
金魚が病気になったとき、薬浴は有効な治療法の一つです。
しかし、間違ったやり方では逆に弱らせてしまうこともあります。
本記事では、薬浴の準備から実際の方法、期間や水替えの仕方、そして薬浴終了後の戻し方まで、初心者にも分かりやすく解説します。
大切な金魚を守るために、正しい薬浴の知識を身につけましょう。
金魚の薬浴のやりかたとは?

金魚の薬浴に用意するもの
- 薬浴用の隔離水槽(バケツなどでOK)
- 薬
- エアレーション(ろ過機能が付いていないもの)
薬によるバクテリアの消滅、水草が枯れるのを防ぐために隔離容器は絶対に用意しましょう。
何も入れていないベアタンクでの飼育でしたらそのまま薬浴にしようしても大丈夫です。
そして治療に使う薬は様々な種類があります。
症状にあったものを使用するのが一番ですが、わからなければ幅広い病気に効果のある薬もあるので、まずはそれから使用してみましょう。
そしてエアレーションですがフィルターを回していても、薬の効果でバクテリアは機能しなくなります。
ただし薬浴中は酸欠になりやすいのでエアレーションは必須です。
容量を守って薬を溶かす
準備が出来たらまずは薬を溶かします。
カルキ抜きした清潔な水を用意、薬に書いてある容量は必ず守りましょう。
粉末タイプは溶けにくいですが、一度温めるなどしてムラなく溶かすことが大切です。
いきなり隔離容器に薬は投入しません。
水合わせをして金魚を
まずは飼育水槽と同じ温度の水を隔離容器に用意、慎重に水合わせをして金魚を先に入れます。
そして液体タイプの薬ならば規定量を少しずつ入れてあげます。
粉末タイプの薬は隔離水槽の水量と溶かす水の量を計算して使用しましょう。
例えば隔離水槽10Lの場合
10L分の薬の量を測り、その10L分の薬を一度2Lの水で溶かします。
そして金魚を隔離容器に入れた際の水量を8Lに合わせます。
先ほど溶かした2Lの薬溶液をゆっくり入れます。
これで規定量の薬浴が完成です。
そして最初にいた水槽は病原菌が蔓延していますので、水道水で洗うなどリセットしましょう。
薬浴中はろ過効果が期待できない為、餌による水質悪化を防ぐ目的で断食です。
金魚の薬浴の終わり方(通常水槽への戻し方)
薬浴で金魚の体調が回復してきたら、次は通常の水槽へ戻す準備をします。
ただし、薬浴中と通常水槽では水質が大きく異なっているため、いきなり戻すと金魚に大きな負担をかけてしまいます。
特に薬浴中の金魚は「病み上がり」で体力が落ちているので、購入直後よりもさらに慎重な水合わせが必要です。
水合わせの手順
- 薬浴水を少し捨てる
まず、薬浴している容器の水を全体の3分の1ほど捨てます。
これは一度に水質を変えすぎないための下準備です。 - 通常水槽の水をゆっくり足す
捨てた分と同じ量を、元の水槽の飼育水から取り出して少しずつ加えます。
勢いよく入れると金魚が驚いたり、水質が急変してしまうので、ゆっくり数回に分けて注ぎましょう。 - 休憩を挟む
この作業を一度行ったら、すぐに次の水合わせをせず、1日待つとより安心です。
体調が回復したばかりの金魚に負担をかけないために、時間をかけて順応させることが大切です。 - 再度同じ作業を行う
翌日、もう一度同じ手順で3分の1を入れ替え、薬浴水をさらに通常水槽の水に近づけます。
これでほぼ通常の水質と同じ状態になります。
金魚を戻す時の注意点
水合わせが完了したら、網を使って金魚を優しくすくい、通常の水槽へ戻します。
多少薬が混じっていても問題はありません。
ただし、金魚の体に薬浴の水が多く付着している場合は、軽く別容器で水に通してから戻すとさらに安心です。
ポイント
- 時間をかけて段階的に水質を合わせることが最重要。
- 水温差にも注意し、通常水槽との温度がほぼ同じであることを確認する。
- 網で移動させる際は、強く揺らさないように慎重に。
薬浴後は金魚の体力が落ちていますので、すぐに餌を与えず、1日程度様子を見てから軽く餌をあげると良いでしょう。
金魚の薬浴の期間は?

