
うさぎを飼うと必ず直面するのが「毛が抜ける」という現象です。
特に換毛期には驚くほど毛が舞い上がり、掃除や健康管理が大変に感じることもあるでしょう。
本記事では、うさぎの毛が抜ける原因とその対策を詳しく解説し、毛球症や皮膚病といった注意点についても触れていきます。
飼い主さんが安心してケアできるようにまとめました。
うさぎの毛が抜ける最大の理由は「換毛期」

うさぎには、夏毛と冬毛があります。
テレビなどで、野生のノウサギが夏は灰色の毛をしていて、冬になると真っ白な冬毛に変わる様子を見たことがある方もいるのではないでしょうか。
室内で飼育しているうさぎも季節の変わり目には、毛が抜け夏毛と冬毛が入れ替わります。
しかし、うさぎを飼育していると、季節の変わり目じゃないのに、最近毛がすごく抜けているなぁと思う事があると思います。
筆者のうさぎも、季節にあまり関係なく換毛している事があります。
病院を受診した際に獣医さんに聞いたのですが、室内で飼育しているうさぎの換毛は季節にあまり関係ないと言っていました。
種類に関係なく、いつ換毛するのかはよく分からないと言っていました。
おそらく、室内で飼育されているうさぎは、夏も冬もエアコンで快適な温度の元飼育されている事が多いです。
また外敵もいないので周囲の色に溶け込む必要がないため、野生のうさぎのように厳密に季節に合わせて換毛する必要がないのかと思います。
また、去勢や避妊手術をしたうさぎもホルモンの関係で季節によらず、換毛する事が多いようです。
うさぎの毛が抜ける原因はほとんどの場合、自然現象の毛の生え変わりによる物ですが、その時期はあまり厳密に決まっていないようです。
換毛期のうさぎを快適に過ごさせるための工夫
室内環境の工夫
換毛期は毛が舞いやすく、空気中の毛が人にもウサギにも負担になります。
空気清浄機を設置したり、こまめに掃除機をかけることで、毛の舞い散りを抑えることができます。
掃除機は静音タイプを選ぶと、音に敏感なうさぎのストレスを減らせます。
食事と水分で腸内の動きを助ける
毛球症を予防するためには、牧草を中心とした高繊維の食事を徹底することが重要です。
特にチモシーの一番刈りは繊維が豊富で、飲み込んだ毛を便と一緒に排出しやすくしてくれます。
また新鮮な水を常に用意し、水分摂取を促すことも腸の動きを助けるポイントです。
飼い主ができるスキンシップ
毛が抜けている時期は、うさぎにとって身体的にもエネルギー的にも負担が大きくなります。
撫でて毛を取ってあげたり、静かに寄り添うことで安心感を与えることができます。
ただし無理に抱っこすると逆にストレスになるため、うさぎが落ち着いている時に優しく触れてあげるのがベストです。
うさぎの換毛期と食欲の関係
換毛期に食欲が落ちやすい理由
換毛期は毛の生え変わりのためにエネルギーを多く消費する時期です。
そのため普段より疲れやすく、体調を崩す個体もいます。
自分の毛を飲み込むことで胃腸に負担がかかり、毛球症の前段階として食欲が落ちるケースもあります。
食欲が落ちた時の工夫
牧草を常に新鮮な状態で与えることが基本です。
香りのよいチモシーの一番刈りに替える、細かくカットされた柔らかめの牧草を混ぜるなどで食欲が戻ることがあります。
また、水分をしっかり取らせるために水を頻繁に交換したり、飲みやすい器に変えるのも有効です。
受診を検討すべきサイン
半日以上まったく牧草やペレットを食べない、うんちが小さくなっている・出ていないといった場合は、毛球症や胃腸のトラブルが進んでいる可能性があります。
この場合は様子見をせず、すぐに獣医師の診察を受けることが大切です。
うさぎの毛が抜ける理由:換毛期以外

ストレス
うさぎはとても繊細な動物で、環境の変化や騒音、孤独などで強いストレスを受けると自分で毛を抜いてしまうことがあります。
これは「毛引き」と呼ばれる行動で、落ち着かない時やケージ環境が合っていない時に起こりやすいです。
引っ越しや新しいペットの導入など、生活環境の急な変化がきっかけになることもあります。
皮膚病(真菌・ダニなど)
カビ(皮膚真菌症)やダニなどの寄生虫は、部分的に円形脱毛を起こす典型的な原因です。
皮膚が赤くなったり、かさぶたやフケのようなものが出ることもあります。
うさぎ自身が痒がって掻き壊すことで毛が抜け、さらに悪化させてしまうことも少なくありません。
治療には専用の薬が必要なため、病院での診断が欠かせません。
ホルモンバランスの乱れ
避妊や去勢手術後はホルモン分泌のバランスが変化し、毛の生え変わりが不規則になることがあります。
また、ホルモン異常を伴う病気(副腎や甲状腺のトラブルなど)によって毛が薄くなるケースもあります。
特に換毛期でもないのに全身の毛並みがバサバサしていたら、ホルモン由来の可能性を疑う必要があります。
栄養不足
毛はタンパク質やビタミン、ミネラルからできているため、栄養が不足すると毛並みに直接影響が出ます。
例えば牧草をあまり食べずにペレットやおやつばかりだと、繊維やビタミン不足で毛艶が悪くなり、抜け毛が増えることがあります。
牧草中心の食事と適切なペレットのバランスが大切です。
アレルギー反応
床材やトイレ砂、洗剤、ハウスの素材などに反応して皮膚炎を起こすことがあります。
特に合成繊維や香料入りの砂は、皮膚が弱いうさぎに合わないことがあります。
皮膚炎が起きるとその部位の毛が抜け、痒みからさらに掻き壊す悪循環になるので、原因となる素材を取り除くことが重要です。
高齢による影響
加齢によって新しい毛の生える力が弱くなり、若い頃より毛が薄くなったり抜けやすくなることがあります。
高齢のうさぎでは皮膚の代謝も落ちるため、ブラッシングや栄養管理でサポートすることが必要です。
これは病気ではなく自然な老化現象の場合が多いですが、極端な脱毛は病気との区別が必要です。
うさぎの毛が抜ける体の部位ごとの理由

