
ポメラニアンはドイツ原産の小型犬として知られていますが、もともとは中型のスピッツ系犬種が祖先です。
そのため、まれに「先祖返り」で大きく成長する“デカポメ”が生まれることがあります。
小さく愛らしい姿で人気を集めるポメラニアンも、歴史をたどるとたくましい血統を持つ犬種。
この記事では、ポメラニアンの原産国や祖先、そしてデカポメが生まれる理由をわかりやすく解説します。

ポメラニアンの基本情報

人気の高いポメラニアンですが、まずは基本情報をまとめてみます。
- サイズ:超小犬
- 体重:1.5~2.5kg
- 体高:17~22cm
- 被毛:ダブルコート
- 毛色:10種類以上
- 性格:明るく活発。遊ぶことが大好きでとてもフレンドリー
原産国は?

日本でも人気の高いポメラニアンの原産国は、ドイツです。
1800年代に、ドイツのポメラニア地方で最初に作出されたともいわれ、当初はまだ大型犬でした。
ポメラニア地方が原産という意味ではなく、ポメラニアンの原種となる犬種が多くいたということです。
バルト海に面したドイツ北東部とポーランド北西部にまたがる地域がポメラニア地域です。
原種(祖先)は?

サエモド
ポメラニアンの原種は、スピッツ系の犬種同様の「サモエド」を祖先にもつ犬種とされています。
極寒の地ロシア北部のシベリア地方で遊牧民族のサモエド族と生活し、ソリ犬として活躍していた犬種です。
ポメラニアンの原種といわれるサモエドは、まっしろでふわふわの毛質に、温厚で遊ぶことが大好きという特徴があります。
ソリ犬ということもあって、体力もあり活発な性格を考えても、ポメラニアンの祖先というのは納得ができます。
さらに、寒い地域で生活していたサモエドは、冷たい空気をたくさん吸い込まないように鼻先が長くなっていて、吹雪の中で寒さをしのぐために顔をうずめるためのフサフサの尻尾があります。
ポメラニアンが尻尾に顔をうずめて眠っている姿は、サモエドが祖先なんだなぁと思えますね。
犬種の歴史をたどると、どこの国が原産なのかみえてきますよね。

今の姿になったのはいつから?

18世紀に英国に持ち込まれたポメラニアンは、愛犬家のヴィクトリア女王にとても可愛がられました。
当初、英国に持ち込まれたポメラニアンは14kg~23kgで、まだまだ大きなサイズで、毛色もホワイトとブラックの2色しかありませんでした。
ヴィクトリア女王は、ポメラニアンをドッグショーに出展し、自ら繁殖も手がけました。
中型犬サイズから、5kg程の小型犬サイズまでに改良された愛くるしい姿から、ヨーロッパの王族中心に小型のポメラニアンが広がっていきました。
毛色のみではなく、現在の小型化した愛くるしい姿は、ヴィクトリア女王がポメラニアンを愛してくれたからこそなんですね。
どこの国で生まれ、どこの国で改良されるかで、姿かたちが大きく変わっていくものなんですね。
祖先であるスピッツの愛らしい姿を残しつつ、小型化して現在も愛され続けているなんて、歴史を感じずにはいられません。
ポメラニアンの血統と世界での広がり

ヨーロッパから世界へ広まった背景
ヴィクトリア女王によって小型化されたポメラニアンは、その後ヨーロッパ全土に急速に広まりました。
19世紀後半にはフランスやイタリアでも上流階級の婦人たちに愛され、愛玩犬としての地位を確立します。
さらに1900年代初頭、移民によってアメリカへも渡り、「ポメラニアン」という名称が一般的になりました。
アメリカンケネルクラブ(AKC)では1900年に正式登録され、現在では世界中で人気のトイ種として知られています。
日本に入ってきた時期
日本にポメラニアンが入ってきたのは戦後間もない1950年代頃といわれています。
当初は珍しい洋犬として一部の富裕層や芸能人の間で飼われていましたが、1980年代以降になるとペットショップでの流通が増え、家庭犬として一般化しました。
1990年代には「人気犬種ランキング」で常に上位にランクインするほどの人気ぶりとなり、現在もその地位を保ち続けています。
現代のポメラニアンの多様化
近年では、毛色のバリエーションが増えたほか、「ティーカップポメラニアン」などの超小型個体も人気を集めています。
ただし、過度な小型化は骨格や内臓の弱さを招くリスクもあるため、健康重視のブリーディングが求められています。
一方で、原種に近い骨太でしっかりした体格の「クラシックポメラニアン」も再注目されており、ドイツや北欧では原点回帰の動きも見られます。
先祖返りで巨大化するデカポメとは?

原種はスピッツという大型犬を祖先にもつポメラニアンですが、基本サイズよりも大型化している「先祖返り」をする子もいるんです。
先祖が中型から大型のポメラニアンは、先祖返りをすると大きく育ちます。
これは、ずっと前の祖先がもっていた遺伝上の形質が子孫に突如現れることです。
人間のまわりをチョコチョコと走るかわいい姿を想像して飼い始めたポメラニアンが、10kg程の柴犬並みの「デカポメ」に成長するんです。
本当にポメラニアンなのか?と疑いたくなるほどの大きさになりますが、愛くるしいビジュアルはそのままなので可愛さも倍増しませんか?(笑)
チワワに次ぐ体の大きさから、骨格が細いので骨折に注意が必要なポメラニアンが先祖返りで大型になったら心配ですよね?
先祖返りしたポメラニアンは、祖先のおかげで強い骨格で成長するのでケガをしづらいのが特徴です。
もし、自分が飼ったポメラニアンが先祖返りしたとしても、祖先を理解していたら驚くこともないと思いませんか?

ポメラニアンはどこの国の犬?【まとめ】
ポメラニアンはドイツのポメラニア地方をルーツに持ち、祖先にはスピッツやサモエドなどの力強い犬たちがいました。
その血が今も受け継がれているからこそ、先祖返りでデカポメが生まれることもあります。
小型でも大型でも、どのポメラニアンも長い歴史の証。
原産国や祖先を知ることで、あなたの愛犬をより深く理解できるはずです。