柴犬を飼う前に知るべきまとめ|性格・寿命・値段・育て方まで– category –

柴犬

柴犬の性格・寿命・値段・歴史・育て方・子犬の特徴まで、これから柴犬を迎える方が知っておくべき基礎知識をすべてまとめました。

柴犬は、日本原産の犬の中でもっとも人気のある犬種です。

凛とした表情と、家族への深い忠誠心。見た目の可愛らしさと頼もしさをあわせ持ち、「一度飼うと一生柴犬派になる」と言われるほど魅力の多い犬です。

しかし実際に飼い始めてから、「思ったより頑固だった」「意外と吠える」「抜け毛がすごい」と驚く飼い主さんも少なくありません。

また、寿命や値段、オスとメスの性格の違い、子犬の育て方など、飼う前に知っておきたいことはたくさんあります。

この記事では、柴犬の性格・寿命・値段・歴史・育て方・子犬の特徴まで、これから柴犬を迎える方が知っておくべき基礎知識をすべてまとめました。

柴犬のことをもっと深く理解し、あなたと愛犬が長く幸せに暮らせるように、順番に見ていきましょう。

目次

柴犬の基本情報とルーツ

柴犬は、日本に古くからいる日本原産の小型犬で、紀元前から人とともに暮らしてきた歴史を持っています。

「柴」という名前は、赤茶色の毛が枯れ柴に似ていることや、山野の柴(しば)をかき分けて狩りをしていたことに由来すると言われています。

かつて柴犬は猟犬(りょうけん)として活躍していました。

イノシシやウサギなどの小動物を追いかけ、猟師と連携して仕留める仕事をしていたのです。

そのため、「警戒心が強く勇敢」「自立心が強い」といった性格が今も残っています。

このような背景から、柴犬に「凶暴」「気が強い」といったイメージを持つ人もいますが、それは誤解です。

柴犬は本来、臆病で慎重な性格をしており、自分や家族を守るために吠えたり警戒することがあります。

しっかり信頼関係を築けば、非常に忠実で愛情深いパートナーになります。

現在では、海外でも「Shiba Inu」として人気が高まり、特にアメリカではSNSを中心に“クールで可愛い日本犬”として多くのファンを魅了しています。

日本文化の象徴として、柴犬は世界でも愛される存在になりつつあるのです。


柴犬の性格と特徴

柴犬の基本的な性格

柴犬は、見た目の可愛らしさに反してとても芯の強い犬です。

もともと日本の山岳地帯で猟犬として活躍していたため、勇敢で自立心があり、判断力が高いという特徴があります。

一方で、飼い主に対してはとても忠実。

信頼した人には心を許して甘え、寄り添って眠ることもあります。

ただし、その信頼を得るには時間がかかることもあり、最初は頑固で素っ気ない印象を受けるかもしれません。

柴犬はマイペースで繊細な一面も持っています。

気分が乗らないときには命令を無視したり、知らない人に距離を置いたりしますが、これは「自分で考えて動きたい」性格ゆえの行動です。

無理に従わせようとするよりも、穏やかに見守る方がうまくいくでしょう。

また、柴犬は警戒心が強く、縄張り意識も高いため、見知らぬ人や犬に吠えることがあります。

これは「怖い」「守りたい」という本能の表れであり、性格の悪さではありません。

子犬のうちからさまざまな人や犬と関わる「社会化トレーニング」をしておくことで、落ち着いた成犬へと育っていきます。


オスとメスで異なる性格の傾向

柴犬はオスとメスで少し性格の傾向が異なります。

もちろん個体差はありますが、傾向を知っておくと飼育の参考になります。


オスの柴犬は、活発で好奇心旺盛、感情表現がストレートです。

嬉しいときは全身で喜びを表し、時には強情さが顔を出すことも。

番犬気質が強く、縄張りを守る意識が高い傾向があります。


メスの柴犬は、落ち着きがあり、観察力が高いタイプが多いです。

周囲の状況をよく見て判断し、冷静に対応することができます。

オスよりも頑固さは控えめで、穏やかに暮らしたい家庭には向いています。


どちらの性別も「忠誠心が強く、一度信頼した相手を裏切らない」という共通点があります。ただし、しつけの方法は少し異なります。オスには「一緒に遊びながら学ばせる」スタイルが合い、メスには「優しく根気強く伝える」スタイルが効果的です。


