ドッグランに行くと「この犬種は嫌われる」「向かない犬がいる」といった話を聞くことがありますよね。
ですが実際には、嫌われる原因は“犬種”そのものより 行動・性格・慣れの差 によることがほとんどです。
この記事では、ドッグランで嫌われやすいと言われる犬種の噂の真相、向かない犬の共通点、愛犬が嫌われないためのポイント、トラブルを避けるコツまで、初めての方でも分かりやすくまとめています。
これからドッグランを安心して楽しみたい方のための完全ガイドです。
ドッグランで“嫌われる犬種”は本当に存在する？
犬種そのものが嫌われるわけではない
「この犬種は嫌われやすい」「あの犬種は向かない」といった話はよく耳にしますが、実際には “犬種そのもの”が嫌われるわけではありません。
ドッグランでトラブルの原因になるのは 犬種ではなく “行動” と “性格の傾向” がほぼ100％です。
柴犬など一部の犬種が例に挙げられることがありますが、これは「噂が広がりやすい背景」「見た目の印象」「性格の個体差の幅が大きい」などが組み合わさった結果で、全ての柴犬が嫌われるわけではありません。
また、小型犬であっても
- 過保護に扱われて社会性が育っていない
- 興奮しやすく吠えやすい
- 飼い主がすぐ抱き上げてしまうため距離感の学習ができていない
などの理由から、他の飼い主に「扱いが難しい」と思われることもあります。
さらに、自治体が定める “特定犬種（危険犬種）” がドッグランで制限されるケースもあります。
ただし、これは「嫌われる犬種」ではなく、あくまで 事故を防ぐための施設側のルール に基づくものです。
つまり結論はひとつ。
犬種名よりも「どのような行動が嫌われるのか」を理解した方が、トラブルを避けやすくなります。
ドッグランに向かない犬の特徴とは
ドッグランでトラブルになりやすい犬には、犬種よりも 行動パターンや性格の傾向 に共通点があります。
もし愛犬に当てはまる部分があれば、事前の対策をすることで安全に利用できます。
落ち着きがなく興奮しやすいタイプ
初めての場所や犬を見ると興奮しやすく、テンションが一気に上がってしまうタイプです。
悪気はなくても走り回ったり飛びついたりしやすいため、他の犬から「怖い」と思われてしまうことがあります。
特に若い犬や運動量の多い犬に多く、事前に軽い散歩で興奮を落としておくとトラブルを避けられます。
犬との距離感が分からず“突っ込み型”になるタイプ
初対面の犬に勢いよく近づいたり、一方的ににおいを嗅ぎ続けたりする犬は、相手の犬から嫌われやすい傾向があります。
犬同士にもパーソナルスペースがあるため、距離を詰め過ぎると相手が防衛反応を見せることがあります。
最初の数分だけリードをつけて様子を見せると、こうした行動を抑えられます。
警戒心が強く、吠えやすいタイプ
見慣れない犬や人が多い環境は、警戒心の強い犬にとってストレスが大きい場所です。
吠える・唸る・身構えるなどの行動は防衛反応であり、攻撃の意思ではない場合がほとんどですが、周りには「攻撃的な犬」と誤解されやすいのが問題です。
静かなエリアを選んだり、混雑時間を避けることで過ごしやすくなります。
噛み癖・飛びつき癖があるタイプ
しつけが十分でない場合、相手の犬に怪我をさせる恐れがあります。
軽い甘噛みであっても、相手からすると“攻撃された”と感じられるため嫌われてしまいます。
呼び戻し（おいで）の練習や、飛びつき防止の基礎トレーニングは必須です。
飼い主への依存が強く“守りモード”になりやすいタイプ
飼い主が大好きすぎる犬は、他の犬が近づくと「取られる！」と感じて防衛反応が出ることがあります。
特に小型犬に多く、吠えたり、割り込んだりする行動が出やすくなります。
飼い主が少し距離を取り、犬同士で落ち着いて匂いを嗅ぎ合える環境を作ることが大切です。
