
イタリアングレーハウンド(イタグレ)は、細く優雅な見た目からは想像できないほど素早く走る犬種です。
「イタグレは時速何kmで走るの?」「最高速度は55kmって本当?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
イタグレはサイトハウンドの仲間で、走ることに適した体型とダブルサスペンションギャロップと呼ばれる走法を持っています。イタリアングレーハウンドの犬種団体も、極めて速く走るための骨格・筋肉構造とダブルサスペンションギャロップについて解説しています。
一方、ネット上で見かける「イタグレの最高速度は時速55km」という数字については注意が必要です。
イタグレの速度を約25mph(約40km/h)とする資料もあり、すべてのイタグレが時速55kmで走れると断定するのは難しいでしょう。
この記事では、イタグレの足の速さや実際の50mスプリント記録、速く走れる理由、ジャンプ力、安全に運動させるための注意点まで詳しく解説します。
イタグレの時速は?足の速さ・最高速度を解説

イタグレは時速何kmで走る?
イタグレは、小型犬の中でも非常に優れた走力を持つ犬種です。
速度については資料によって数字に違いがありますが、イタグレを約25mph、時速に換算すると約40kmで走れる犬種として紹介している資料があります。
時速40kmというと、自転車で簡単に追いつけるような速さではありません。
我が家にもイタグレが2匹いますが、普段のおっとりした姿からは想像できないほど、ドッグランでは一気に加速します。
軽く走っているように見えても、目で追うのが大変なくらいです。
時速55kmといわれるのは本当?
イタグレについて調べると「最高速度は時速50km」「時速55kmで走れる」といった情報を見かけることがあります。
以前のこの記事でも「小型のイタグレでも全力疾走では時速55kmほど」と紹介していました。
しかし、今回あらためて確認したところ、イタグレについて約25mph(約40km/h)としている資料が複数確認できました。
そのため、「イタグレなら最高速度は必ず時速55km」と考えるより、非常に足の速い小型のサイトハウンドであり、速度には個体差や測定条件による違いがあると考えたほうがよいでしょう。
また、「最高速度」と「一定距離を走った平均速度」は同じものではありません。
スタート直後はまだ最高速度に達していないため、50m走のタイムから計算した平均時速と、走行中の瞬間的な最高速度には差が生じます。
速さには個体差がある
同じイタリアングレーハウンドでも、すべての犬が同じ速度で走れるわけではありません。
年齢や体格、筋力、健康状態、運動経験、走る場所などによって実際の走力は変わります。
ドッグレースで上位になるイタグレのタイムを、そのまま家庭で飼われているすべてのイタグレの速度として考えないことも大切です。
「イタグレの時速は何km?」という疑問については、特定の数字だけを見るのではなく、実際のレース記録も参考にすると、その速さをイメージしやすくなります。
イタグレは50mを何秒で走る?実際のレース記録