柴犬を上手に育てるためのコツ

柴犬のしつけで最も大切なのは、信頼関係を築くことです。

怒鳴ったり力で従わせようとすると、かえって心を閉ざしてしまいます。

反対に、飼い主が穏やかで一貫した態度を取れば、柴犬はその信頼に必ず応えてくれます。

また、柴犬は「自分で考えることが好き」な犬です。

命令一辺倒ではなく、成功体験を積ませて褒めるしつけが効果的です。

トイレやおすわりができたら大げさに褒めてあげると、表情がパッと明るくなり、やる気を見せてくれます。

さらに、運動量の多い犬種なので、毎日の散歩は欠かせません。

短くても1日2回、朝と夕方に外の空気を吸わせてあげることで、ストレスが減り、落ち着いた性格に育ちます。

柴犬は一見クールですが、心の奥ではとても情に厚い犬です。

信頼する飼い主にだけ見せる笑顔や仕草は、まるで家族そのもの。

その絆の深さこそ、柴犬を飼う最大の喜びと言えるでしょう。


柴犬の寿命と健康管理

柴犬の平均寿命は、12〜15歳前後といわれています。

小型犬の中では比較的長生きする犬種で、健康に育てれば17〜18歳まで元気に過ごす子も少なくありません。

人間に換算すると、およそ70〜80歳にあたります。

柴犬の寿命は、遺伝・生活環境・食事・運動量など、さまざまな要因で変わります。

生まれつき体が丈夫な犬もいれば、皮膚トラブルやアレルギーを起こしやすい子もいます。

日々の観察が寿命を延ばす第一歩です。


柴犬の長生きの秘訣

柴犬を長生きさせるためには、以下の3つのポイントが大切です。

食事管理

柴犬は皮膚がデリケートで、フードの合う・合わないがはっきりしています。

合わないフードを食べ続けると、かゆみや脱毛が起き、ストレスが体に負担をかけます。

高品質なタンパク質を中心に、添加物の少ないフードを選びましょう。


適度な運動

もともと山を駆け回っていた犬種なので、散歩が足りないとストレスがたまりやすくなります。

1日2回、30分ほどの散歩が理想で、軽いジョギングやボール遊びも効果的です。

運動は肥満予防だけでなく、心の安定にもつながります。


定期的な健康チェック

歯石や耳の汚れ、皮膚のかゆみなど、小さな不調を放置しないことが大切です。

年に1回の健康診断に加え、7歳を過ぎた頃からは半年に1回の血液検査を受けると安心です。


シニア期の柴犬との向き合い方

10歳を過ぎると、柴犬は徐々にシニア期に入ります。

足腰が弱くなったり、耳が遠くなったり、睡眠時間が長くなることがあります。

若い頃のような活発さが減っても、それは老化の自然な流れです。

大切なのは、「若い頃と同じことを求めない」こと。

散歩の距離を短くしたり、滑りにくいマットを敷いたりと、生活環境を少しずつ変えていきましょう。

そして、変わらず声をかけ、優しくスキンシップを取ることで、柴犬は安心して穏やかな日々を過ごせます。

柴犬は年をとってもプライドの高い犬です。

体が弱っても、飼い主の前では元気に見せようとすることがあります。

だからこそ、いつもと違う仕草や食欲の変化に早く気づいてあげることが、何よりの愛情です。


柴犬の値段と入手のポイント

柴犬の平均的な値段は、15万〜30万円前後が相場といわれています。

ただし、血統や毛色、販売元によって価格には大きな幅があります。

ペットショップでは20万円前後が多く、ブリーダー直販では30万円を超えるケースも珍しくありません。


値段の違いはなぜ生まれるのか?

柴犬の値段を左右する主な要因は、以下の3つです。

  • 血統(親犬の実績)
    展覧会などで評価を受けた親犬をもつ子犬は、遺伝的に体格や毛並みが優れているため価格が高くなります。

  • 毛色の希少性。
    一般的な「赤柴」が最も多く、価格も安定していますが、「黒柴」「胡麻柴(ごましば)」などはやや高めに設定される傾向があります。
    特に胡麻柴は希少で、ブリーダーでも数が少ないため入手が難しいことがあります。

  • 育てられた環境。
    清潔な環境で健康的に育てられた子犬は、ワクチンや健康チェックがしっかり行われており、結果的に価格が上がります。
    一方で、安すぎる価格には注意が必要です。ワクチン未接種や健康状態の不安要素を抱えるケースもあります。

