
イタチは可愛い見た目に惹かれて「ペットにできないかな?」と思う方もいるでしょう。
しかし実際には、法律上の制限や飼育環境の難しさから、イタチを家庭で飼うことはほぼ不可能です。
本記事では、イタチを飼う際の問題点と、代わりに安心して暮らせるペット「フェレット」との違いを分かりやすく解説します。
イタチをペットとして飼うことはできる?
大半のイタチはペットとして飼う事はできない

結論から言うと、「イタチ科」の動物のほとんどはペットとして飼うことが禁止されています。
一般的に日本で「イタチ」と呼ばれるのは、ニホンイタチ や チョウセンイタチ です。
これが狭義の「イタチ」にあたり、実際に人々が「イタチを見た」と言うとき、多くはこの2種類を指しています。
ただし、イイズナやオコジョといった近縁種も外見が似ているため、遠目には区別がつきにくく、まとめて「イタチ」と呼ばれることも少なくありません。
これらの野生動物は天然記念物や絶滅危惧種に指定されており、捕獲や飼育は法律で厳しく制限されています。特にニホンイタチやチョウセンイタチは、捕獲許可がなければ手を出すことすらできません。
仮に飼うことが許されたとしても、彼らは本来野生で生きる動物です。
人間に懐くことはなく、警戒心や攻撃性が非常に強いため、ペットとしての共生は現実的ではありません。
ケージに入れれば暴れて脱走を試み、強い噛みつきや爪による攻撃で人に大きなケガを負わせる危険すらあります。
イタチ科の代表的な種類
イタチ科には世界中に多くの種類が存在しますが、日本でよく名前が挙がるのは以下の動物です。
ニホンイタチ

日本固有種で、本州や四国などに広く分布しています。体長は25〜35cmほどで、茶褐色の体毛が特徴。主にカエルや魚、小鳥などを捕食します。
チョウセンイタチ

朝鮮半島や中国から日本に持ち込まれた外来種で、現在は西日本を中心に分布。
体が大きめで、野鳥や農作物に被害を及ぼすことから害獣扱いされることもあります。
オコジョ・イイズナ

どちらも北海道や寒冷地に生息する小型のイタチ科動物です。
夏は茶色、冬は真っ白に毛が生え変わる姿が特徴的。
一般的には「イタチ」とまとめて呼ばれることもありますが、本来は独立した種です。
イタチをペットとして飼う3つの現実とは?

飼育環境のハードル
イタチは本来、野山や川沿いを広く移動して暮らす動物です。
1日に数キロも行動することがあるため、ケージや室内に閉じ込めると強いストレスを感じます。
ストレスが溜まれば凶暴化や脱走を試みるため、飼育環境を整えること自体が非常に難しいのです。
一般的なペット用ケージでは到底収まりませんし、防音や脱走対策もほぼ不可能と言えるでしょう。
餌や病気の問題
野生のイタチは小動物や鳥、魚を狩って食べる肉食傾向の強い雑食です。
飼育下で自然に近い食事を再現するには生き餌を用意する必要があり、人間にとって精神的な負担が大きくなります。
また、専用フードが存在しないため、栄養の偏りや体調不良を招きやすい点も問題です。
加えて、イタチは野生動物のため動物病院で診てもらえず、病気やけがをした際に適切な治療を受けさせることができません。
法律と倫理的な側面
日本国内で保護されている「ニホンイタチ」や「チョウセンイタチ」は、捕獲や飼育そのものが禁止されています。
仮に捕まえて飼った場合、法律違反に問われるリスクが高いのです。
また、絶滅危惧種を人間の都合でペット化することは、生態系保全の観点からも強く避けるべき行為です。
珍しいから飼いたいという気持ちよりも、自然で生きるべき存在として尊重する姿勢が大切になります。
イタチ科すべてが禁止というわけではない

「イタチはすべて飼えないのか?」と言えば、そうではありません。
同じイタチ科に属するフェレットだけは例外的に、人と暮らすために改良されてきた動物です。
フェレットは野生には存在せず、祖先はヨーロッパケナガイタチやステップケナガイタチとされています。
外見は野生のイタチにそっくりですが、性格や行動は大きく異なり、人間を敵ではなく「仲間」や「遊び相手」として認識します。
そのため、フェレットは人に懐き、遊んだり甘えたり、おねだりをしたりと、私たちがイメージする「ペットとの触れ合い」を楽しむことができます。
さらに専用フードや飼育用品、診てもらえる動物病院も整っており、唯一現実的にペットとして飼えるイタチ科の動物といえるのです。
イタチとフェレットとの違いとは?
イタチとフェレットは、見た目や習性、性格において異なります。
ここでイタチとフェレットの主な差異を紹介します。
イタチの特徴

