
グッピーは美しく穏やかな魚として知られていますが、稀に仲間を追いかけ回すなど「喧嘩」と思われる行動をとることがあります。
その原因が性格なのか、体調なのか、見極めがつかずに困る飼い主さんも多いはず。
この記事では、グッピーの喧嘩が起こる原因や対策、注意点について詳しく解説します。
グッピーは喧嘩を、ほとんどしない
まず、グッピーはおとなしい魚だと考えて間違いないでしょう。
まだ熱帯魚を飼ったことがない方にとっては、気の荒い魚がどんなものか想像するのは難しいかもしれません。
激しく喧嘩する熱帯魚もいる

たとえば、コップで飼える熱帯魚として有名なベタは、オス同士を同居させると激しく喧嘩し、片方が死んでしまうまでやめません。
執拗に追いかけ続けたり、相手のひれや体をつついてちぎってしまいます。
小競り合い程度の喧嘩をする熱帯魚は多い

ここまでではないとしても、軽い小競り合いをする熱帯魚は意外と多いものです。
有名なエンゼルフィッシュも、複数で飼育していると個体間の優劣ができ、強い個体が弱い個体をつついたり追いかけたりするようになります。
小型魚でも、ペンギンテトラやエンペラーテトラのように、群れの中でいつも小競り合いが起こっているような種もいます。
グッピーはおとなしく喧嘩は少ない

そういった中にあって、グッピーはずば抜けておとなしい種だといえます。
たいていの場合、熱帯魚の喧嘩はオス同士で起こるものなのですが、グッピーはオスだけの群れを作っても、オスよりメスが少ない環境を作っても、ほとんど喧嘩をしません。
よって喧嘩の結果、死ぬというようなことはまず起きません。(絶対にないとは言いませんが)
ペアが成立して交尾していると、しばらくの間そのメスを守るように他のオスを追い払おうとするオスがいますが、そう長くは続きませんし、喧嘩だとわかるほど争うことも稀です。
グッピーの喧嘩の見分け方|追いかけっこや交尾との違いは?

グッピー同士が泳ぎながら追いかけ回していると、「喧嘩してるの?」と心配になるかもしれません。
ですが、すべての追いかけ行動が喧嘩とは限らず、状況によっては遊びだったり、繁殖行動の一部であることもあります。
追いかけっこ(遊びや運動)
・泳ぎのスピードは早くなく、激しさもない
・入れ替わりで追いかけるような様子
・ヒレを傷つける行為は見られない
このような場合は、単なるじゃれ合いと考えて問題ありません。特に若魚の時期にはよく見られます。
繁殖行動(交尾前のアプローチ)
・オスがメスをしつこく追い回す
・オスがメスの前で体をくねらせる「求愛ダンス」のような動きがある
・メスが疲れて逃げ回っている様子がある
このような場合は、オスが交尾を求めている行動であり、通常はしばらくすれば落ち着きます。
ただし、メスが小さい場合や体力がないと、弱ってしまうこともあります。
喧嘩(攻撃的な行動)
・ヒレを噛む、体をつつくなど明確な攻撃
・片方が執拗に追いかけ続け、逃げる方が常に逃げ場所を探している
・体やヒレに傷がつく、色が薄くなる
このような場合は、明らかに「喧嘩」あるいは「いじめ」といえる状態です。放置すると衰弱や死亡につながるため、早めに対処が必要です。
グッピーは喧嘩が少ないけど、けがや病気の個体がいる場合は要注意!

ただし、ここまで書いてきたのは、どの個体も健康な場合の話です。
もし、けがや病気の個体が群れの中に混ざっている場合、状況は少し変わります。
ケガをしたグッピーが攻撃の対象となることがある
特にけがをした魚がいる場合、おとなしいグッピーであっても、けがをした個体が他の個体から攻撃されることがあります。
これは、けがをした傷口部分の見た目やにおいが、ほかの個体の食欲を刺激するためだと考えられます。
余談ですが、死んでしまったグッピーの死体をそのまま水槽に残しておくと、ほかの個体が食べようとしてつつくことがあります。
これと同じ理屈です。
同様に、尾ぐされ病のように外見で変化がわかりやすく、病変部分がけがのようになる病気の個体は他の個体からつつかれやすくなります。
病気の個体にも注意が必要
また、白点病やベルベット病のように外見上の変化は少なくても個体が衰弱する病気の場合、特に喧嘩ではなくても、ほかの個体よりも動きが遅いために餌を食べられず、いじけて隠れたまま出てこなくなることがあります。
けがや病気の個体を発見した場合、その個体を守るためにも、ほかの個体に病気をうつさないためにも、早急に隔離しましょう。
気の荒いグッピーがいた場合は隔離が必要

めったにないというか、少なくとも私は経験していませんが、ときどきやたらと気が強く他の個体を追いかけまわすグッピーがいるようです。
多くの場合、しっかりと育ったオスがこうなる傾向があり、なおかつ他の個体がまだ小さかったり若かったりする場合にこうなりやすいようです。
こういった場合も、一時的に隔離してみましょう。
しばらく隔離しておくことで、ほかの個体との関係性が変わり、喧嘩が収まる場合は多くあります。
だいたい1週間ほど隔離したら、元の群れに戻して様子を見ましょう。
グッピーは喧嘩して死ぬこともあるの?【まとめ】
グッピーは基本的に喧嘩をしないおとなしい魚ですが、個体差や病気・ケガが原因で争いが起きることがあります。
攻撃されている個体や、執拗に追い回す個体を見つけたら、早めに隔離して様子を見ることが大切です。
状況を見極めて適切に対処することで、グッピー同士のトラブルを防ぎ、健康で穏やかな水槽環境を保てるようにしましょう。