優雅な見た目のエンゼルフィッシュですが、実際には縄張り意識が強く、他の魚を追いかけ回す「いじめ行動」が見られることがあります。
この記事では、エンゼルフィッシュがいじめる理由と、その対策や防止法についてわかりやすく解説します。
エンゼルフィッシュの「いじめ」と「喧嘩」の違い

エンゼルフィッシュを飼っていると、追いかけ回したりヒレを突っついたりする行動を目にすることがあります。
これらはすべて「いじめ」だと思われがちですが、実際には喧嘩といじめは少し意味が違います。
エンゼルフィッシュの喧嘩は、ほぼ対等な力の個体同士が縄張り争いや繁殖ペアの形成、序列争いなどで一時的にぶつかる行動です。
勝敗や優劣が決まると自然に収まる場合も多く、必ずしも深刻な問題にはなりません。

一方でいじめは、明らかに強い個体が弱い個体を一方的に追い回し、継続的に攻撃する行動です。
この場合、弱い個体が餌を食べられなかったり、衰弱や傷つきによって命を落とす危険があります。
そのため、喧嘩は観察で様子を見ることもありますが、いじめは早めに対策が必要です。
エンゼルフィッシュのいじめの理由
エンゼルフィッシュは肉食性で気性が荒いため、多頭飼育や他種との混泳でもトラブルが多いと言われています。
エンゼルフィッシュがいじめているように見える場合、それにはやはり理由があるようです。
縄張りの主張
最も多い理由に縄張りの主張があります。
エンゼルフィッシュは自分の縄張りや餌を確保するために、水槽という限られた狭い空間の中で、他のエンゼルフィッシュや混泳魚を追いかけ回したり、攻撃をしたりします。
相性が良くないから
エンゼルフィッシュにも相性というのがあるようです。
身体がボロボロになるほどつつきあって争うことがあります。
カーストの序列が出来ている
同じ水槽内でエンゼルフィッシュを多頭飼育していると、力のあるものから順に順位が決まる弱肉強食のカーストが出来るため、後から入った魚は追い回されることがあります。
弱いものを攻撃するという行動を見るといじめと考えてしまいますね。
でも多頭飼育した方が落ち着くという例もあります。
繁殖の準備
様子を見ていて、決まった2匹が揃って他の個体を追い払っていたり、特定の場所を守るような行動が見られれば、ペアが出来て繁殖の準備をしていると考えられます。
もし繁殖をさせたいと考えているのであれば、すぐに繁殖用の水槽を用意しましょう。
オスとメスが揃うと必ずペアになるというわけではないので貴重ですよ。

水槽の水替え後
水換えをするとエンゼルフィッシュの攻撃性が増すことがあるそうです。
エンゼルフィッシュの尿の成分は、社会的な優位性を伝達する作用があり、水換えをすることで自分の立場が不確定になっていくため、エンゼルフィッシュの攻撃的な行動が長引いてしまうそうです。
エンゼルフィッシュのいじめ対策方法

エンゼルフィッシュはいじめやすい性格を持っていますが、飼育環境を整えることで攻撃性を大きく抑えることができます。
まず水槽サイズは45cm以上、できれば60cm以上を確保しましょう。
過密飼育はストレスや縄張り争いを招きやすく、いじめ行動を助長します。
水槽内に十分な遊泳スペースを作ることで、攻撃が分散されやすくなります。
混泳させる場合は、同じシクリッド科の攻撃的な種類よりも、体格が近く性格が穏やかな魚種を選ぶと安定しやすいです。
群泳する小型魚や底層を泳ぐ魚を組み合わせるのも有効です。
さらに、水草や流木、岩などを配置して視界を遮ることで、弱い個体が身を隠せる場所を増やすことができます。
エンゼルフィッシュのいじめをやめさせたい!

いじめる魚がいる場合は飼育環境を見直すことで対策が出来ます。
先に入っているいじめる魚を隔離ケースや別水槽で隔離して、後から入ってきた魚が自分のテリトリーを得るまでの期間離します。
その後、元の水槽にいじめる魚を戻すと、カーストの立場が逆転するのか、水槽内での魚同士の喧嘩が収まる場合があります。
水草を増やすなどして隠れ場所を作るなどレイアウトを変えることや、究極の対策は混泳を諦めることです。
別水槽のコストや管理の手間はかかりますが、魚同士の喧嘩が起こらないように飼育するには必要な選択肢のひとつです。
絶対にやってはいけないこと

飼育しきれないからといって川や海に放さないでください。
そもそも自然界では生きていけないという場合もありますが、多摩川がタマゾン川と呼ばれたり、池の水を全部抜いて掃除する番組などでも、生き残った外来種が在来種の生態系を崩していることが問題視されていますよね。
エンゼルフィッシュのいじめ対策【まとめ】
エンゼルフィッシュがいじめをする背景には、縄張り意識や繁殖行動、水換え後の環境変化などさまざまな要因があります。
発生時は隔離やレイアウト変更などで対策できますが、予防のためには十分な水槽サイズや相性の良い混泳魚選びが大切です。
水槽環境を整え、安心して暮らせる空間をつくりましょう。