
イタチは可愛らしい見た目とは裏腹に、家に棲み付くと大きな被害をもたらす害獣です。
本記事では、ナフタリンを使った手軽な対策を中心に、忌避スプレーや超音波機器、侵入経路を塞ぐ方法など、安心して暮らすための実践的な対策を解説します。
イタチってどんな動物?

オコジョ、イイズナ、ミンク、ニホンイタチ、フェレットは全て「イタチ属」であり、「イタチ」として総称されます。
その中でもイタチとして呼ばれるのは、ニホンイタチとチョウセンイタチで、これらは日本全国に生息すると言われています。
ニホンイタチは名前のとおり日本に昔からいる種ですが、チョウセンイタチは外来種が定着した種になります。
ここでは、ニホンイタチとチョウセンイタチについてお話ししたいと思います。
オスが大きくメスは小さい
まずは、イタチのオスとメスの大きさを見てみましょう。
オス
体長:30〜40cmくらい
尻尾:20cmくらい
体重:300〜820gくらい
メス
体長:20〜30cmくらい
尻尾:19cmくらい
体重:110〜430gくらい
オス、メス共にチョウセンイタチの方が大柄です。
また、チョウセンイタチは黄色っぽい毛色ですが、ニホンイタチは茶褐色や濃い褐色をしています。
大きさで判断が難しい場合は、毛色で種類の見分けがつきそうですね。
どんな性格なの?
外見はあまり凶暴なイメージのないイタチですが、肉食獣であり、気性は荒く、とてもタフな性格です。
自分よりも大きな動物も襲って食べてしまいます。
私が昔飼っていたフェレットもイタチ属ですが、その傾向はありました。
キッチンの棚をよじ登って、自分と同じくらいの重さの砂糖の袋を引っ張り出し、秘密基地に運ぼうとしたことがあります。
私が取り上げようとすると、「シャー!」と威嚇してものすごく怒っていました。
フェレットを飼っている家では、リスやウサギ、ハムスター、鳥などは同居させない方が良いとされています。
ちょっと油断した隙に襲ってしまうことがあるからです。
また、リス達にとってもフェレットは脅威です。
フェレットはペット用に誕生した動物ですが、ヨーロッパケナガイタチを祖先に持つと言われています。
だからイタチの本能として、草食動物は捕獲の対象になってしまうのですね。
それを、やはりリスやウサギなどの動物も本能的にわかるのだろうと思います。
ペット用に誕生したフェレットでさえこんなですから、野生のイタチには絶対に手を出さないようにしましょう。
指を食いちぎるくらいの力は十分にあります。
イタチが棲み付くと起こる被害とは?

家にイタチが棲み付いた!と気づくのは、天井裏から聞こえてくる物音がきっかけになることが多いようです。
イタチは一度に5〜6匹の子供を産むので、子育てが始まってしまったら騒音になりそうですね。
イタチは夜行性です。
人間が寝静まった夜中にバタバタと音が響いたら、睡眠不足なだけでなく恐怖さえ感じるかもしれません。
その他に、イタチが棲み付くことで、こんな被害があります。

・糞尿の臭いが家の中に漏れてくる
・昆虫などを食べるため、残骸でさらに家の中に虫が寄ってくる
・家の木材をかじり、破壊することがある
・サルモネラ菌などに感染するおそれがある
イタチの臭腺から出る匂い臭いは、たった1滴で電車を1両臭くてたまらない気持ちにさせるほどの悪臭だと言われています。
また、棲家で排泄してしまう上に掃除なんてしませんから、そのままウンチやオシッコが溜まっていって、相当な臭いが出るだけでなく、とても不衛生になってしまいます。
虫の死骸などが散らばっていれば菌の温床にもなるし、その中で生活しているイタチが菌を人間の生活圏内に持ち込めば、抵抗力のない子供や高齢者に影響を与えかねません。
ただでさえ、イタチはサルモネラ菌などを保有していることがあるので、万が一キッチンなどで遭遇しても絶対に触らないようにしましょう。
また、イタチは木をかじることがあります。
特に歯の生え替わりがある幼いイタチは、ムズムズして硬いものをかじりたがるでしょう。
それにより家屋が傷み、もしも人間が住み替えをするために家の査定をした時に、傷みと臭いで査定額が下がってしまうことも考えられます。
イタチを寄せ付けないため「ナフタリン使用」が有効

