
コケ取り要員として人気の高いオトシンクルスですが、「どれくらい生きるのか?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
平均寿命はおよそ3年といわれますが、環境や管理方法次第で長く生きる個体もいます。
この記事では、寿命の目安とともに、長生きさせるための飼育ポイントを解説します。
オトシンクルスの寿命は長いそれとも短命?

平均的なオトシンクルスの寿命は約3年といわれています。
ただし、あくまで私の個人的な予想ですが、この数字はオトシンクルスの大きさから想像した寿命で、実際に飼育して確認した寿命ではないと思います。
というのも、オトシンクルスはコケ取り用の脇役として飼われていることが多く、気付けばいなくなっていた、ということが多い魚です。
コケ取り要員なので数が減ったら補充するため、今いる個体がいつからいる個体なのかわからない、ということもあります。
一方で長期飼育が難しい魚でもあり、ちゃんと飼育して検証されたことはほとんどないと思います。
ショップで販売されているのは成魚か、それより一回り小さな若魚で、その大きさになるまでどのくらい生きてきたのかわかりません。
もし、ショップで購入してから3年も生きるのなら寿命そのものはもっと長いのかもしれませんし、逆にあまりに早く死んでしまうようならそもそも寿命が短い可能性もあります。
よくわかっていない、というのが実態です。
オトシンクルスは飼いにくい?

では、なぜオトシンクルスの長期飼育は難しいのでしょうか。
一番大きな理由は、オトシンクルスの食性の特殊さです。
コケ取り要員として知られている魚ですが、ほとんどコケしか食べない、と言い換えることもできます。
つまり、コケがなければ餌がないのです。
一方で、体が小さい割にコケ取り能力が高いことでも知られていますが、それだけたくさん食べるということです。
水槽の脇役として飼われている場合、気付けばいなくなっていることの多い魚ですが、それは水槽内のコケをあっというまに食べつくし、餓死してしまっていると考えられます。
また、完全な止水よりも弱い水流のある場所を好むとされており、コケを取るために入れられている水槽の環境があまり適していないことも考えられます。
オトシンクルスを長生きさせるには?

オトシンクルスは、わかっていないことが意外なほど多く、長期飼育の方法が確立されていない魚です。
まず水槽ですが、できれば45~60センチくらいの、大きさに余裕のある水槽を使います。
これは、なるべく大きな水槽にして表面積を増やし、コケが生えそうな面積を広くとることと、水流を起こしやすいフィルターを使うためです。
底にはソイルを敷き、テネルスなどの水草を植えます。
ソイルそのものが有機物を含んでいてオトシンクルスの栄養になるのと、水草の茂った環境がオトシンクルスを落ち着かせると考えられるためです。
水槽内は流木でレイアウトしますが、なるべく大きくて平らな面のある流木を使い、その面にフィルターの水流を当てるようにします。
流木の表面がオトシンクルスの餌になる可能性があるのと、流木の表面を使って水流のある環境を再現するためです。
できれば強めの照明を当てて、アマゾンフロッグピットなどの浮草を浮かべるといいでしょう。

浮草の裏面や根っこに張り付き、そこに生えたコケや微生物などを食べている様子が見られるはずです。
理想的には、レイアウト用の流木とは別にコケの生えた流木を入れて食べさせるといいでしょう。
他の水槽でコケを生やしておき、定期的に入れ替えるようなイメージです。
プレコ用のタブレットフードも使えますが、餌付くまでには時間がかかります。
オトシンクルスの長生き実例
オトシンクルスの寿命が3年前後といわれる一方で、飼育者の中には4年以上生きたケースも報告されています。
こうした長寿個体にはいくつかの共通点が見られます。
まずは、導入直後に命を落とすような悲しいことが起こらないようオトシンクルスの水合わせには細心の注意が必要です。

そして、安定した水質が長生きの大きな要因です。
水換えを急に大量に行わず、毎週10〜20%程度のこまめな換水を継続している例が多く見られます。
特にアンモニアや亜硝酸がゼロに保たれている環境は必須条件です。
次に、餌不足にならない工夫も重要です。
オトシンクルスの餌はいらないという説もありますが過信しない方が良いです。

長生きしたケースでは、コケが減った際にプレコタブレットやズッキーニなどを早い段階で与えており、餓死のリスクを回避しています。
餌付けに時間がかかることも多いため、早期から人工飼料を慣らしておくと安心です。
また、大人しい性格のオトシンクルスはいじめの被害を受けやすいため、混泳相手の選び方も寿命に影響します。

長寿個体の報告では、同居魚が小型温和種に限定されている場合が多く、ストレスや物理的な攻撃を受けにくい環境が維持されています。
このように、適切な環境と給餌管理、ストレスを抑えた飼育環境を整えることで、平均寿命を超える長寿個体を育てられる可能性があります。
オトシンクルスの寿命平均は?【まとめ】
オトシンクルスの平均寿命は約3年といわれていますが、飼育環境が適切であればそれ以上生きる例もあります。
コケや水質管理など日々のメンテナンスを工夫することで、より長く健康に飼育できる可能性が高まります。
手間はかかりますが、その分長く付き合える喜びがある魚です。