
ダックスフンドは明るく人懐こい犬種ですが、実は外飼いには向いていません。
寒さや暑さだけでなく、「孤独によるストレス」も大きなリスクの一つです。
ここでは、外飼いによる心と体への影響、そして室内での代替策について詳しく見ていきます。

ダックスフンドは外で飼うことができる?

最近は「犬=家族」という概念が一般化してきましたので、あまりダックスフンドを外で飼っている様子を見かけることはありませんが、筆者が子供のころには、近所でもダックスフンドを外で飼っている光景をみたことがあります。
結論から申しますと、ダックスフンドは外で飼うことは出来なくはない!
…が、おすすめは出来ない!
という結論になります。
それでは、なぜダックスフンドを外で飼うことがおすすめ出来ないのかを説明していきます。
なぜ犬の外飼いが減ったのか

ひと昔前までは、玄関先や庭先で犬を飼う光景が一般的でした。
しかし近年は、犬を「家族の一員」として室内で飼う家庭が圧倒的に増えています。
その理由はいくつかあります。
気候の変化
まず、気候の変化です。
夏は35℃を超える猛暑日が続き、冬は寒暖差が激しく、屋外で過ごすこと自体が犬にとって危険な時代になりました。
特に小型犬や短足の犬種は地面の熱や冷気を直接受けやすく、熱中症や低体温症のリスクが高まります。
犬との関係性の変化
次に、犬との関係性の変化です。
昔は「番犬」としての役割が重視されていましたが、今では「家族」「パートナー」として、一緒に生活空間を共有するスタイルが主流になりました。
犬自身も人と触れ合うことで安心し、ストレスが減るといわれています。
住宅環境の変化
さらに、住宅環境の変化も影響しています。
防犯性の高い住宅が増え、番犬の必要性が薄れたこと、また近隣との距離が近くなったことで、外飼いによる「吠え声トラブル」を避ける意識も高まっています。
犬の外飼いに関する法律・条例について
「外で犬を飼うこと自体は違法なの?」と思う方もいるかもしれません。
結論から言えば、犬を外で飼うこと自体は法律で禁止されてはいません。
しかし、飼育環境に関する一定のルールや条例が存在し、それを守らないと動物虐待とみなされる場合があります。
動物愛護管理法による飼育環境の義務

日本では「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」がすべての飼い主に適用されます。
この法律の第7条では、飼い主は動物の健康や安全を守るため、「適切な環境下で飼育する義務」があると定められています。
つまり、外飼いでも以下の条件を満たしていなければ法律違反にあたる可能性があります。
- 直射日光・雨風を防げる犬小屋や屋根があること
- 夏の高温・冬の寒冷に配慮した温度管理を行うこと
- 食事・水を切らさず清潔な状態を保つこと
- 運動不足やストレスを与えないこと
これらが守られていない場合、動物虐待(同法第44条)として罰則の対象になることもあります。
自治体ごとの飼育条例にも注意

加えて、各自治体でも「動物の飼養及び保管に関する条例」などが定められています。
地域によっては、
- 繋留時間の制限
- 鎖の長さ(一定以上を義務付け)
- 逃走防止策の設置義務
- 近隣への騒音防止指導
など、より細かなルールを設定している場合があります。
特に近年は、「虐待防止」や「近隣トラブル防止」の観点から監視が強化されており、不適切な飼育が通報されるケースも少なくありません。
室内飼いが推奨される時代

法的に外飼いが禁止されているわけではありませんが、現行法と社会の流れは「室内で安全に飼う」方向へと変化しています。
特にダックスフンドのような小型犬は、環境の影響を受けやすく、外飼いでは法律上の「適切な飼育環境」を維持すること自体が難しいのが現実です。
ダックスフンドの外飼いリスク
環境や健康におけるリスク

