
「ハリネズミは針で守られているから天敵はいない」と思う人も多いでしょう。
しかし実際には肉食獣や猛禽類が狙う小動物であり、人間の生活環境も脅威となっています。
この記事ではハリネズミの天敵とその生存戦略、そして飼育時に気をつけたい安全対策について解説します。
ハリネズミの生態

まず最初に、野生のハリネズミはいったいどんな生態をしているのか、見ていきましょう。
ハリネズミはヨーロッパ、アフリカ、中近東、東アジア、ロシア、インドなどに住んでいて日本だと外来種として扱われます。
ハリネズミの一番の特徴であるその針は約7000本ぐらいあると言われており、その針は自分の体毛でできています。
またその針は敵の攻撃から体を守るだけではなく、高いところから落ちたときにその衝撃を和らげるという役割も持っています。
そして怒ったとき体を丸め針を逆立てることもありますが、少しだけ驚いたときはオデコのところだけの針を立てて頭突きするということもするようです。
またハリネズミは昼間寝て夜に行動する夜行性で基本的に単独行動をしています。
そして何か知らないものの臭いを嗅いだときそれを舐めたり齧ったりしながら自分の口の中で唾液と混ぜてその長い舌を使い背中や脇腹に塗ります。
この行動をするとその齧ったものと同じ色に変わることから外敵から身を守るための行動だと言われています。
ハリネズミに天敵はいるの?
ハリネズミの天敵は肉食獣や猛禽類

次にハリネズミの天敵について見ていきましょう。
ハリネズミの天敵は山猫、コヨーテ、テン、穴熊、キツネなどの哺乳類の肉食獣の他にもタカ、ワシ、フクロウなどの猛禽類です。
ハリネズミの弱点は、針がついていない頭

しかしハリネズミには針があるのどうやって食べられてしまうのか、実は唯一針がついていないところがあります。
それは頭です。
群れで行動しているならお互いにカバーしあえるのですが、ハリネズミは単独行動をしているので無情にも天敵の動物たちはこの針がない頭を攻撃し、そのあと針が無いお腹の方から捕食していくのです。
ハリネズミの飼育時に天敵から身を守るための対策は?

ハリネズミの天敵である肉食獣や猛禽類は野生であれば気を付けないといけませんが、ペットとして飼育している分にはあまりリスクは高くありません。
- 室内で飼育する。
- ハリネズミが脱走しないように注意する。
- 部屋に人がいないときは部屋の窓を閉めておく
上記3点を守っていれば、ハリネズミが天敵から襲われるリスクはほぼゼロに抑えることが可能となります。
野生下でのハリネズミの生存戦略と限界

針があっても防げない攻撃
ハリネズミの針は確かに強力な防御手段ですが、すべての敵から身を守れるわけではありません。
猛禽類のように空から急襲する捕食者には、背中の針で防御する前に頭部や顔を狙われることがあります。
またキツネやテンなど地上の捕食者は執拗に狙い続け、体を丸めても隙を突かれるケースがあります。
針は万能ではなく「最後の盾」としての役割にすぎないのです。
天敵との力関係
野生下でのハリネズミはあくまで小動物であり、天敵に対して優位に立つことはできません。
彼らの強みは「捕まりにくさ」であり、危険を察知すると素早く物陰に隠れ、針を逆立てて威嚇します。
しかし一度捕まってしまえば、針のない頭部やお腹を攻撃されて命を落とすことも少なくありません。
つまり天敵との力関係は「防御重視でなんとか生き延びる」という状況にあります。
人間による環境の変化も脅威
近年では野生のハリネズミにとって天敵以上に深刻なのが、人間による環境の変化です。
農薬の使用による餌不足、道路での交通事故、ペットとしての乱獲などが個体数減少につながっています。
自然界での天敵だけでなく、人間活動による間接的な脅威も彼らの生存を圧迫しているのです。
ハリネズミは室内飼育でも天敵には要注意

