
ヤマトヌマエビを飼育していると、なぜかポンプの周りに集まっている光景を目にすることがあります。
単に水流や苔を好んでいるだけなら問題ありませんが、ときには酸素不足やストレスなど環境の異常を示すサインであることも。
今回は、ヤマトヌマエビがポンプに集まる理由と、その行動を見たときのチェックポイントを解説します。
ヤマトヌマエビに水流は必要?

ヤマトヌマエビの習性
ヤマトヌマエビは水の流れる場所に集まり、水流に逆らう習性があります。
自然界は餌が上流から流れてくるため、その結果として水流に逆らう形となるのです。
しかし水面に餌がある場合は、水面に向かい背泳ぎの姿勢で餌を食べます。
案外器用な一面もありますね。
この場合、酸欠で苦しいから水面付近に集まってくるように思われますが、ヤマトヌマエビは水質が悪くなると物陰に潜んで大人しくなります。
水槽内で大人しく動かない状態は、死ぬこともありますので、水質に問題あると考え、早急に対策が必要です。
ヤマトヌマエビは水流が必要?
結論から言うと、水流は必要です。
ヤマトヌマエビは自然界では川や湖など流れのある場所に生息しており、流れに逆らって定位する習性があります。
水流があることで酸素が循環しやすく、餌となる微生物や有機物も運ばれてくるため、より自然に近い環境を再現できます。
ただし、水槽全体に強い水流をつくる必要はなく、水のよどみができない程度の循環で十分です。
水流の強さはどのくらいが良い?
理想は「エビが逆らって遊べる程度の流れ」で、体が押し流されるような強い水流は負担になります。
目安としては以下のように考えると分かりやすいです。
- 弱すぎる場合:
水が滞留して酸素不足やコケの発生源になる。エビがあまり動かず、隅にたまることが多い。 - 強すぎる場合:
常にポンプ付近にしがみつき、体力を消耗する。餌を食べに出にくくなる。 - ちょうど良い場合:水槽の中を歩き回りながら、時々水流に向かって泳いでいる。
ポンプ付近に集まっても、休憩しながら動いている。
水流の調整のコツ
- シャワーパイプを使って水流を分散させる
- 水面を軽く揺らす程度に流量を下げる
- 強い水流ゾーンと弱い水流ゾーンを両方つくり、エビが選べる環境にする
ヤマトヌマエビに適した水流の作り方

- ろ過フィルターを利用する
最も一般的なのは、外掛け式や外部フィルター、投げ込み式フィルターから生まれる水流を利用する方法です。
水流の強さはフィルターの流量調整機能でコントロールできます。
流量調整ができない機種の場合は、吐出口の向きを変えてガラス面や水面に当てると水流が分散され、強すぎる流れを避けられます。 - シャワーパイプで分散させる
外部フィルターに多い「シャワーパイプ」は、水を複数の穴から均等に吐き出すため、局所的に強すぎない柔らかな流れを作れます。
水草のある水槽や、エビが流されやすい小型水槽でも安心して使えます。 - エアレーションを組み合わせる
エアストーンやスポンジフィルターを使うと、水面の揺れによって緩やかな水流が生まれます。
これにより酸素供給も同時にでき、夏場の酸欠対策にも有効です。
ポンプの水流が強すぎる場合は、あえてエアレーション主体にして全体を柔らかく循環させるのも一つの方法です。 - 強弱をつけるレイアウト
流木や岩、水草を配置して「流れが強いゾーン」と「よどみができるゾーン」を両方作ると、ヤマトヌマエビが好みに応じて場所を選べます。
流れに乗って遊びたい時は水流ゾーンに、休みたい時は弱流ゾーンに移動できるため、ストレスの軽減につながります。
ヤマトヌマエビがポンプに集まる理由とは?

