
コリドラスを新しく迎える際、水温だけ合わせる「水温合わせ」では不十分です。
水質を少しずつ慣らす「水合わせ」を行わなければ、ショック症状や病気を招くことがあります。
本記事では、最適な水合わせの時間、具体的な手順、そして失敗例と防止策をわかりやすく解説します。
水合わせって?

まず、水合わせとは何かご存じですか?
水合わせは文字通り、ショップから買ってきた魚を、自分の水槽の水に「合わせる」ことです。
昔、お店で金魚やメダカを買ってきた際、しばらく袋のまま水槽に浮かべて水温を合わせてから水槽に放すように教わった方もいるかと思います。

これは、水温を合わせる「水温合わせ」であり「水合わせ」とは別物です。
今回ご紹介する水合わせは、この水温合わせの水質バージョンだと思えば、そう間違いではありません。
ただし、水温合わせと水合わせでは決定的に違うことがあります。
水温合わせはあくまで、袋の中の水温と水槽の水温を一緒にすることをいいます。
水合わせは、魚を水槽の水に慣れさせることが目的です。
そのため、水合わせは少しずつ袋の中の水を水槽の水に入れ替える作業になるのです。
コリドラスに水合わせは必要?

水温が急変すればショックを受けてしまうのはなんとなくわかりますが、水質が急変するとショックを受けてしまうのはなかなかイメージしにくいかもしれません。

よく、「魚にとっての水は人間にとっての空気のようなもの」と言われますが、個人的にはこのイメージはちょっと違うと思っています。
人間にとっての空気は、吸って吐くだけの存在ですが、魚にとっての水はもっと重要な意味を持ちます。
種類にもよりますが、魚の体の75パーセントが水分で構成されているのです。
極端な言い方をすれば、水質の急変は、魚の体の75パーセントが急変することを意味します。
そのため、魚にとっては水質の急変は死活問題になりうるのです。
私も、水質の変化に敏感な淡水エイを飼育していた際、水質の急変で死なせてしまった苦い思い出があります。
また、丈夫とされている魚であっても、水質の急変は体力の消耗を招き、白点病などを引き起こす原因になります。
コリドラスでいえば、アエネウスやパレアトゥスなど初心者向けとされる種であっても、きちんと水合わせをすべきでしょう。
人気のパンダやアドルフォイはやや水質の変化に敏感なので、より注意が必要です。
水合わせを怠って魚がショックを受けると、もだえ苦しむように水槽内を暴れ泳ぐことがあります。
こうなると手の施しようがありません。
コリドラスの水合わせのやり方

それでは、実際に水合わせを行う方法をご紹介します。
ここで紹介するのは私が自分でやっている方法です。
また、コリドラスに限らずほとんどの魚はこの方法で水合わせをしています。
コリドラスに適した水合わせの時間と失敗例
水合わせの作業時間は、短すぎても長すぎてもリスクがあります。
急激な水質変化を避けるには、最低でも30分〜1時間はかけるのが理想です。
ただし、袋やプラケース内の水温が下がりすぎる環境では長時間の作業は逆効果になるため、室温や水温を確認しながら行いましょう。
よくある失敗例としては、最初から大量の水を一気に加えてしまいショック症状を引き起こすケースや、逆にダラダラと数時間かけすぎて酸欠や水温低下を招くケースがあります。
特にコリドラスは底棲で酸素不足に敏感なため、作業中も軽くエアレーションをしておくと安心です。
袋の水ごと小さなプラケースに移す
まず、買ってきた魚を袋の水ごと小さなプラケースに移します。
我が家はエアコンで室温管理しているので、特に保温は気にしていません。
この状態で魚の様子をみて、病気や寄生虫をチェックします。
1/3ほどの水を入れ替える
そうしている間に魚の呼吸が落ち着いたら、小さなコップでプラケースの1/3ほどの水を捨てます。
そして、同じ量の水を水槽からとり、プラケースに静かに注ぎます。
様子を見ながら3回繰り返す
この状態で10分ほど放置し、また同じように1/3を入れ替えます。
理論上、3回繰り返せば、水槽の水とプラケースの水はほぼ入れ替わったことになります。
そこまでやって特に魚に異常が出ていなければ、プラケースから網で魚を取り出し、水槽に移します。
私は念のため、プラケースの水は水槽に移さず、捨てるようにしています。
これで、水合わせは完了です。水合わせの過程で水温も合っていると考え、水温合わせは特にしていません。
コリドラスの種類ごとの水合わせ注意度

コリドラスは種類によって水質変化への耐性が異なります。
前述のように水質変化の耐性が強いコリドラスであっても水合わせは必要ですし、急激な変化は体力を消耗させ、病気の引き金になるため注意が必要です。
特にパンダやアドルフォイなど人気種の中には非常にデリケートなものもおり、点滴法などを使って時間をかけた水合わせが望まれます。
また、ピグミー系などの小型種は体力が少なく、わずかな変化でも大きな影響を受けやすいため慎重さが求められます。
購入先(ショップ)の水質と自宅水槽の水質が大きく異なる場合は、より長い時間をかけ、必ず魚の様子を確認しながら作業してください。
注意度 | 種類例 | 特徴と注意点 |
---|---|---|
低(比較的丈夫) | アエネウス(青コリ、白コリ)、パレアトゥス | 初心者向けで水質変化にやや強いが、短時間の水合わせはNG。30〜60分かけるのが理想。 |
中(やや敏感) | ステルバイ、ジュリー、シュワルツィ | pHや硬度の急変でストレスを受けやすい。1時間以上かけ、ゆっくり水質を合わせる。 |
高(非常に敏感) | パンダ、アドルフォイ、デュプリカレウス、ハブロースス(ピグミー系) | 白点病や拒食を招きやすい。点滴法で1時間以上かけ、慎重に作業。酸欠対策も忘れずに。 |
コリドラスの水合わせの方法【まとめ】
コリドラスにとって水合わせは命を守る大切な準備です。
時間配分や手順を守ることで、新しい環境でも元気に過ごせます。
記事内の方法を参考に、焦らず丁寧な水合わせを実践してください。
水合わせの知識は他の熱帯魚にも応用できますので、ぜひ覚えておきましょう。