
犬をお風呂に入れる頻度は意外と迷いやすいポイントです。清潔を保つために必要ですが、入れすぎると皮膚や被毛を痛めてしまうこともあります。
この記事では、犬のお風呂の適切な頻度や体質別の注意点、入れすぎによるトラブルまで詳しく解説します。
愛犬の肌を守りながら無理なく清潔に保つコツが分かります。
犬にお風呂に入れるのはなぜ?

犬は好奇心が旺盛で、散歩中に草むらへ入ったり、家の中でも元気に動き回ったりと、日常の中で意外と汚れがつきやすい動物です。
かわいい愛犬を見ているだけで癒されますが、その分、汚れやにおいが気になる場面もありますよね。
お風呂に入れる目的は、ただ毛をきれいにするだけではありません。
汚れをそのままにしておくと、毛玉ができたり、ノミ・ダニが寄りついたり、被毛がゴワついて肌トラブルが起きやすくなることがあります。
とくに外で遊ぶのが好きな子は、知らないうちに細かな汚れが溜まりやすいため、定期的にお風呂で洗い流すことが大切です。
毛並みを整えるだけでなく、皮膚を清潔に保つことで、健康面の予防にもつながります。
犬をお風呂に入れないとどうなる?
放置したときのデメリット(皮膚病・毛ツヤ低下・ニオイ)

お風呂に入れずに長く過ごしていると、被毛に汚れが溜まりやすくなります。
汚れを放置すると毛玉ができたり、通気性が悪くなって皮膚が蒸れやすくなり、かゆみや赤みなどのトラブルにつながることがあります。
さらに、ノミやダニが寄りつく原因にもなり、最終的には皮膚病を引き起こす可能性もあります。
被毛のツヤが失われてゴワつきやすくなるほか、体臭が強くなるのも大きなデメリットです。
とくに外で遊ぶことが多い犬ほど汚れが溜まりやすいため、完全に放置するのは避けた方が安心です。
必要以上に洗わないメリット(皮膚バリアを守れる)
「お風呂に入れない=良いこと」ではありませんが、適度に間隔をあけることには理由があります。
犬の皮膚は人よりも薄く、皮脂が過度に失われると乾燥しやすくなります。
必要以上に頻繁にお風呂へ入れると、この皮脂が落ちすぎてしまい、逆に皮膚トラブルを起こしやすくなるのです。
適度な皮脂は皮膚を守る“バリア”として働くため、月1〜2回のペースで洗う方が、犬の肌にはちょうど良いことも多いです。
清潔を保ちつつ、皮膚の健康を守るために「入れすぎない」ことは大切なポイントと言えます。
犬をお風呂に入れ過ぎも良くない?

一般的には、犬をお風呂に入れる頻度は、月に1回から2回程度が良いとされています。
人間よりも皮膚が薄い犬は、お風呂に入れすぎることで皮膚を痛めてしまう可能性があります。
シャンプーを使うときは、必ず犬用を選んでください。
人間用のシャンプーは、犬にとって刺激が強すぎるため、皮膚の炎症を起こしたりと、肌トラブルのもとになってしまいます。
お風呂に入れると清潔になって気持ち良さそうに見えますが、頻度が多すぎると逆に皮膚や被毛の健康を損ねることもあります。
ここでは、入れすぎによって起こりやすい問題をより深く説明していきます。
皮膚の乾燥とバリア機能の低下
犬の皮膚は人と比べて非常に薄く、乾燥にも弱い特徴があります。
シャンプーやドライヤーを繰り返すと皮脂が過剰に落ち、皮膚の水分を守るバリアが弱くなります。
その結果として、フケが増えたり、赤み・かゆみ・炎症などのトラブルが起こりやすくなるのです。
特に季節の変わり目や、暖房で乾燥しがちな冬場は影響が出やすくなります。
被毛のパサつき・もつれ
清潔な状態を保つための皮脂は、被毛のしなやかさにも欠かせない成分です。
洗いすぎることで皮脂が不足すると、毛がゴワつきやすくなり、ブラッシングしても毛玉が増えてしまいます。
毛の乾きが悪くなったり、静電気が起きやすくなるのも「入れすぎサイン」です。
皮膚トラブルがある犬は悪化の可能性も
アレルギー体質やアトピー体質の犬は、一般の犬より皮膚が敏感です。
お風呂の頻度が多すぎると、症状が悪化したり、かゆみが増してストレスにつながることもあります。
「清潔にしたいから」と頻度を増やす前に、体質や皮膚の状態をよく観察しましょう。
体調を崩したときの負担が大きい
お風呂は犬にとって体力を使うイベントです。
健康なときは問題なくても、風邪気味・疲れ気味・食欲がないなど変化があるときに入れすぎると、余計に体調を悪くしてしまうことがあります。
とくに小型犬やシニア犬は注意が必要です。
どのくらいの頻度がいいの?