金魚の薬浴の期間は1週間程度。
1週間が薬の効果が持続する期間であり、1週間あれば病気も回復すると言われています。
ここでまだ調子が悪そうならば薬を換えてみたり、あと1週間薬浴を延長してみましょう。
もし2日程度で元気になったように見えても、1週間は様子を見てみた方が良いです。
すぐに戻すことは金魚の負担になりますし、また病気になる可能性もあります。
金魚の薬浴で注意したいポイント

温度管理と水質の安定
薬浴中は金魚が体力を消耗しやすいため、水温を一定に保つことが重要です。
急激な温度変化は体調悪化の原因となります。
特に冬場はヒーターを利用して20℃前後を維持し、夏場は直射日光を避けて水温が上がりすぎないように注意しましょう。
また、水質の急変も金魚に強いストレスを与えるため、換水はゆっくり行い、カルキ抜きも忘れずに行います。
薬の濃度と使用期間の調整
「少し多めに入れた方が効くだろう」と考えて規定量以上を入れるのは危険です。
金魚は薬の影響を受けやすく、逆に弱ってしまうことがあります。
基本は規定量を守り、症状が改善しない場合は薬の種類を変えるか、延長するかを検討しましょう。
1週間を目安にしつつ、体調の変化をよく観察して判断することが大切です。
金魚の薬浴中の水替え

1週間に1度、水の量は3分の1を換える
異臭など明らかに水質悪化が見られるようでしたらすぐに換えた方が良いのですが、薬浴中は餌を与えないのでそんなに汚れません。
この1週間で体調が回復しているようならば水替えの水はカルキ抜きした水道水にしましょう。
そこから徐々に真水に近づけて元の水槽に戻すようなイメージですね。
体調が戻っていないようならばまた規定量の薬を溶かした水を使用してください。
金魚の薬浴中にやっておきたいこと

元の水槽をリセットする
金魚が薬浴の隔離容器に入っている間に、元の水槽をしっかり掃除してリセットしておくのが理想です。
薬浴前にリセットしてしまうと、金魚が弱っている状態で新しい環境にさらされるため、強いストレスとなり回復どころか体調を悪化させるリスクがあります。
隔離中に掃除を済ませておけば、金魚を戻す時に清潔で安定した環境を用意できます。
水槽内の器具や底砂の洗浄
フィルターやエアレーション、ヒーターなどの器具も病原菌が付着している可能性があります。
水道水でしっかり洗い、洗剤は使わないようにしましょう。
底砂は汚れが溜まりやすい部分なので、可能であれば取り出してよく洗浄し、状態が悪ければ新しいものに交換します。
バクテリア環境の再構築
完全に水槽をリセットすると有用なバクテリアもリセットされるため、しばらくは水質が不安定になりがちです。
そのため、金魚を戻す前後はこまめに水換えを行い、水質を安定させる工夫が必要です。
ろ材をすべて捨てるのではなく、一部を残すことでバクテリアを維持しやすくなります。
また、市販のバクテリア剤を併用するのも有効です。
金魚の薬浴後に注意すべき点

餌の再開は慎重に
薬浴を終えた直後の金魚は、見た目が元気そうでも体力が完全には回復していない場合があります。
そのため、すぐに通常量の餌を与えるのは避けましょう。
まずは1日程度餌を与えず様子を見て、問題がなさそうであればごく少量から再開します。
急にたくさん食べさせると、消化不良や水質悪化を招く恐れがあります。
水質管理を徹底する
薬浴から戻したばかりの水槽は、病原菌や残留物が残っている可能性が高いです。
薬浴中に水槽のリセットやフィルターの洗浄を行っておくことが理想ですが、戻した後も定期的な水換えを欠かさないようにしましょう。
特に1〜2週間は水質の変化が再発につながりやすいので、換水は少量をこまめに行うのがおすすめです。
再発予防の工夫
薬浴は症状を抑える治療ですが、原因を取り除かなければまた病気になる可能性があります。
過密飼育や餌の与えすぎ、水温の急変など、病気のきっかけを改めて見直すことが大切です。
加えて、普段から水槽を清潔に保ち、ストレスを与えない環境を維持することが再発防止につながります。
金魚の薬浴のやり方【まとめ】
金魚の薬浴は、正しい方法で行えば病気から回復させる大切な手段です。
やり方・期間・水替え・終わり方のポイントを守り、薬浴後のケアや日常の管理も徹底することで再発防止につながります。