場合もあります。
撫でる

触ること、掴むことはNGだけど、撫でることはいいのでは?と思いがちですが、注意しましょう。
犬は、基本的に触られることが好きです。
特に、信頼している飼い主だからこそ、しっぽを触ることを許してくれていると思いましょう。
でも実は「我慢しているだけ」かもしれませんよ。
うちの子はしっぽを触ることを嫌がらないから大丈夫、なんて思っていると愛犬はストレスを溜め込んでしまうかもしれません。
嫌がったり、怒ったりしないからといって、しっぽを撫でる行為を長く続けないようにしましょう。
しっぽの役割

しっぽは感情表現だけでなく、体のバランスを取るためにも欠かせないパーツです。
走る・止まる・方向転換など、日常的に多くの動きでしっぽが活躍しています。
感情を示すサインとしては、次の傾向があります。
- 嬉しい → ぶんぶん大きく振る
- 怖い・不安 → しっぽを下げる、ゆっくり振る
- 悲しい → お腹に巻き込むように隠す
- 警戒 → ピンと立てて左右に強く振る
こうした大切なサインを損なわないためにも、むやみに触れすぎないことが大切です。
しっぽ以外にも触ると嫌がる部位はあるの?

基本的には、敏感な部分を触ることを嫌がるのは、人間も犬も同じです。
ただし、絶対に触ってはいけないということではなく、子犬の頃から少しずつ触ることに慣れさせておくといいでしょう。
しっぽ以外に触ると嫌がるのは、次にあげるような部位です。
●鼻先
●口周り・口のなか
●足先
●おしり周り
これらの部位は、飼い主が愛犬の体調管理や清潔を保つために触る必要のある部位でもあります。
虫歯予防に歯磨きをしたり、爪切りをしたり、おしり周りの毛をカットしたり。
嫌がる部位を無理やり触るのではなく、初めに迎え入れたときから、少しずつ触ることに慣れていくことが必要でしょう。
犬のしっぽを触るのはNG?【まとめ】
犬のしっぽは見た目以上にデリケートで、触り方によっては強いストレスや恐怖を与えてしまうことがあります。
必要なケア以外では無理に触らず、しっぽが語るサインをていねいに読み取ってあげてください。