追いかけ回す行動 ― 遊びのつもりでも“怖い”と思われることがある
犬が他の犬を追いかける行動は、基本的には遊び・興奮・狩猟本能のいずれかによるものです。
ただし追われる側は、
- テンションが合わない
- 犬付き合いが苦手
- 過去に怖い経験がある
などの理由で、遊びではなく“逃げたい”と感じている可能性があります。
追いかける側に悪意はなくても、相手の飼い主からは
「うちの犬がいじめられている」
と見えてしまうため嫌われやすくなります。
しつこい匂い嗅ぎ・マウンティング ― 犬同士の挨拶が誤解されやすい行動
犬にとってお尻の匂いを嗅ぐことは大切なコミュニケーションですが、相性が悪いと相手が強く嫌がることがあります。
特に
- 長時間しつこく嗅ぐ
- マウンティングを連発する
と、相手の犬が強いストレスを感じやすく、“しつこい”“嫌な犬”と判断されてしまいます。
マウンティングは支配欲ではなく、興奮や不安が原因のことも多く、犬が悪いわけではありません。ですが、飼い主が制御しないまま続けさせるとトラブルの原因になります。
軽い威嚇・吠え ― 防衛反応なのに“攻撃的”と誤解される
初対面の犬が多いドッグランでは、警戒心が強い犬は「距離を取りたい」という意思表示として吠えることがあります。
これは攻撃ではなく “やめてほしい”という合図 ですが、多くの飼い主は
「吠える＝怖い犬」
と受け取るため、嫌われやすくなります。
吠えてしまう犬は悪くありません。
問題は、飼い主がその状態を放置することです。相手から距離を取ったり、静かな場所に移動するだけでトラブルは簡単に避けられます。
特定犬種が制限されるドッグランがある理由
「特定の犬種はドッグランに向かない」「入場を断られる犬種がある」という話を聞いたことがある方も多いと思います。
しかしこれは “嫌われている” のではなく、法律や施設の運営方針に基づいた安全対策 の一環です。
ここでは、なぜ特定犬種が制限されることがあるのか、その背景を事実ベースで整理します。
自治体が指定する“特定犬種（危険犬種）”の存在
一部の自治体では、咬傷事故の防止のために「特定犬種」を定めている場合があります。
これらは犬種そのものが危険という意味ではなく、
- 体格や力が大きい
- 事故が起きた際の被害が大きくなる
という理由から「より厳しい管理が必要」とされているだけです。
このため、自治体の条例に合わせて ドッグランが入場制限を設ける ケースがあります。
体格差による事故リスクを避けるため
小型犬と大型犬が同じエリアにいると、悪気がなくても 衝突や転倒で怪我が起こる 可能性があります。
そのため多くのドッグランでは
- 小型犬エリア
- 中・大型犬エリア
に区分されています。
また、力が強い犬は遊びの延長で相手を押し倒してしまい、相手側の飼い主が不安を感じるケースも多く、これが「特定犬種はやめてほしい」という声につながることがあります。
施設ごとに基準が異なるため“断られることがある”
運営方針は施設によって全く異なります。
同じ犬種でも
- 入れる施設
- 条件付きで入れる施設
- エリアが限定される施設
- 完全に不可の施設
と対応が分かれます。
これは安全管理上の判断であり、犬種への偏見ではありません。
そのため「特定犬種だから嫌われる」というより
✔ 施設ごとのルールを事前に確認するのが大切
というだけの話です。
ドッグランで“好かれやすい犬”の特徴
嫌われる犬の特徴ばかりが注目されがちですが、実際のドッグランには「自然と他の犬や飼い主に好かれる犬」も多くいます。
ここでは、犬種とは関係なく“好かれやすい犬”に共通するポイントを紹介します。
落ち着いていて、相手のペースに合わせられる犬