お散歩で外出時のリスク
ハリネズミを外で散歩させる飼い主もいますが、これは大きなリスクを伴います。
外にはカラスや野良猫、犬などが潜んでおり、ほんの数分目を離しただけで襲われる危険があります。
また、針があるからといって完全に防げるわけではなく、頭部やお腹を狙われれば命に関わります。
外に出す場合は必ずケージやキャリーに入れて移動し、放し飼いは避けることが大切です。
脱走時のリスク
室内であっても、ケージの隙間や扉の閉め忘れから脱走してしまうことがあります。
脱走したハリネズミは狭い隙間や家具の裏に隠れてしまい、見つからないまま弱ってしまうケースもあります。
さらに、窓やドアが開いていると外に出てしまい、野良猫やカラスなど天敵に狙われる可能性も高まります。
日常的にケージのロックや窓の施錠を確認し、脱走防止を徹底しましょう。
他の動物との同居のリスク
猫や犬、鳥などのペットと同居させることも天敵リスクの一つです。
特に猫や小型犬は好奇心からハリネズミを追いかけたり噛もうとする場合があり、ハリネズミに強いストレスや怪我を与える恐れがあります。
鳥の場合も羽ばたきや鳴き声がストレスとなり、逆に鳥が針に触れてケガをする可能性があります。
同居は基本的に避け、どうしても同じ家で飼う場合は部屋を分けて管理することが望ましいです。
ハリネズミと他の動物の同居は可能?
ハリネズミと猫の同居

猫は本能的に小動物を狩る習性があるため、ハリネズミを「獲物」として認識してしまう可能性があります。
ハリネズミが丸まって針を立てても、猫は前足でちょっかいを出したり、しつこく覗き込んだりするため、ストレスを与えるリスクが高いです。
特に若い猫や活発な猫の場合は危険性が増します。
そのため基本的にはケージをしっかり閉めて、直接接触させないことが望ましいです。
ハリネズミと犬の同居

犬の場合も注意が必要です。
狩猟本能が強い犬種や好奇心旺盛な子犬は、ハリネズミを追いかけたり噛もうとすることがあります。
小型犬なら大きな力で噛むことは少ないですが、ハリネズミが強い恐怖を感じて体調を崩すことがあります。
大型犬の場合は一噛みで致命的になる可能性もあるため、同居は基本的に避けるべきです。
どうしても同じ部屋で飼う場合は、犬をケージに入れるかリードで管理するなどの工夫が必要です。
ハリネズミと鳥の同居は可能?

鳥とハリネズミの同居は基本的におすすめできません。
小鳥の羽ばたきや鳴き声は、ハリネズミにとって猛禽類を連想させる強いストレスになります。
逆にハリネズミの夜行性の活動音や匂いは鳥を不安にさせることもあります。
さらに、鳥が不用意に近づくと針に触れてケガをする危険性もあるため、同じ部屋での飼育は避けた方が安心です。
どうしても同じ家で飼う場合は、別の部屋に分けて直接接触を防ぐことが大切です。
実はハリネズミは食用だった?

それでは最後にハリネズミの意外な歴史についてお話ししたいと思います。
実はハリネズミは多くの文化圏で食材の一つとして扱われていることがわかっています。
その歴史を遡ると一番古いと古代エジプトの時代から料理に使われていたようです。
またヨーロッパ中世の後期に作られたとされるレシピにはハリネズミの肉を使うという記録が残されているのだそうです。
そして現代でもロマと呼ばれる人達はハリネズミをローストして食べているのだそうです。
また食材としてだけではなく、主に中東やアフリカなどで民間療法をするための材料としても取引されているようです。
ハリネズミの天敵ってどんな動物?【まとめ】
ハリネズミは野生下で肉食獣や猛禽類に狙われるだけでなく、人間の環境破壊も大きな脅威となっています。
ペットとして飼育する際は室内環境を整え、脱走防止や窓の施錠を徹底することで安心して暮らせます。
ハリネズミの天敵や生存戦略を理解することは、野生の姿を知ると同時に、私たちが飼育する上での責任を考える手助けになるでしょう。