  • 系統の違い 地域系統の柴犬(地柴)
    柴犬には同じ犬種の中でも、地域によって特徴が異なる複数の系統があります。
    • 信州柴犬(長野県)
      筋肉質で引き締まった体格。山岳地帯での猟に適した丈夫な体。

    • 美濃柴犬(岐阜県)
      濃い赤茶色の被毛が特徴。日本犬の中でも特に美しいとされ、天然記念物にも指定。

    • 縄文柴犬
      原始的な柴犬の特徴を残した血統で、細身の顔立ちと野性味のある雰囲気が魅力。ブリーダーが少なく希少。

    • 山陰柴犬(島根県)
      被毛が厚く、寒暖差の大きい環境に強い。黒っぽい毛色が多く、精悍な印象。

      これらの地域系柴犬は、いずれも繁殖数が非常に限られており、保存会が血統管理を行っているため、希少価値が高く価格も上がる傾向にあります。

  • 豆柴(まめしば)
    豆柴とは通常の柴犬よりも小型化を目指して繁殖されたタイプ。

    地域発祥ではなく、「小柄な柴犬同士を選抜交配して固定化した」血統です。

    JKC(ジャパンケネルクラブ)では正式犬種としては未登録ですが、ペットとしての人気は非常に高く、サイズの希少性から価格も高額(30〜50万円前後)になる傾向があります。


購入先はどこがいい?

柴犬を迎える方法には、主に「ペットショップ」「ブリーダー」「保護犬譲渡会」の3つがあります。

  • ペットショップ
    気軽に見学でき、すぐに購入できる点が魅力です。
    ただし、親犬の情報が分かりにくいこともあるため、できるだけスタッフに生まれた環境やワクチン状況を確認しましょう。

  • ブリーダーからの直接購入
    健康状態や親犬の性格を詳しく知ることができるのが強みです。
    親犬がどんな性格なのかを見せてもらえるため、将来の性格傾向を予測しやすくなります。

  • 保護犬の里親になる
    柴犬は人気犬種であるため、実は保護施設に預けられるケースも少なくありません。
    年齢や性格を理解したうえで迎え入れると、新たな家族として深い絆が生まれるでしょう。

