
犬の耳掃除はしないほうがいいのか、それとも定期的にしたほうがいいのか迷う飼い主さんは多いです。
さらに、耳掃除を嫌がる・噛みつく・触らせてくれないなど、ケアそのものが難しいケースもありますよね。
実は耳の汚れや蒸れは外耳炎につながりやすく、耳毛の量や体質によって必要なケアも変わります。
この記事では、耳掃除が必要なサイン、正しいやり方、嫌がるときの対処、耳毛カットが必要な犬の特徴まで、耳の健康維持に欠かせないポイントをまとめて詳しく解説します。
愛犬が痛い思いをせずにすむよう、今日からできる耳ケアのコツをお伝えします。
犬の耳掃除はしないほうがいい?

うちの犬は耳を触ることを嫌がるから、耳掃除はしないほうがいい?でも、汚れているから気になって…なんて悩んでいませんか?
毎日の耳掃除は不要ですが、定期的に耳の汚れや臭いをチェックするようにしましょう。
たれ耳や、毛の長い犬種の場合、耳の入口をふさぐことで、雑菌が繁殖しやすい状態になります。
汚れていると感じた場合は、耳掃除をしましょう。
犬の耳掃除の頻度は?

耳の汚れチェックは週1回程度にして、耳掃除は月1~2回程度を目安におこなうことがおすすめです。
また、耳掃除をするタイミングを決めておくのもいいでしょう。
- お散歩から戻ったとき
- 寝る前
また、たれ耳と立ち耳でも汚れ方がかわるため、頻度も異なる場合があります。
実際、子犬の頃は立ち耳だった我が家の犬は、成長するにつれて垂れ耳になりました。
それに伴って、耳の汚れ方や臭いのこもりかたが変わりました。
子犬のころは、汚れがほとんどなかったので、耳掃除はしないほうがいいと思っていましたが、状況はかわるものです。
犬の耳掃除は「しないほうがいい状況」と「したほうがいい状況」がある
耳掃除は“必ずやるべき”でも“全く不要”でもなく、犬の耳の状態によって判断が変わります。
ここでは、どんな時に耳掃除を避けるべきか、逆に積極的に掃除をしたほうがいいケースを整理しておきます。
耳掃除を「しないほうがいい」ケース

耳の中に赤みがある、触ると痛がる、強い臭いがする、耳垢が湿ってベタつく、黄色や茶色のどろっとした耳垢が多い…などの状態がある場合は、耳の中で炎症が起きている可能性があります。
こうした時に自宅で耳掃除をすると、かえって炎症を悪化させることがあり、状態の確認が遅れることもあります。
このような時は掃除を控え、まず病院で原因を調べてもらうことが大切です。
耳掃除を「したほうがいい」ケース

健康な耳でも、犬種・耳の形・体質によっては耳垢がたまりやすい場合があります。
たれ耳・耳毛の多い犬・脂性体質・水遊びやお風呂の後などは、耳の内部が蒸れやすいため汚れが蓄積しやすい傾向があります。
耳の入口付近に黒いカス、乾いた耳垢、ほこりが見える程度で、痛みも嫌がりもない場合は、自宅で優しく耳掃除を行って問題ありません。
犬種による耳掃除の必要性の違い

犬の耳掃除が必要かどうかは、耳の形と被毛の特徴によって大きく変わります。
たれ耳や顔周りの毛量が多い犬は湿気がこもりやすく、耳垢が増えるため耳掃除の頻度が高くなる傾向があります。
反対に、立ち耳で風通しの良い犬は汚れが溜まりにくく、掃除頻度も少なくて済む場合があります。
垂れ耳の犬種
たれ耳の代表格であるコッカー・スパニエル、ビーグル、ダックスなどは、耳の入口が塞がれやすく、少し蒸れただけでも雑菌が繁殖しやすくなります。
耳毛が密集する犬種
また、耳毛が密集するプードル系、シュナウザー系の犬も湿気を閉じ込めてしまいがちです。
立ち耳
逆に、柴犬・コーギー・ジャーマンシェパードのように立ち耳で毛量が少ない犬は、外耳道に風が入りやすいため、耳垢が自然に乾いて外に出てきやすい構造です。
こうした犬種ごとの違いを理解しておくと、「うちの子は掃除が必要なタイプなのか?」を事前に判断しやすくなります。
判断に迷う時のチェックポイント