「室内で飼うのは難しいけれど、どうしてもダックスフンドを飼いたい」という人もいるかもしれません。
しかし、外飼いには多くのリスクがあり、おすすめできません。
寒さに弱い
ダックスフンドは体が小さく、地面との距離も近いため、寒さにとても弱い犬種です。
ダブルコートとはいえ保温性は低く、特に雪の多い地域では体温を保てず、命の危険があります。
暑さにも弱い
地面からの照り返しを強く受けるため、夏は熱中症のリスクが高くなります。
小型犬は体温調節が苦手なので、外で長時間過ごすのは危険です。
脱走の危険性
ダックスフンドはもともと穴掘りが得意な狩猟犬です。
サークル飼育でも地面を掘って逃げてしまうことがあり、事故につながるケースもあります。
寿命が短くなる可能性
外飼いはノミ・ダニ、感染症、熱中症、低体温症などのリスクが高く、体調変化にも気づきにくいため、寿命が短くなる傾向があります。
筆者もかつて短期間デッキで飼った犬にダニがついた経験があり、獣医から注意を受けました。

天候の影響を受けやすい
急な雷雨や寒波で濡れたり冷えたりすると、体温が急激に下がる恐れがあります。
特に小型犬は体温の上下が激しいため危険です。
盗難のリスク
外飼いの犬を狙った盗難事件も報告されています。
人懐こいダックスフンドは特に狙われやすく、安全面でも不安が残ります。
犬の心のリスク

寂しがり屋の性格が引き起こすストレス
ダックスフンドは、もともと人と一緒に行動する狩猟犬として改良されてきた犬種です。
そのため、飼い主と離れて過ごす時間が長いと、強い孤独感や不安感を抱きやすい傾向があります。
外飼いにしてしまうと、飼い主の姿が見えない時間が増え、無駄吠えや地面を掘るなどのストレス行動を引き起こすことがあります。
これは単なる「悪い癖」ではなく、寂しさからくるSOSサインです。
夜間の不安や吠え癖につながる可能性
夜の物音や通行人の声に敏感に反応して吠える犬は多いですが、外飼いの場合は常に刺激にさらされているため、吠え癖がつきやすくなります。
一度習慣化すると改善が難しく、近隣トラブルにもつながる可能性があります。
特にダックスフンドは警戒心よりも好奇心が強く、「誰か来た!」と反応して吠えてしまうことが多いです。
外で一匹きりにしてしまうと、安心できる環境がなく、常に落ち着かない状態になってしまうのです。
飼い主との信頼関係が築きにくくなる
室内で共に過ごす時間は、犬にとって最大のしつけタイムでもあります。
日常の中でアイコンタクトや声かけを繰り返すことで、少しずつ飼い主との信頼関係が築かれていきます。
しかし、外飼いだとコミュニケーションの機会が減り、「呼んでも来ない」「指示が通じない」といった問題が出てきやすくなります。
可愛がっているつもりでも、犬からすれば「自分は家族の外側にいる存在」と感じてしまうかもしれません。
結論:ダックスフンドの外飼いは非推奨

ダックスフンドは寒さや暑さに弱く、体も小さいため外飼いには向きません。
たとえ環境を整えても、人懐こく寂しがりな性格から、外で長時間ひとりにするのは強いストレスになります。
「外でしか飼えない」という場合は、ダックスフンドではなく、柴犬や秋田犬など寒さに強い日本犬を検討した方が安心です。
とはいえ、近年ではこれらの犬種でも室内飼いが主流になっています。
筆者個人としても、犬を家族として迎えるなら、できるだけ一緒に過ごせる室内飼いが理想だと考えます。
外の犬小屋につないで飼うスタイルは、時代に合わないだけでなく、犬にとっても寂しく過酷な環境です。

ダックスフンドは外で飼うことが出来る?【まとめ】
外飼いに耐えられる犬種は限られています。
ダックスフンドのように人と触れ合うことで安心するタイプは、できる限り室内で一緒に過ごすことが理想です。
もし外で過ごす時間を設ける場合も、飼い主がそばにいてあげることで、愛犬の心の健康を守ることができます。