
うさぎの皮膚にフケやかゆみが出ていると「ツメダニかも?」と心配になりますよね。
ツメダニ症は多くのうさぎが感染している可能性があり、自然治癒は難しい病気です。
本記事では原因や治療法に加え、日常的にできる予防策までわかりやすく紹介します。
うさぎのツメダニとは?

名前から「爪に生息するのでは?」と誤解されがちですが、実際のツメダニは うさぎの爪の中に棲むわけではありません。
正式名称は「ウサギツメダニ(Cheyletiella parasitivorax)」で、うさぎの 皮膚や被毛の根元に寄生するダニ です。
このダニは皮膚の角質や組織を食べて生きており、フケやかゆみの原因になります。
背中や腰のあたりに白い粉のようなフケが出るのは、このツメダニが皮膚表面で活動しているサインです。
「ツメダニ」という名前は、口の器官(顎の部分)が爪のような形をしていることに由来します。
つまり「爪に棲むダニ」ではなく「爪の形をした口器をもつダニ」という意味合いで覚えると分かりやすいでしょう。
感染経路
通称ツメダニはウサギツメダニというダニがうさぎに直接寄生する事がこのツメダニの根本的な原因になります。
ツメダニは直接接触だけでなく、さまざまな経路から感染が広がります。
最も多いのは、すでにツメダニを持っているうさぎとの接触です。
毛づくろいや同じケージでの生活を通じて、知らないうちに寄生が広がります。
また、感染しているうさぎが使っていたケージやトイレ、食器、敷材などの飼育用品を介して移ることもあります。
ダニは目に見えない状態で残るため、中古用品や共有グッズを使う際は十分な消毒が必要です。
さらに、ブリーダーやペットショップから迎えた直後に症状が出るケースも少なくありません。
これはもともと無症状で潜伏していたダニが、新しい環境のストレスや体調不良をきっかけに表面化するためです。
このようにツメダニは「うさぎ同士の接触」「飼育用品を介した間接感染」「ストレスや免疫力低下による顕在化」という3つのルートで広がると考えられます。
発症の原因
発症自体は体力と免疫力の低下そして、他の病気などが引き金になる事が多いです。
しかし、ウサギツメダニに感染していても症状が全く現れないケースもあり、感染してから数年後に症状がひょっこり現れることもあるようです。
このツメダニ症、逆に言えば健康な場合症状が出ないため、感染しているかわからずブリーダーさんたちも完全なツメダニの撲滅に手を焼いているようです。
なので悲しいですが全てのうさぎはツメダニに感染していると考えていいでしょう。
しかも実は人獣共通感染症といわれるもので人間にも感染して皮膚に炎症を起こし痒みなどを起こすことがあるため飼い主さんも油断してはいけません。注意が必要です。
症状
ツメダニによる症状はいくつかあり、皮膚に白いふけが固まりのようにでたり、その部分が炎症を起こし赤くなったりすることがあります。
ふけができる場所は大体背中から腰あたりにかけて多く現れるようです。
また、うさぎの毛が全体的に薄くなったりする事があります。
特にお腹や後ろ足の内側などの体の内側にあたる毛が薄くなることがあるようです。
うさぎのツメダニ症の治療方法
うさぎのツメダニ治療は動物病院へ

うさぎのツメダニ治療は動物病院で診察を受けた後に、殺ダニ剤を使って治療をするのが一般的な流れです。
殺ダニ剤の種類は様々で、内服薬、外用薬、注射薬、シャンプーいっぱいあります。
どれを使用するかはやはり動物病院の先生次第でしょう。
診断方法はうさぎについているフケや被毛を採取し顕微鏡で観察します。
そのときツメダニが発見されたら、殺ダニ剤の投与による治療を行います。
しかし殺ダニ剤は元となるダニの卵には効果がありませんので一定の間隔で2~3回、殺ダニ剤を使う必要があります。
うさぎのツメダニに市販薬は使える?

インターネットやペットショップでは、犬猫用のダニ駆除薬やシャンプーが「小動物にも使える」と紹介されていることがあります。
しかし、うさぎは犬猫とは代謝や体質が大きく異なるため、市販薬を安易に使うのは非常に危険 です。
特に犬用の一部の殺ダニ剤(ピレスロイド系など)は、うさぎに対して強い毒性を示すことがあり、体調不良や最悪の場合命を落とすリスクもあります。
見た目は安全そうに見えても、成分や濃度によっては致命的になりかねません。
実際、うさぎのツメダニ治療に使われる薬は、動物病院で診断後に体重や症状に合わせて処方されるもの です。
注射やスポットタイプの薬、場合によってはシャンプー療法などが選ばれますが、いずれも獣医師の管理下で行う必要があります。
「市販薬でなんとかしたい」と思う気持ちは自然ですが、ツメダニ症は放置するとかゆみやストレスで食欲不振・毛づくろい過多から体調を崩すこともあります。
市販薬に頼らず、必ず獣医師に相談して適切な薬を処方してもらうことが最も安全な治療法 です。
うさぎのツメダニは自然治癒するの?

ツメダニ症は、軽度であっても 自然治癒を期待することはできません。
確かに、感染していても健康なうさぎでは症状が表に出ない場合がありますが、それは「治った」という意味ではなく、体力と免疫力によって一時的に抑え込まれているだけ です。
一度症状が出始めると、フケやかゆみは次第に広がり、放置すると皮膚炎や脱毛が悪化していきます。痒みによるストレスで食欲が落ちたり、毛づくろいのしすぎで皮膚が傷ついたりするリスクも高まります。
また、ツメダニは卵が残っていれば再発するため、きちんと駆除しなければ完治は望めません。
自然治癒に頼るのではなく、動物病院での治療が唯一の確実な方法といえるでしょう。
飼い主にできることは、症状に気づいた時点で早めに病院を受診し、うさぎの体力低下を防ぐことです。
「様子を見よう」と放置するよりも、迅速に対応した方がうさぎにとって負担が少なく、結果的に治療費も抑えられる可能性があります。
うさぎのツメダニを予防するには?

清潔な飼育環境を保つ
ツメダニはどのうさぎにも潜んでいる可能性がありますが、発症を防ぐには清潔な環境づくりが欠かせません。
ケージやトイレ、食器はこまめに洗い、湿気がこもらないよう換気にも気を配りましょう。
特にトイレ周りの汚れはダニの温床になりやすいため、毎日掃除する習慣をつけると安心です。
栄養バランスの取れた食事と体力維持
免疫力が低下するとツメダニ症が発症しやすくなります。
牧草を中心に、必要な栄養素をバランスよく摂れるよう食事を工夫しましょう。
また、適度な運動はストレス解消と体力維持につながり、ダニの症状を表面化させないサポートになります。
新しくお迎えしたうさぎの隔離と健康チェック
ツメダニはうさぎ同士の接触で広がるため、新しい子を迎えるときはすぐに同じケージに入れず、まずは隔離して健康状態を観察します。
動物病院で検査を受けてから一緒に飼育することで、先住うさぎへの感染リスクを減らせます。
FAQ|うさぎのツメダニに関するよくある質問

うさぎのツメダニの原因と治療法は?【まとめ】
ツメダニはほぼすべてのうさぎが感染している可能性のある厄介な寄生虫です。
自然治癒は期待できないため、症状が出たら早めに動物病院で治療を受けましょう。
清潔な環境や食生活の工夫で発症を抑えることも大切です。