耳掃除をするべきか迷った時は、次の3点を基準にします。
- 痛がっていないか?(触ると嫌がる場合は掃除NG)
- 湿った耳垢が出ていないか?(炎症の可能性)
- 強い臭いがないか?(細菌やマラセチアのサイン)
上記に当てはまる場合は自宅での掃除を避け、動物病院を受診しましょう。
逆に、乾燥した汚れだけなら優しく拭き取れば十分です。
犬の耳掃除の正しいやり方

犬の耳掃除は、力を入れてこすり取るのではなく「汚れを浮かせて軽く拭き取る」のが基本です。
耳の中はとてもデリケートなので、強く触るほど傷つきやすく、かえって炎症を招くことがあります。
正しい手順を知って、犬に負担をかけない掃除をしてあげましょう。
- まずは耳の状態を確認する
赤み・腫れ・強い臭い・湿った耳垢がある場合は掃除をせず病院へ。
乾いた耳垢が少量ついているだけなら自宅でもケアできます。 - 犬が落ち着ける姿勢にする
無理に押さえつけると耳掃除が嫌いになってしまうため、抱っこや横向きなど、犬が安心できる姿勢を選びます。おやつをあげながら「楽しい時間」にするのも効果的です。 - イヤークリーナーをコットンに浸す
クリーナーを直接耳に流し込まないのがポイントです。
コットンまたは柔らかいガーゼに適量しみ込ませて使います。 - 耳の入口だけをやさしく拭く
外から見える範囲の汚れを、「入口→外側へ向かって」軽く拭き取ります。
奥の方まで指を入れたり、押し込むように拭いたりすると炎症の原因になるので避けましょう。 - クリーナーで汚れを浮かせ、数秒おく
耳垢が固まっている場合、コットンに付けたクリーナーを入口に当て、数秒置くと汚れが自然にゆるみます。その後、軽くふき取るだけで十分落ちます。 - イヤークリーナーを使った後は自然乾燥
耳の中が湿った状態で終わると雑菌が増えやすくなります。
掃除後は犬自身が耳をブルブルと振るのを待ち、そのまま自然に乾かせばOKです。 - 最後にしっかり褒める
耳掃除は犬にとって少し緊張しやすいケアです。
終わった瞬間にたくさん褒めてあげると「耳掃除=良いこと」と学習してくれます。
犬が耳掃除を嫌がる・噛みつくときの対処方法

痛みや炎症が原因の場合
耳掃除中に急に噛みつく、触れるだけで頭を振る、耳の内部が赤い・湿っているなどのサインがある場合は、耳の炎症が疑われます。
こうした状態では自宅で耳掃除を続けるほど痛みが強まり、嫌がる行動が悪化してしまいます。
症状が見られる場合は耳掃除は中断し、早めに動物病院で診察を受けましょう。
「触られるのが怖い」ことが原因の場合
健康な耳でも、耳の付け根を急に触られると驚いて噛むことがあります。
耳は犬にとって敏感な部位なので、普段から少しずつ触られる練習が必要です。
スキンシップの延長で耳の付け根→耳の入口の順に慣らし、触らせてくれたら褒めておやつを与えることで「耳を触られるのは怖くない」と学習しやすくなります。
押さえつけたり強く触ったりしない
耳掃除中に体を強く押さえつけたり、耳を引っ張ると恐怖心が残りやすく、次の耳掃除をさらに嫌がる原因になります。
台に乗せる・抱っこするなど、犬が落ち着きやすい姿勢を選ぶことが大切です。
洗浄液の温度やニオイにも注意
イヤークリーナーを冷たいまま使うと、驚いて暴れたり噛む原因になります。
人肌程度に温めてコットンに染み込ませ、耳の入口を優しく拭き取りましょう。
アルコール入りでニオイが強いクリーナーは苦手な犬も多いので、低刺激タイプが安心です。
自宅で難しい場合は病院に任せる
どうしても触らせない、毎回強い抵抗があるなどの場合は、無理をせず動物病院で耳掃除をお願いするのが安全です。
炎症や痛みの有無を確認したうえで、飼い主さんに合ったケア方法も教えてもらえます。
褒める・ご褒美を与えることで慣れやすくなる
耳掃除を少しでも頑張れたら、すぐにたくさん褒めて、ご褒美のおやつを与えましょう。
「耳掃除=良いことがある」と関連づけられるため、徐々に抵抗が減っていきます。
耳掃除のNG行為