50mを5秒前後で走るイタグレもいる
イタグレの足の速さを知るうえで参考になるのが、実際に行われた50mスプリントの記録です。
2023年のイタリアングレーハウンドフェスティバルで行われた50mスプリントでは、1位のイタグレが4.609秒、2位が4.792秒、3位が4.806秒を記録しています。上位だけでなく5秒台で走っているイタグレも多数確認できます。
50mを5秒前後。
数字で見ると、イタグレがどれだけ速い犬なのか分かりやすいですね。
ただし、これはイベントに参加した個体の記録です。
すべてのイタグレが50mを5秒程度で走れるという意味ではありません。
50mのタイムから時速を計算すると?
50mを4.609秒で走った場合、単純計算した平均速度は、
50÷4.609×3.6=約39.1km/h
となります。
つまり、スタートからゴールまでの平均でも時速約39kmという計算です。
5秒ちょうどなら平均時速は36kmになります。
ただし、この数字は50m全体の「平均速度」です。
静止状態からスタートして加速する時間も含まれているため、走行中に記録した瞬間的な最高速度を表す数字ではありません。
反対に、レース上位犬の記録から算出した平均速度を、すべてのイタグレの標準速度と考えることもできません。
それでも、「イタグレがどれくらい速いのか」を理解するための実測データとしては非常に参考になります。
イタグレはなぜ足が速い?
サイトハウンドならではの体型
イタリアングレーハウンドはサイトハウンドの仲間です。
サイトハウンドは視覚を利用して獲物を追う猟犬のグループで、グレーハウンドやウィペットなども含まれます。
イタグレを見ると、
- 細長い脚
- 引き締まった腹部
- 深い胸
- 細身の体
- しなやかな背中
など、一般的な小型犬とはかなり違った体型をしています。
イタリアングレーハウンドの犬種団体も、速く走りながら方向転換するためには、骨格や筋肉だけでなく柔軟性も重要であると説明しています。
小さな体ながら、まさに「走るための体」を持った犬なのです。
ダブルサスペンションギャロップとは?
イタグレの速さを支えている大きな特徴が「ダブルサスペンションギャロップ」です。
走っているときに背中を大きく曲げ伸ばしし、一つのストライドの中で四肢すべてが地面から離れる局面が2回現れる走法です。
イタリアングレーハウンドの犬種団体の資料でも、ダブルサスペンションギャロップで走る姿が紹介されています。
イタグレが全力で走っているところを横から見ると、体を縮めた状態と大きく伸ばした状態を繰り返しているのが分かります。
まるで体全体がバネになったような走り方です。
しなやかな背中と長い脚が走りを支える
イタグレの走りでは、脚だけでなく背中も重要です。
犬種団体の資料では、適切なトップラインによって背中を伸ばした状態から弓なりの状態へ動かせることや、前後肢の構造が推進力につながることが説明されています。
細長い脚、軽い体、柔軟な背中などが組み合わさることで、イタグレ特有の素早くしなやかな走りが生まれているのです。
イタグレとグレーハウンド・ウィペットはどっちが速い?
イタグレも非常に速いサイトハウンドですが、グレーハウンドやウィペットとは体格が異なるため、同じ速度で走る犬種と考える必要はありません。
イタグレとグレーハウンドの速さの違い
イタグレは「小さなグレーハウンド」のような姿をしていますが、走る速度まで同じというわけではありません。
グレーハウンドはイタグレよりはるかに大きく、長いストライドを活かして高速で走ります。
一方のイタグレも非常に速い犬ですが、体格そのものが大きく異なります。
そのため、「グレーハウンドをそのまま小さくしたから速度も同じ」と考えないようにしましょう。
イタグレとウィペットの速さの違い
ウィペットもイタグレと間違えられることがあるサイトハウンドです。
しかし、ウィペットのほうがイタグレより大きく、体格も異なります。
イタグレの魅力は大型サイトハウンドと同じ速度で走ることではなく、小さな体にサイトハウンドらしい優れた瞬発力と走行能力を備えているところにあります。
イタリアングレーハウンドのジャンプ力は?

イタグレはジャンプも得意
イタグレは走るだけでなく、ジャンプ力にも驚かされる犬です。
我が家のイタグレも、興奮したときに私のみぞおち付近まで飛び上がってきたことがあります。
高さにすると約1mほどです。
思わずキャッチしましたが、イタグレを初めて飼う方は想像以上のジャンプ力に驚くかもしれません。
ただし、これは我が家の犬の実体験であり、「イタグレは必ず1m跳べる」という意味ではありません。
個体によって運動能力は異なります。
高い場所からのジャンプには注意