相手が怖がっている時は距離を取り、遊びたい犬にはテンションを合わせられる――そんな“空気の読める犬”は、どんな犬にも好かれます。
これは生まれつきの性格だけでなく、日頃の散歩や家庭内での落ち着いた環境が大きく影響します。
穏やかで感情の波が大きくない犬は、周りの飼い主からも好印象です。
遊び方が上手で、興奮しすぎない犬
テンションが高すぎると相手が引いてしまいますが、ほどよく遊べる犬は相手に安心感を与えます。
- 追いかけても深追いしない
- 匂いを嗅ぎすぎない
- 相手が止まったら自分も止まる
こうした“ブレーキ”が上手い犬は、トラブルが少なく、自然と他の犬から好かれやすいタイプです。
飼い主とコミュニケーションが取れている犬
呼び戻しができる、声がけに反応する、落ち着いて歩けるなど、飼い主との関係性が安定している犬は、周りの飼い主にも安心感を与えます。
飼い主がよく見ていて、必要なタイミングで介入できると、犬同士のトラブルも起こりにくくなります。
“しつけの行き届いた犬＝好かれる犬”というより、
“飼い主がよく見守っている犬＝安心して交流できる犬”
というイメージに近いです。
愛犬が嫌われないためにできる対策
ドッグランでのトラブルは、ほんの少しの工夫で大きく減らすことができます。
「うちの子、大丈夫かな？」と心配な飼い主さん向けに、今日から実践できる対策をまとめました。
犬種よりも “飼い主がどう関わるか” が印象を左右するポイントになります。
入場前に軽く散歩して“興奮エネルギー”を落としておく
ドッグランで起こる多くの問題は、犬がハイテンションのまま入場してしまうことが原因です。
初めての場所・犬の匂い・広いスペース——すべてが刺激になるため、興奮しやすい犬は一気にスイッチが入ります。
入場前に
- 10〜15分ほど通常散歩
- ニオイ取りやトイレを済ませる
- 走らせ過ぎず、落ち着く程度に歩かせる
この“ひと手間”だけで、トラブルの8割が消えるほど効果的です。
最初の5分はリードを付けたまま様子を見させる
多くの人がいきなりリードを外しますが、初対面の犬が集まる場所で一気に解放された犬は、興奮しやすく制御も難しくなります。
最初の数分は
- リードを付けたまま周囲を観察
- 相性の合いそうな犬を近距離で確認
- 犬同士の匂い嗅ぎを“短時間”で促す
これだけでその日の雰囲気が決定します。
“ゆっくり慣れさせる”ことが、嫌われない第一歩です。
苦手な犬・しつこい犬がいる場合はエリアを変える
ドッグランには、相性がどうしても合わない犬が一定数います。
これは悪いことではなく、人間同士と全く同じ「合う・合わない」があるだけです。
そんなときは
- 小型犬エリア / 大型犬エリアを使い分ける
- 一度退出して再入場する
- 人の少ない端のスペースに移動する
“揉める前に場所を変える” のが最も平和で確実です。
呼び戻し（おいで）ができると安心感が段違い
追いかけてしまう、興奮しやすい、犬との距離感が苦手——
どんなタイプでも「呼び戻し」ができるだけでトラブルがほぼ回避できます。
呼ばれて戻れる犬は
- しつこくなりすぎない
- 興奮を途中で断ち切れる
- 周りの飼い主から安心して見てもらえる
という大きなメリットがあります。
“完璧に戻る必要”はありません。
7割戻れれば十分安全 です。
犬同士の“イヤなサイン”を早めに察知して対処する
犬は本気になる前に、小さなサインで「もう嫌だよ」と伝えています。
代表的なサインは
- 顔をそむける
- 目を細める・まばたきが増える
- 体をかがめる
- 尻尾が下がる
- 一点だけをじっと見つめる（固まる）
これを飼い主が見逃さなければ、ほとんどのトラブルは起こりません。
“行動が大きくなる前にケアする”ことが、とても大切です。
嫌われる犬（しつこい犬）に遭遇した時の安全な対処法