耳掃除をするうえで、絶対にやってはいけないことをいくつかご紹介しましょう。
綿棒やみみかきを使う
耳のなかを、傷つけてしまう可能性があります。
消毒用アルコールを使う
消毒作用が強すぎるため、犬用以外は使わないことです。
ウェットティッシュを使う
犬にとって、よくない成分が含まれている場合があります。
耳奥の汚れを無理にとらない
耳奥の汚れは、犬の自浄作用で出てくるので、無理に掻きださないことです。
耳毛を抜かない
耳毛は、耳のなかにゴミやホコリが入ることを防ぐ役割があるため無理に抜かないことです。
極端に嫌がる場合は病院へ相談
耳を触ると極端に嫌がったり、痛がったりする場合は、耳に炎症がある可能性もあるため、早めに病院で相談しましょう。
耳掃除も、やりすぎるとよくないことが起こります。
また、べっとりとした臭い耳垢は外耳炎の可能性があったり、黄色いドロっとした耳垢は細菌感染の可能性があります。
少しでも耳垢の状態がおかしいと感じた場合は、動物病院を受診しましょう。
犬の耳毛カットは必要?やり方・注意点・抜くべきかどうか

犬の耳毛は、耳のなかにゴミや水が入らないよう守る役割があり、人間でいえば鼻毛と同じ働きをしています。
耳毛が多い犬は蒸れやすく、耳垢がつきやすい体質のため、耳掃除と同じく耳毛ケアも耳の健康維持に関わってきます。
ただし、すべての犬に耳毛カットが必要なわけではなく、犬種や体質によって判断が変わります。
耳毛の役割とカットが必要な犬の特徴
耳毛には、異物の侵入を防ぎ、耳が湿らないようにする働きがあります。
プードル系やシュナウザーなど耳毛が密集している犬は、通気性が悪く蒸れやすいため、耳毛に耳垢が絡んで細菌が増えることがあります。
反対に、耳毛が少なく通気性が良い犬は、無理にカットする必要はありません。
耳毛カットの注意点とやり方
耳の入口付近に絡まった毛や、明らかに汚れを溜めている毛だけを、先端が丸い犬用ハサミで慎重に整えます。
バリカンを使う場合は、音が静かで低刺激のものを選びましょう。
耳の奥へ器具を入れると傷つける危険があるため、入口より内側は触らず、無理に切ったり抜いたりしないことが基本です。
耳毛を抜くべきか?現在の推奨は「基本抜かない」
以前は耳毛を抜くのが一般的でしたが、現在は
- 炎症の原因になる
- 毛を抜く刺激が強い
- 防御機能を損なう
などの理由から、必要以上に抜くことは推奨されていません。
ただし、耳毛が密集して蒸れがひどい場合は、獣医師やプロのトリマーに必要分だけ処理してもらうほうが安全です。
自宅で難しい場合はサロン・病院に任せる
耳毛カットは細かい作業のため、犬が嫌がる・動いてしまう・噛もうとする場合には、自宅で無理をせずトリミングサロンや病院に任せるのが安全です。
耳の状態を確認したうえで最適な方法を取ってくれます。
FAQ|犬の耳掃除に関するよくある質問

愛犬の耳掃除は「やるべき?やらないべき?」という悩みだけでなく、具体的な道具の選び方・頻度・嫌がるときの対処・危険なケア方法など、疑問がつきない分野です。
ここでは、よく検索される疑問を整理しつつ、飼い主さんがすぐに判断できるようにQ&A形式で分かりやすくまとめました。
耳掃除の正しい知識を身につけておくと、外耳炎などのトラブルを未然に防ぐことができます。
気になる項目だけをピンポイントで読んでも理解できるよう構成しています。

犬の耳掃除はしないほうがいい?【まとめ】
みなのか恐怖心なのかを見極めることが重要です。耳毛が多い犬は蒸れやすいため、カットや通気性の確保も耳の健康維持に役立ちます。
普段から耳の様子を観察し、必要に応じて正しい方法でケアすれば、外耳炎などのトラブルを大幅に防ぐことができます。
耳掃除や耳毛カットが難しいときは、無理をせず病院やサロンに任せるのも安全な選択です。