ジャンプ力があるからといって、高い場所から積極的にジャンプさせる必要はありません。
イタグレでは脚の骨折が重要な注意点です。
イタリアングレーハウンドの健康プロジェクトでは、骨折した場合には前肢、特に前腕部分に骨折が起こることが多いと説明しています。骨折が疑われる場合は、速やかな獣医師の診察が必要です。
以前のこの記事では「骨折すると治療できない場合もある」といった強い表現をしていましたが、骨折には外科的治療など複数の治療方法があります。
適切な治療を受けた多くのイタグレで良好な回復が期待できるという情報もあります。
大切なのは骨折を必要以上に恐れることではなく、起こりやすい事故を予防することです。
イタグレの速さを安全に引き出す運動方法

イタグレの運動では、速く走らせること以上に、年齢や体力に合わせて安全に運動できる環境を整えることが大切です。
散歩だけでなく走る運動も取り入れる
イタグレは室内ではおとなしく過ごしていても、外では驚くほど活発になることがあります。
VCA Animal Hospitalsでは、イタグレの運動として適度な散歩、または囲われた場所でのスプリントを毎日行うことを提案しています。
ただし、「毎日必ず○分走らせる」「1日必ず○km散歩する」というように、すべてのイタグレに同じ運動量を当てはめる必要はありません。
年齢、健康状態、体力、気温などを考えながら調整しましょう。
我が家でも年齢によって運動量は変化しました。
成犬になるまでと7歳・5歳になった現在では、散歩の距離やドッグランで走り回る時間も同じではありません。
愛犬の様子を見ながら無理なく続けられる運動量を探すことが大切です。
ドッグランなど安全に走れる場所を利用する
イタグレに思い切り走らせてあげたい場合は、安全に囲われた場所を選びます。
特にサイトハウンドは、動くものを追いかける性質があります。
Italian Greyhound Placeも、イタグレは動く対象を追うサイトハウンドであることから、安全にフェンスで囲われた場所を利用することを勧めています。
「呼べば戻ってくるから大丈夫」と考えて、道路や公園など囲いのない場所でノーリードにするのは危険です。
イタグレのスピードを楽しむなら、まず安全に止められる環境を用意しましょう。
ルアーコーシングなどのドッグスポーツ

イタグレらしい走りを楽しめる競技の一つがルアーコーシングです。
疑似餌を追いかけて走るため、サイトハウンドの特性を活かせます。
50mスプリントなど、イタグレが参加できるイベントを探してみるのもよいでしょう。
実際にイタリアングレーハウンドフェスティバルでも50mスプリントが行われ、多くのイタグレが参加しています。
愛犬の体力や健康状態に問題がなければ、こうしたイベントを通してイタグレ本来の走りを楽しむのも一つの方法です。
運動前にはウォームアップをする
いきなり全力疾走させるのではなく、まず歩くなどして体を動かしてから運動へ移るようにしましょう。
特に寒い時期は体が冷えています。
イタグレは被毛が短く寒さの影響も受けやすいため、気温に合わせた防寒も考えます。VCA Animal Hospitalsも、寒い環境ではコートやセーターが役立つとしています。
反対に暑い季節は、路面温度や熱中症にも注意が必要です。
季節に合わせて安全に運動できる時間帯を選びましょう。
イタグレを全力疾走させるときの注意点