ドッグランでは、自分の犬が嫌われるだけでなく、“相手の犬がしつこいパターン” もよくあります。
追いかけられたり、匂いを嗅がれ続けたり、飛びつかれてしまうと、犬も飼い主もストレスを感じますよね。
ここでは、相手に悪気がない場面でも安全に過ごせるよう、飼い主ができる対処法を分かりやすくまとめました。
しつこく絡まれたとき、多くの飼い主がつい抱き上げてしまいます。
しかし抱っこは状況により、逆効果 になることもあります。
抱き上げるべき場面と、逆に抱き上げない方がいい場面
抱き上げても良い場面
- 自分の犬が明確に怯えている
- 小型犬で体格差が大きく危険なとき
- 相手の飼い主が制止せず、状況の改善が見込めないとき
※命の危険・衝突の危険がある場合は即保護が正解です。
抱き上げると逆効果になる場面
- 自分の犬が興奮していて、抱っこで余計に刺激が強まる
- 相手の犬が“高い位置の犬を追いかける”と勘違いする
- 飼い主が不安そうにすると、犬がさらに緊張する
抱っこは最終手段であり、基本は 落ち着いて距離を作る のが理想です。
場所を移動するのが最もトラブルが少なく、確実
最もシンプルで安全なのは「その場を離れる」ことです。
- 端のスペースへ移動
- 別のエリアに移る
- 一度退場して10分後に戻る
相手の犬から距離を置くだけで、ほとんどの問題は自然に解決します。
特に 相性が悪い犬同士は、近くにいるだけで緊張を生む ため、物理的な距離が最も平和的です。
飼い主同士で揉める心配もなく、空気を悪くせずに避けられる方法でもあります。
飼い主同士のコミュニケーションは“短く柔らかく”でOK
相手の犬がしつこい場合、「注意すべき？」と悩む人は多いですが、実際にはトラブルになりやすいのは“飼い主同士”です。
伝えるときは、
「ちょっと怖がっているので距離をあけますね〜」
と柔らかく“自分側の理由”として言うと角が立ちません。
相手の犬を責めるより、
- トーンを下げる
- 責任の所在を曖昧にする
- その場を離れる
これだけで不必要な衝突を避けられます。
自宅にミニドッグランを作るという選択肢もある
ドッグランで他の犬と相性が合わなかったり、怖がり・興奮しやすい性格の場合は、無理に交流を続けるよりも 安全に運動できる環境を別に作る という選択肢があります。
庭やベランダの一部に人工芝を敷き、簡易フェンスで囲うだけでも、愛犬が安心して走れる“自宅用ミニドッグラン”として十分に機能します。
もちろん公共のドッグランとは目的が異なりますが、
- 他の犬が苦手な子のストレス軽減
- 若い犬の発散
- 雨の日や短時間の運動補助
などに便利で、外のドッグランが苦手な犬にとっては実用的な代替案になります。
もし興味があれば、こちらで詳しく解説しています
まとめ：犬種より“行動と環境づくり”がすべて
ドッグランで嫌われる犬がいる、向かない犬種がある——そんな話はよく聞きますが、実際には 犬種そのものが嫌われるわけではありません。
犬同士の距離感の取り方、興奮のしやすさ、社会化の経験、そして飼い主の見守り方によって、ドッグランでの印象は大きく変わります。
- 興奮しやすい犬は、入場前に少し散歩するだけで落ち着きやすくなる
- 初対面の犬が多い場所では、最初の数分をリード付きで様子見するだけでトラブルが減る
- 相性の悪い犬がいるときは、場所やエリアを変えるだけで解決することも多い
- 飼い主が犬同士の“いやなサイン”を理解していると、余計な衝突を避けられる
こうした小さな工夫だけで、愛犬は嫌われる犬ではなく「安心して交流できる犬」へと変わっていきます。
ドッグランは本来、犬が自由に走り回り、楽しく過ごせる場所です。
無理をせず、愛犬の性格に合った使い方をしながら、また行きたくなるような楽しい時間を作ってあげてください。