健康で信頼できる子犬を選ぶポイント

購入の際には、次の3点をチェックしておくと安心です。

  • 目が澄んでいて、鼻が湿っているか
  • 毛並みが整っており、皮膚に赤みがないか
  • 足取りがしっかりしていて、よく遊ぶか

元気な子犬ほど、人との関わりを楽しもうとします。

抱っこを嫌がらず、興味を持って顔を見つめてくる子は、性格の良さや育てやすさのサインです。

柴犬は見た目だけでなく、「この子と暮らしたい」と思える直感も大切にしたい犬種です。

信頼できる出会いを大切にすれば、一生のパートナーとして素晴らしい関係を築くことができるでしょう。


柴犬の赤ちゃん期(子犬)の成長

柴犬の赤ちゃんは、まるでぬいぐるみのような可愛らしさです。

生まれたばかりの頃は目も耳も閉じており、母犬の体温とミルクに守られて過ごします。

ここでは、子犬がどのように成長していくのか、その変化を見ていきましょう。


生後1ヶ月までの赤ちゃん期

生後1〜2週間で目が開き、3週目にはよちよち歩きを始めます。

この頃はまだ母犬と一緒に過ごし、人の手で育てる段階ではありません。

母乳から栄養をとり、兄弟たちとじゃれ合いながら社会性の基礎を学んでいきます。

また、柴犬の赤ちゃんはお母さんから排泄の仕方を教わります。

初めはお母さんがお尻などを舐めて促してあげるのですが、3週間くらいになると赤ちゃんは自力で排泄できるようになります。

毛色はまだ淡く、やや黒っぽい子も多いですが、成長とともに赤みが増していきます。

「赤柴」として販売される子犬でも、子犬のうちは黒毛が多いのが普通です。


生後2〜3ヶ月ごろ:お迎えのタイミング

生後2ヶ月を過ぎると、乳歯が生えそろい、離乳が進みます。

この時期は、ブリーダーやペットショップで「お迎えできる時期」として案内されることが多いです。

体重はおよそ2〜3kg前後

見た目はふわふわとした丸い体で、まさに「柴犬のぬいぐるみ」のよう。

この時期は社会性を育てる最も重要な期間です。

たくさん遊び、いろいろな音や人に慣れさせることで、成犬になっても落ち着いた性格に育ちます。


生後4〜6ヶ月:やんちゃ盛りと反抗期

この頃になると、体重は5〜7kg前後に増え、体つきもしっかりしてきます。

垂れ耳だった耳がピンと立ち、顔立ちも引き締まり、少しずつ大人の柴犬らしい姿に近づきます。

一方で、ヤンチャで甘噛みやイタズラが増える時期でもあります。

これは「歯の生え変わり」や「自我の芽生え」による自然な行動です。

叱るよりも、噛んでもいいおもちゃを与えたり、短時間のトレーニングでエネルギーを発散させることが大切です。


成犬への変化と毛色の落ち着き

生後8〜12ヶ月になると、体はほぼ成犬と同じサイズになります。

毛色はこの頃に完成し、赤柴は明るい茶色に、黒柴は顔や足にくっきりとした白の“柴マーク”が現れます。

胡麻柴はこの時期に毛色が安定し、黒と茶の混ざった独特の模様になります。

この頃からしつけも本格的に定着していきます。

焦らずに毎日コツコツと繰り返すことで、信頼関係がより強まります。


赤ちゃん柴との暮らしで大切なこと

柴犬の子犬は、見た目に反してとても繊細です。

環境の変化や音に敏感で、慣れないうちは食欲が落ちることもあります。

静かな環境で安心できるスペースを作り、家族以外の人が頻繁に触りすぎないように注意しましょう。

また、柴犬は子犬のころから清潔を好む犬です。

トイレの場所を覚えるのが早い子も多く、最初から決まった場所で排泄することもあります。

トレーニングは叱るよりも褒めて伸ばすスタイルが向いています。

子犬期の柴犬は、成長とともに毎日表情が変わります。
この時期にどれだけ愛情を注げるかが、のちの性格や信頼関係に大きく影響します。
しっかり見守りながら、人生で一度しかない可愛い「赤ちゃん柴」の時間を楽しみましょう。


柴犬を迎える前に考えたいこと

柴犬は、見た目の愛らしさとは裏腹に、強い意志と独立心を持った日本犬です。

そのため、単に「可愛いから」という理由だけで飼い始めると、思わぬ苦労を感じることもあります。

しかし、性格やルーツを理解し、正しく接すれば、これほど心を通わせられる犬はいません。


柴犬に向いている飼い主とは?

柴犬に向いているのは、落ち着いていて一貫性のある人です。

毎日の世話をコツコツ続け、感情的に怒らず、信頼関係を少しずつ築ける人。

逆に、感情的に叱ったり、気分で接し方が変わる人は、柴犬にはあまり向いていません。

柴犬は相手の表情や声のトーンに敏感です。

「この人は信頼できる」と感じた相手には、まるで家族のように寄り添い、一生をかけて尽くします。

その忠誠心の強さこそ、柴犬の最大の魅力です。


飼う前に整えておきたい環境

柴犬は暑さにも寒さにも比較的強いですが、室内飼いが基本です。

屋外で鎖につながれたままだとストレスがたまり、性格が荒くなることもあります。

室内に安心できる居場所を作り、定期的な散歩で十分な運動量を確保してあげましょう。

また、抜け毛が多い犬種なので、掃除の頻度や家族のアレルギー対策も事前に考えておくと安心です。

ブラッシングやシャンプーなどのケアをこまめに行うことで、清潔を保ち、皮膚トラブルの予防にもつながります。


柴犬と長く幸せに暮らすために

柴犬は一度心を許した相手を、一生忘れません。

たとえ叱られても、飼い主のそばに寄り添い、信頼を寄せ続けます。

その姿は、人間にとって「家族」そのものです。

大切なのは、しつけよりも信頼、命令よりも理解

「犬を育てる」というより、「共に生きる」という意識で接することで、柴犬との関係は驚くほど穏やかになります。

日々の小さなコミュニケーションを重ねながら、柴犬の仕草や表情に耳を傾けてください。

そこには、言葉では伝えきれない温かい愛情が詰まっています。


まとめ

柴犬は、古くから日本人と共に生きてきた“心のふるさと”のような犬です。

気高さと優しさを併せ持ち、時に頑固、時に甘えん坊。

そのすべてを理解して迎える覚悟ができたとき、きっとあなたにとって一生の家族になるでしょう。

柴犬と暮らすことは、日々の小さな喜びを見つけることでもあります。

朝の散歩、ふと見せる笑顔、静かに寄り添って眠る温もり——。

そのすべてが、何ものにも代えがたい宝物になるはずです。

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