イタグレの優れたスピードを安全に楽しむためには、骨折・衝突・脱走につながる環境をできるだけ避けることが重要です。
骨折やケガに注意する
イタグレの細く長い脚は美しさの一つですが、骨折には注意が必要です。
実際にイタリアングレーハウンドの骨折については、犬種の健康プロジェクトでも詳しく扱われています。
とはいえ、「走らせると骨折するから運動させない」という考え方も適切ではありません。
イタグレには運動も必要です。
危険な場所で無理な運動をさせるのではなく、安全な環境を整えて運動させることが重要です。
滑りやすい地面・高い段差を避ける
室内ではフローリングなどの滑りやすい床に注意します。
走った勢いのまま急旋回したり、ソファなどから飛び降りたりすると、脚へ大きな負担がかかる可能性があります。
必要に応じて滑りにくいマットを敷く、家具から無理に飛び降りないよう環境を整えるなどの対策をしましょう。
ジャンプ力を鍛えるために、高い障害物から繰り返し飛び降りさせる必要もありません。
ノーリードで走らせる場所に注意
足の速いイタグレだからこそ、脱走や飛び出しには特に注意します。
何かを追いかけて突然走り出した場合、人間が走って追いつくことは難しいでしょう。
そのため、ノーリードで走らせるのであれば、脱走できないよう十分に囲われた場所を選びます。
ドッグランでも、入口の開閉やフェンスの隙間などを確認してから利用すると安心です。
子犬・シニア犬は無理をさせない
イタグレだからといって、どの年齢でも同じように全力疾走させる必要はありません。
成長途中の子犬と健康な成犬、年齢を重ねたシニア犬では、適した運動内容が違います。
持病やケガがある場合も同様です。
「イタグレだから走らせなければ」と考えるのではなく、その犬の年齢や健康状態を優先しましょう。
運動について心配がある場合は、かかりつけの獣医師に相談してください。
イタグレの速さについてよくある質問

イタグレの最高速度は時速55km?
ネット上では時速50~55km程度と紹介されることがありますが、すべてのイタグレの最高速度を55km/hと断定できるわけではありません。
約25mph(約40km/h)と紹介している資料もあります。
個体差や測定条件もあるため、「必ず時速55km」と考えないほうがよいでしょう。
イタグレは50mを何秒で走る?
2023年のイタリアングレーハウンドフェスティバルの50mスプリントでは、1位が4.609秒、2位が4.792秒、3位が4.806秒でした。
一方で5秒台の記録も多く、当然ながら個体によってタイムは異なります。
イタグレと人間はどっちが速い?
レース上位のイタグレが50mを4秒台で走っていることを考えると、その走力の高さが分かります。
ただし、人間と犬では加速の仕方や走る姿勢、競技条件が違います。
単純な最高速度の数字だけで比較するより、「小さな体で50mを5秒前後で走れる個体がいる」と考えるとイタグレの速さをイメージしやすいでしょう。
イタグレとグレーハウンドはどっちが速い?
イタグレとグレーハウンドは同じサイトハウンドですが、体格が大きく異なります。
イタグレは小型のサイトハウンドとして優れた走力を持っていますが、大型のグレーハウンドと同じ最高速度になるとは考えないほうがよいでしょう。
イタグレは毎日全力で走らせたほうがいい?
毎日必ず全力疾走させなければならないわけではありません。
VCA Animal Hospitalsでは適度な散歩または囲われた場所でのスプリントを運動例として挙げていますが、実際に必要な運動内容は年齢や健康状態などによって変わります。
散歩、遊び、安全な場所でのランニングなどを組み合わせ、その犬に合った運動を行いましょう。
イタリアングレーハウンドの速さ【まとめ】
イタリアングレーハウンドは、小さな体ながら非常に優れた走力を持つサイトハウンドです。
ネット上では「最高速度は時速55km」と紹介されることがありますが、約25mph(約40km/h)とする資料もあり、すべてのイタグレが時速55kmで走れると断定するのは避けたほうがよいでしょう。
一方、実際の50mスプリントでは4.609秒という記録も確認できます。このタイムを単純計算すると平均時速は約39.1kmです。
イタグレがこれほど速く走れる背景には、サイトハウンド特有の体型や、背中を大きく使うダブルサスペンションギャロップがあります。
我が家のイタグレたちを見ていても、普段のおっとりした姿とドッグランで走っている姿は別犬のようです。
ただし、その優れた運動能力を安全に楽しむには、骨折や衝突、脱走などへの対策も欠かせません。
速さだけを求めて無理に走らせるのではなく、年齢や健康状態に合わせ、安全に走れる環境を用意して、イタグレらしいしなやかな走りを楽しませてあげましょう。