うさぎの目の周りの毛が抜ける
目の周りの毛が抜ける場合は、結膜炎や流涙症などで目が常に涙で濡れていることが多いです。
涙やけによって毛が抜けたり皮膚炎を起こしたりします。細菌やカビの感染も考えられるため、赤みや腫れを伴う場合は獣医師の診察が必要です。
うさぎの背中の毛が抜ける
背中は広範囲の換毛がよく見られる部位ですが、部分的にごっそり抜けている場合は皮膚真菌症(カビ)やダニの寄生が疑われます
。円形脱毛のように境目がはっきりしている場合は皮膚病の可能性が高いです。
うさぎの耳の毛が抜ける
耳は皮膚が薄くトラブルが出やすい部位です。
疥癬(かいせんダニ)に感染すると耳の中や周辺にかさぶたができ、かゆがって毛が抜けてしまうことがあります。
耳をしきりに掻く、振るといった行動がある場合は要注意です。
うさぎの足の毛が抜ける
足の毛が抜ける原因の多くはソアホック(足底皮膚炎)です。
硬い床材やワイヤーケージで生活していると足裏に負担がかかり、毛が擦れてなくなり、赤くただれることがあります。
早めに柔らかい床材を敷き、清潔な環境に整えることが大切です。
うさぎの首の毛が抜ける
首回りはうさぎが自分で毛をむしる「毛引き行動」が起きやすい部位です。
ストレスや発情行動が関係していることがあります。
特にメスは巣作り本能から首や胸の毛を自ら抜くこともあります。
うさぎのおしりの毛が抜ける
おしりの毛が抜ける場合、不衛生な環境による皮膚炎や下痢で毛が汚れて抜けるケースが多いです。
また、換毛期にはおしりからごっそり抜けることもありますが、赤みやただれがある場合は病気の可能性があるため、注意が必要です。
うさぎの毛が抜ける場合の処理方法

うさぎの換毛期は、少し撫でるだけでふわふわした毛が沢山舞い上がります。
アレルギーの家族がいる場合などは、どのように対策をしたらいいのでしょうか。
一番の対策として、うさぎ用のブラシが売られているので、ブラッシングをして毛を取ってあげると良いでしょう。
その際は、衣服に毛が沢山付着するので、エプロンなどを装着し、マスクをして行なった方が良いです。
一方で、筆者のうさぎが通っている病院では、うさぎは皮膚が弱いため強くブラシでとかすと皮膚が傷ついてしまう恐れがあると言っていました。
そこの病院では、ブラッシングよりも手で頭からお尻まで撫でてあげるとお尻の方に毛が集まるので、それを取るくらいで良いと言っていました。
ブラッシングする際も、強い力では行わないようにしましょう。
うさぎの毛が抜る際の注意点

うさぎの毛が抜けている時、うさぎは多くのエネルギーを消費しているようです。
うさぎによっては少し元気がなかったり寝る時間がいつもより多かったりするようです。

また、うさぎが自分で毛繕いする際に毛を飲み込んでしまい、お腹に溜まり、胃腸の動きが悪くなる毛球症になる場合もあります。
毛を飲み込んでしまう事を完全に防ぐことはできないので、うんちと一緒に毛を排泄してもらう事がとても大事です。
牧草など繊維質の豊富なものをしっかり食べてもらい、うんちと一緒に毛をしっかり排泄してもらいましょう。
また、換毛期ではなくうさぎの身体の一部だけ、ごっそりと毛が抜けたり、うさぎが身体を痒がっていたりする場合は、カビなどの皮膚の病気の可能性があります。
また、環境の変化などのストレスがかかった場合に、うさぎ自身で毛を抜いてしまう事があります。
いずれの場合も、皮膚が見えるほど毛が抜けている場合は、すぐに受診しましょう。
うさぎの毛が抜ける原因と対策は?【まとめ】
うさぎは換毛期に大量の毛が抜けるため、掃除やブラッシング、食事管理といった工夫が欠かせません。
特に毛球症の予防は重要ですので、牧草と水をしっかり与えることを習慣にしましょう。
また、部分的な脱毛や痒みが見られる場合は病気の可能性もあるため、早めに獣医師へ相談することが安心です。
毛の生え変わりを自然なサイクルとして理解し、うさぎと一緒に健やかに過ごしていきましょう。