ザリガニは「夜行性」とよく言われますが、実際には昼間も活動することがあります。
では本当に夜行性なのか?寝る習性はあるのか?
本記事では、筆者の飼育経験と観察をもとに、ザリガニの行動リズムと飼育で気をつけたい環境づくりについて解説します。
ザリガニは夜行性というよりは暗い環境が好きそう

ザリガニは甲殻類(エビやカニ)の仲間に入りますが、彼らは総じて暗い環境が好きな生き物が多いです。
水族館のお客様はライトがついている日中の方の姿を見ているのでおとなしい生き物という印象が強いかもしれませんが、夜電気を消したあとや、水槽を暗めの設定にしておくと動き出す姿がよくみられます。
この観察を踏まえると、ザリガニも夜行性というよりは、暗めの環境が好きだということが適切かもしれません。
自然界でも日中石から出てきて動いてるときを見たことがあります。
ザリガニの活動時間と飼育環境への影響

ザリガニが「夜行性」といわれる背景には、自然界と飼育下での行動パターンの違いがあります。
ここでは、観察事例や飼育経験を踏まえて、より具体的に活動リズムと飼育環境づくりのポイントを解説します。
昼間の行動パターン
野生のザリガニは、日中は外敵から身を守るために石や倒木の下、泥の中などに隠れる傾向があります。
完全に動かないわけではなく、巣穴の補修や水草の根をかじるといった行動も見られます。
飼育下でも、昼間は水槽の隅でじっとしていることが多く、観察できる動きは限られるでしょう。
夜間の活発な行動
夜になるとザリガニはエサを探して積極的に歩き回ります。
これは野生下での捕食行動と同じで、小魚や落ち葉、動物の死骸を探す習性に基づきます。
飼育下でも電気を消したあとに水槽を覗くと、砂を掘ったり流木の上をよじ登ったりと活発に動く姿が見られます。
飼育における照明と隠れ家の工夫
ザリガニを飼育する際は、昼夜の明暗リズムをつけてあげることが大切です。
照明を一日中点けっぱなしにするよりも、12時間程度で明暗を切り替えると自然な行動を引き出せます。
また石や流木で隠れ家を用意することで、昼間も安心して過ごせる環境になります。
これによりストレスが減り、ケンカや体調不良の予防にもつながります。
ザリガニは寝るのか?

人と同じ睡眠といえるのかは疑問ですが、観察している限り寝ているんだろうなと思うことはあります。
足もハサミもダランと地面につけてジーッとしているような時があって、単純にジッとしているのとは姿勢が少し違うときがあります。
最初は病気なのかなとか心配したんですが、どうもそういう様子でもないところをみると、多分寝ているんだと思います。
ザリガニが寝ることには私も質問されるたびに気になっていて、科学的エビテンスが無いか調べたこともありますが、詳しく調べた研究はないようです。
人や哺乳類に鳥類ではレム睡眠とノンレム睡眠の繰り返しによる真睡眠というスタイルですが、一般的にザリガニを含む無脊椎動物たちはこのような睡眠ではなく休息程度のことを行っているとされています。
私がみていた寝てるっぽい状態も、科学的観点で言うと「休息」という括りに分けられます。
ザリガニ寝る寝ない問題は調べると面白そう

とはいえ、先にも書いたようにザリガニ含む無脊椎動物の急速について詳しく調べた事例が多いわけではないので今後研究がなされると見方が変わる可能性もあります。
というのも例えば魚はレム睡眠のみの原始的な睡眠のみを行っていると考えられてきました。
しかしゼブラフィッシュという魚の睡眠を調べたところ、レム睡眠とノンレム睡眠の周期があり、人間に近い睡眠パターンであることがわかっています。
これらを比較していくと、睡眠ふくめ休息について生物はいかに体を休めているのかを分析することができるので、今後はザリガニや他の無脊椎動物についても調べられると、より睡眠について深く理解することができそうです。
ザリガニは人と同じようにうつになることもある

この類の話でいうと、ザリガニはうつ病になります。
話が本題からそれますがザリガニはザリガニ同士でケンカして、負けると神経伝達物質の量が減り、活動に積極性がなくなり、人で言うところのうつ症状に近い生理状態になることが確認できています。
つまりうつ病は本人が「落ち込んだからうつ病です」というから診断が下せるものではなく。
科学的視点からとらえることができることを示しています。
まったく違う生き物なのに嫌なことがあったら同じように凹んで、同じように体内の成分が変化しているのですから当然ですよね。
ザリガニの寝ることについてもいろいろわかると、人間とまったく同じでなくても、生物としての根本的な共通点がわかるかもしれません。
そうなると体の休み方についての考え方もより深まるはずです。
なにかわかってくるのが個人的にすごく楽しみです。
ザリガニって夜行性?【まとめ】
ザリガニは暗い環境で活発に動きますが、昼間も隠れながら活動しています。
飼育下では照明の明暗を調整し、隠れ家を用意してあげることで自然に近いリズムを再現できます。
夜行性という言葉にとらわれず、安心できる環境を整えてあげることが、ザリガニの健康を守る大切なポイントです。
ザリガニの飼育法や行動観察については、他の記事でも詳しく紹介していますのであわせてご覧ください。