では、実際にどのくらいの頻度でお風呂に入れると良いのでしょうか。
基本的に、犬のお風呂の頻度の回数に決まりはなく、お風呂が好きなこは月に何度か入りたがる場合があります。
しかし、頻度が多い場合は、ドライヤーで乾かすときに皮膚が乾燥してしまうため、あまりおすすめできません。
また、子犬と老犬でもお風呂の頻度は違ってきます。
子犬の場合:月1~2回程度
ワクチン接種が終わってから、少しづつお風呂に慣れさせていきましょう。
子犬は、お風呂に慣れていないだけでなく、水を怖がる可能性があるので、手でお湯をすくいながらかけてあげるなど、優しく対応してください。
急にお風呂に入れてしまい、怖い思いをさせた場合、お風呂が嫌いになってしまう可能性がでるので注意してくださいね。
成犬の場合:月1~2回程度
子犬と同じくらいの回数が最適な頻度といえます。
室内と室外で、飼っている環境の違いにもよりますが、入れすぎると皮膚が乾燥してしまうので注意しましょう。
愛犬の汚れ具合をみながら、お風呂に入れるようにするのがポイントです。
老犬の場合:2カ月に1回程度
老犬になると、体力が落ちてきて立っていることが難しくなる子が多いです。
汚れが気になる場合は、濡れタオルや流さないシャンプーなどを使うのもおすすめです。
お風呂に入れるときも、愛犬の体調を考えながら、負担がかかりすぎないように短い時間ですますようにしましょう。
犬が快適に感じるお湯の温度
温度が高すぎると危険な理由

犬にとって心地よいお湯の温度は、およそ37〜38℃です。
人間が「少しぬるいかな?」と感じる程度がちょうどよく、これ以上熱い温度になると犬の体には負担が大きくなります。
犬は全身が被毛に覆われているため、私たちよりも体温がこもりやすく、熱いお湯に長く触れると体力を急激に奪われてしまうことがあります。
さらに、熱すぎる温度は皮膚の乾燥を加速させたり、かゆみ・赤みなどの刺激につながる可能性もあります。
とくにシニア犬や皮膚が敏感な犬は、熱の影響を受けやすいため注意が必要です。
冷たすぎると体調を崩す理由

反対に、お湯が冷たすぎると体温が下がりやすく、風邪をひいたり、お腹を壊す原因になることがあります。
犬は私たちほど体温調整が得意ではないため、温度差に弱く、冷たい水で洗うとストレスや震えの原因にもなります。
とくに子犬や老犬は体温が安定しにくいため、冷たいお湯は大きな負担になってしまいます。
「熱すぎず、冷たすぎず」というバランスを保つためにも、手のひらで触って“ぬるめのお風呂”を意識してあげると安心です。
お風呂後の正しいケア方法
タオルドライのコツ

お風呂上がりは、まずタオルでしっかりと水分を吸い取ってあげることが大切です。
このとき、ゴシゴシ擦るのではなく、タオルを軽く押し当てて“吸わせる”ように 水分を取るのがポイントです。
強く擦ると被毛が傷んだり、皮膚に刺激を与えることがあります。
吸水性の高いタオルを使うと乾かす時間を短くでき、犬の負担も軽くなります。
耳の内側や指の間など、乾きにくい部分も丁寧に押さえてあげましょう。
ドライヤーの安全な使い方

タオルドライの後は、ドライヤーでしっかり乾かしていきます。
ただし、熱風を近距離で当て続けると、皮膚を痛めたり熱がこもってしまうことがあります。
・風は人の手に当てながら温度を確認する
・ドライヤーは一定距離(20〜30cm前後)を保つ
・同じ場所に当て続けず、風を動かしながら 乾かす
これらを意識すると、犬も安心して過ごせます。
首まわり・お腹・脇・足先などは乾きにくいので、タオルとドライヤーを組み合わせて仕上げてあげると時短にもなります。
乾かし残しが危険な理由

被毛が濡れたままだと、犬は体温を奪われやすく、風邪をひいたりお腹を壊す原因になることがあります。
また、湿った状態が続くと皮膚が蒸れ、かゆみ・赤み・フケ・皮膚炎 といったトラブルにつながることもあります。
特に長毛の犬は、見た目だけでは乾いたように見えても、根元が湿っていることが多いです。
指で根元を触りながら、完全に乾いているかどうか確かめる ことがとても重要です。
お風呂の後のケアは、清潔を保つためだけでなく、皮膚を健康に保つために欠かせないステップです。
お風呂を頑張ったあとにはご褒美を

お風呂が好きな子も、嫌いな子も、頑張ってお風呂に入ったあとには、たくさん遊んであげたり、大好きなおやつをあげたりと、ご褒美を用意しておくこともおすすめです。
「お風呂がんばったね」
「お風呂楽しかったね」
「おりこうさんだったね」
「気持ちよかったね」
など、たくさん話かけて、たくさん褒めてあげることで、飼い主さんとお風呂に入ることは楽しいことだと、愛犬が認識してくれるようになるでしょう。
犬をお風呂に入れすぎは良くない?【まとめ】
犬のお風呂は「清潔にするため」だけでなく「皮膚に負担をかけない」調整も大切です。
月1〜2回を目安にしつつ、体調や季節に合わせて無理のない頻度で行いましょう。
自宅で難しいと感じたときはトリミングサロンを頼るのも一つの方法です。
愛犬にとって心地よいケア習慣を作ってあげてください。