ヤマトヌマエビは人気の掃除屋ですが、自然に繁殖することはありません。
特にゾエア期は汽水環境が必須で、管理に工夫が必要です。
本記事では、ペットボトルを使った簡易繁殖方法から水質管理の注意点、ゾエアを稚エビへ育てるまでの具体的な手順を詳しく紹介します。
ヤマトヌマエビを繁殖させる方法

抱卵を確認したら汽水を準備
ヤマトヌマエビは体内で卵を育て、やがて「ゾエア」と呼ばれる稚エビの前段階を産みます。
ゾエアは淡水では生きられず、必ず汽水(海水と淡水を混ぜた水)が必要です。
お腹に卵を抱えた抱卵個体を見つけたら、まずは汽水を用意しましょう。
親エビの隔離と産卵後の対応
抱卵個体をそのまま大きな水槽に入れておくと、他の生体や環境の影響で卵やゾエアがうまく育たないことがあります。
そのため、抱卵個体は別容器に隔離します。
ゾエアが孵化したら、すぐに親エビだけを元の水槽へ戻し、残ったゾエアを汽水環境で育てていきます。
ゾエアに与える餌の工夫
ゾエアは非常に小さいため、市販のエビ用フードは食べられません。
おすすめは植物性プランクトンです。
水草を入れたバケツを日光に当てれば自然に発生しますし、グリーンウォーターを利用するのも有効です。
餌が不足するとゾエアはすぐに弱ってしまうため、十分な量を確保しておくことが大切です。
水換えと水質管理の重要性
ゾエアは水質悪化にとても敏感です。
2~3日に1回、全体の1/4程度を目安に水替えを行いましょう。
この時は必ず新しい汽水を用意し、塩分濃度が急に変わらないよう注意してください。水質を清潔に保つことが、生存率を高める大きなポイントです。
稚エビへの成長と混泳の目安
約1か月ほど経つとゾエアは親エビと同じ餌を食べられるようになり、さらに2か月経過すれば混泳も可能になります。
稚エビがしっかりと底に足をつけて歩く姿が見られるようになったら、少しずつ淡水に慣らしながら親エビと同じ環境に戻していきましょう。
ヤマトヌマエビの繁殖にペットボトルは使用できる?

ペットボトルを使った簡易的な隔離容器
ペットボトルを加工して隔離容器に利用する方法は、多くの飼育者が実践しています。
2リットルのペットボトルを半分に切り、飲み口を下にしてもう半分に差し込めば簡易的な育成容器が完成します。
スペースを取らず、費用もかからない点が大きなメリットです。
汽水の作り方とエアレーション
ゾエアを育てるには必ず汽水を用意しましょう。
方法は、ペットボトルに海水を満たしてから30%を捨て、同量の淡水を足すだけです。
さらに、飲み口側からエアストーンを入れてエアレーションを行い、水の循環と酸素供給を確保します。
餌となるプランクトンの準備
ペットボトル内には、少量の底砂やウィローモスを入れておくと、微生物や植物性プランクトンが発生し、ゾエアの餌になります。
不足が心配な場合はグリーンウォーターを注ぎ足したり、動物性プランクトンを追加するのも効果的です。
水質維持と換水のポイント
ペットボトルは水量が少ないため、水質が悪化しやすいという弱点があります。
2〜3日に1回、全体の1/4を目安に新しい汽水へ換水することが必須です。
水換えの際は塩分濃度を急に変えず、ゾエアがショックを受けないよう丁寧に行いましょう。
稚エビへの成長と淡水への移行
約2週間でゾエアは稚エビへと変態し、底を歩けるようになります。
その後も汽水環境で育て、餌はプランクトンを中心に与えます。1か月ほど経ったら少しずつ淡水に戻していきましょう。
1週間ごとに塩分濃度を下げ、1か月かけて淡水に慣らすことで、安全に親エビの水槽へ合流させることができます。
ペットボトル繁殖の注意点と成功率を上げるコツ

ペットボトルはあくまで簡易的な方法
ペットボトルを使った繁殖方法は低コストで挑戦できる反面、水量が少ないため水質が急変しやすいというリスクもあります。
ゾエアは水質変化に非常に敏感で、酸素不足や餌不足が発生しやすいため、あくまで「実験的・練習的」に利用するのが安心です。
本格的に繁殖を狙う場合は、小型水槽やバケツを利用した方が安定しやすいでしょう。

水質安定のための工夫
ペットボトル内の水質を安定させるためには、底に少量の底砂やウィローモスを入れて「微生物が定着する環境」を作ることが効果的です。
またエアレーションを弱めに入れて、水が常にかき回されるようにすると酸素不足を防げます。
小さな容器では水温も変わりやすいため、夏場や冬場はエアコンの効いた部屋に置く、あるいは大きな水槽の中にペットボトルごと浮かべると温度変化を緩やかにできます。
ゾエア期から稚エビ期への移行を丁寧に

ゾエアは浮遊生活を送りながら徐々に稚エビへと成長しますが、この時期に水換えや塩分濃度の調整を雑にすると大量死につながります。
換水は一度に大量ではなく、1/4程度を2~3日に1回のペースで行いましょう。
また淡水へ戻す過程も段階的に塩分を下げるのが必須です。
特に1か月目は「ゆっくり変化させる」ことが成功率を上げる最大のポイントになります。
ヤマトヌマエビの繁殖はペットボトルでできる?【まとめ】
ヤマトヌマエビの繁殖は難しいものの、手順を守ればペットボトルでも挑戦可能です。
ゾエア期の餌不足や水質悪化を防ぐ工夫が成功の鍵となります。
まずは実験的に挑戦し、慣れてきたら小型水槽での本格繁殖にステップアップするのも良いでしょう。