ポンプ周りで元気に動いて餌を食べている場合は問題ありません。
新たに水槽に導入したての場合は、水槽に慣れていないことや、他の生体が泳いでいると、大人しく隠れていることも考えられます。
ヤマトヌマエビは夜行性でもあるので、明るい時間も同様に隠れている場合もあります。

シャワーパイプなどからの水流が強すぎて、集まらざるを得ない状況のことも。
その場合は水流を調整してみましょう。
しばらくして慣れてくると水槽内を歩き回るようになると思います。
ただしポンプに集まる、一か所に集まって動かないなどの場合はヤマトヌマエビの身体に負担がかかっていることが考えられるため注意が必要です。
特に、餌をあげても食べに来ないなどの状態だった場合はかなり危険です。
その理由を確認してみましょう。
水質悪化
まず水質悪化をしていないか確認をします。
水槽内のゴミの溜まり具合やコケの発生具合、水の濁り具合を確認しましょう。
急な水質の変動
新たに導入したり、水槽の立ち上げや水換えなどで、水合わせをせずに水槽内に入れた場合、急な水質の変化でヤマトヌマエビは弱ります。
水換えの際は必ず慎重に水合わせをしましょう。
二酸化炭素が多すぎる
ヤマトヌマエビは酸欠に弱い生体です。
水草水槽での飼育の場合、水草を維持するためにCO2添加を多くしがちのため、それが影響する場合があります。
水温が合っていない
ヤマトヌマエビは30度以上の高い水温に弱く、特に夏場の高温期は注意が必要です。
日頃の対策として冷却ファンの設置で解決できる場合があります。
反対に水温が低すぎる場合も一か所に集まる場合があります。

ミナミヌマエビがポンプに集まる行動が見られたときのチェックポイント

水流の強さと好みの関係
ヤマトヌマエビは流れのある場所を好む習性があるため、ポンプ付近に自然と集まることがあります。
特にろ過装置の吐出口やシャワーパイプの近くは水流が安定しており、餌となる微生物やゴミも集まりやすい環境です。
そのため、ポンプ付近に複数の個体が寄っている場合は、むしろ自然な行動であることも少なくありません。
酸素量を確かめるサイン
ポンプ周辺は水の循環が活発で酸素が多い場所でもあります。
もしヤマトヌマエビが長時間そこから離れない場合は、水槽全体の酸素量が不足している可能性も考えられます。
水面付近に同時に集まる様子が見られるなら、エアレーション不足やCO2添加過多が疑われるので、早めに対処した方が安心です。
ストレスや隠れ家不足の可能性
ポンプ裏や配管の影に集まってじっとしている場合は、環境ストレスを感じて隠れているケースもあります。
ヤマトヌマエビは臆病な性格で、魚に追われたり、光が強すぎたりすると安全な場所に避難します。
水草や流木といった隠れ家を増やすことで、ポンプ一点に固まる状況を避けられることがあります。
対策が必要な場合

これらの要因により、ポンプ周辺で動かなくなっているヤマトヌマエビは、弱っている身を守るためにポンプに身を隠している可能性があります。
特にエビ類は魚に比べて、水槽内の環境の影響を受けやすく、熱帯魚に問題がなくてもエビだけ全滅してしまうこともあるくらいです。
適切に水合わせ・水換えを行って、ヤマトヌマエビが元気になれる環境に整えましょう。
ただし注意が必要なのは、慌てて水換えをすることです。
身体の小さなヤマトヌマエビにとって、水換えだけでも負担が大きいのに、弱っているときにやる場合は、よりゆっくり慎重に行うようにしましょう。
はやる気持ちは分かりますが、そのような究極な状態にならないよう、日ごろからよく観察して飼育するようにしましょう。
ヤマトヌマエビがポンプに集まる理由とは?【まとめ】
ヤマトヌマエビがポンプに集まる行動は自然な習性の一つでもありますが、酸素不足や隠れ家不足など不調のサインの可能性もあります。
集まり方や行動の変化をよく観察し、必要に応じて水流や水質を調整してあげることが大切です。
普段からこまめにチェックしておくことで、長く元気に飼育できる環境を維持できます。