では実際にイタチで困っている方へ、イタチを寄せ付けない方法をご紹介したいと思います。
一番簡単で効果があるのは、ナフタリンをばら撒くという方法です。
ナフタリンという言葉だけ聞くと、「何?」ってなりますよね。
実はこれ、タンスなどに置く衣類用防虫剤のことです。
タンスにゴン、○スノーとか、色々な衣類用防虫剤が出ていますが、開けると独特の匂いがしますよね。
それがナフタリンです。
これなら簡単に手に入るし、人間にも害がありません。
ナフタリンを手に入れたら、イタチの出入口やよく物音がする場所などに広く置いてみましょう。
イタチはこの匂いが嫌いなので、次第に寄り付かなくなります。
もし、出入口が家の軒先など雨にさらされる場所にある時は、雨でナフタリンが溶けてなくなっていないか、時々確認してみてくださいね。
イタチを寄せ付けないための他の3つの方法

忌避スプレーを使う
市販されている「害獣忌避スプレー」は、イタチが嫌う刺激臭やハーブ系の匂いを利用して追い払うものです。
ナフタリンと同じく匂いで近づかせない効果がありますが、屋外でも使いやすく、雨で流れてもスプレーし直せば効果を維持できます。
特に出入口や庭、軒下にまいておくと予防になります。
超音波機器を設置する
イタチは聴覚が発達しており、人間には聞こえない高周波の音を嫌います。
超音波を発する専用機器を設置することで、居心地の悪い環境を作り、近づきにくくすることができます。
電池式やソーラー式など種類も豊富で、家庭での導入も容易です。ペットや小さな子供に影響がないタイプを選ぶと安心です。
家屋の隙間を塞ぐ
イタチは体が柔らかく、わずか数センチの隙間からでも侵入してきます。
屋根裏や床下、壁の割れ目などを金網や板で塞ぐことで、物理的に侵入を防げます。
完全に塞ぐ前に中にイタチがいないかを必ず確認し、追い出してから行うのが鉄則です。
侵入防止とあわせて、清掃や消毒も行うと再侵入のリスクを減らせます。
毒餌でイタチを処分してはいけないの?

「追い払うだけじゃ、またやって来るかもしれない」
「いっそのこと毒餌で駆除できたらいいのに」
イタチに棲み付かれた方にとっては、イタチの存在は精神的にも肉体的にも落ち着きませんよね。
でも、むやみにイタチを処分することは、「鳥獣保護法」に引っかかるおそれがあります。
この法律では、イタチのメスは捕まえたり殺したりすることを禁じています。
もしメスを捕まえたり殺したりすると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金を課せられる可能性があります。
じゃあオスならいいの? となりますね。
そのとおり、オスは対象にはなっていません。
でも、毒餌をオスだけに食べさせることは現実的に困難です。
イタチはオスとメスで大きさが違うとはいえ、出会った瞬間にそれがオスだと判断するのはほぼ不可能でしょう。
そうした理由から、イタチは毒餌などで駆除はせず、寄せ付けない方法を実践することが、本当に人間を守ることができる対策となります。
イタチを寄せ付けない方法!【まとめ】
イタチ対策は「寄せ付けない環境作り」が基本です。
ナフタリンだけでなく、忌避スプレーや超音波、侵入経路の封鎖を組み合わせると効果的です。
もし自力での対処が難しい場合は、専門業者に相談するのも安心です。家と家族を守るために、できる対策からすぐに実践してみましょう。