イタチは小さな肉食のウィーゼル科に属しています。
夜活動することが多く、小型動物や果実も食べる雑食です。
広い地域に生息し、時には害獣と見なされることも。
イタチの体長は約25〜30センチ、細身で長い尾を持ち、茶色い毛皮に白い斑が特徴。
イタチは狩猟本能が強く警戒心が高いため、ペットとしては向きません。
フェレットの特徴

フェレットはイタチ科でペットとしてよく飼われ野生のフェレットはいません。
好奇心が強く、遊び好きで社交的です。
フェレットはイタチよりも大きく、35〜50センチの体長で、色は茶、白、黒、クリームがあります。
耳は小さく、尾も長い。
これらの違いがあるものの、イタチとフェレットは似た特徴を共有する近縁種です。
フェレットを飼うのは難しい?

難しくはありません。
フェレットを飼うメリットには、こんなことがあります。
- 部屋の中で遊ばせれば良いから散歩に出なくていい
- 普段はケージの中で過ごしてくれる
- 専用フードがある
- 動物病院で診てもらえる
- なついてくれる
- トイレを覚えてくれる
- とても陽気で遊び好き
もしも野生のイタチを飼ったら、まずなついてはくれません。
先ほどもお話ししたように、一緒に遊ぶなんてもってのほかで、たぶん体に触れることすら難しいと思います。
また、専用フードもないので、生き餌を提供しなくてはならないでしょう。
これは人間の飼い主さんにとっては、かなりメンタル面でつらい作業になると思います。
病気になっても、野生生物は診てもらえないどころか、連れて行けば通報しなくてはならないと言われてしまう可能性もあります。
イタチが苦しんでいるのに助けられないなんて、悲しいですよね。
だから、ちゃんと病院で診てもらえる、助けてもらえるフェレットの方がずっと安心して飼えるのです。
フェレットを飼う上でデメリットはないの?
ペットを飼うということは、命に責任を持つことです。
命に責任を持つということは、良いことばかりではありません。
フェレットを飼うことで起こりやすい「困ったこと」もご紹介したいと思います。
- 狭い場所に入ってしまうので目が離せない
- 誤食誤飲がひどい子もいる
- 噛む子もいる
- 犬や猫に比べて病気になりやすい傾向がある
フェレットは動きが早く、部屋の中で遊ばせると好奇心のおもむくままに元気に遊び回ります。
パネルだけのサークルなら一撃で突破されます。
降りられなくなることを考えず、カーテンなどにも平気でよじ登るし、高いところから無謀なジャンプも試みます。
「高くてコワイな」ってことを考えないのです。
また、子どもの頃は歯の生え替わりなどもあり一時的に噛み方が強くなる子もいますし、おとなになってもそれがなくならない場合もあります。
ただ、ほとんどの場合、これはしつけで治ります。
うちにいたフェレットたちも、おとなになると甘噛みを覚えて、痛いと思うことはありませんでした。
病気は、フェレットの寿命が4〜6年だと考えると、5歳辺りからシニアなので病気は仕方ないのかな、と思うところもあります。
犬や猫だと10年以上生きることがほとんどなので、シニア年齢も7歳以上になります。
生き物はすべて、シニアに突入すると体に少しずつ異変が起きてきます。
平均寿命が短い分、フェレットは病気になることが多く感じるかもしれません。

でも、こんなデメリットがあっても、私はフェレットってすばらしい動物だと思います。
こんなに真っ直ぐに良いことだけを考えて、生きることに前向きな動物はいません。
ぜひフェレットと一緒に暮らして、彼らの無敵のココロを見習ってみてください。
必ずあなたの人生にプラスになります。
イタチをペットとして飼うのは禁止?【まとめ】
イタチをペットにすることは法律的にも現実的にも難しいですが、代わりにフェレットなら人に慣れ、病院にもかかれる安心な存在です。
珍しい動物を飼いたい気持ちは理解できますが、自然で生きるべきイタチは野生に任せましょう。
フェレットを含め、飼育可能な動物との暮らしを楽しみたいですね。