
色鮮やかで泳ぎも活発なイメージがあるグッピー。
ところが、ある日ふと水槽を見ると、水面でじっと動かない姿が…ということはありませんか?
水面に浮かぶようにして動かないグッピーは、単なる休憩や餌待ちの可能性もありますが、多くの場合は体調不良や環境の異常が原因です。
放置すれば命に関わるケースもあるため、早めの原因特定と対策が必要です。
今回は、グッピーが水面で動かないときに考えられる原因と、その対処法をわかりやすく解説します。
グッピーが水面で動かないとは?
「沈む」場合との違いとは?

グッピーが水面に行く際、呼吸が苦しいときに多く、酸素を求めて「最も酸素が多い層=水面」に移動します。
特に酸欠やエラの障害では、体力があってもまず上に行こうとします。
また、妊娠後期や病気の初期段階では泳ぐ力は残っているものの、水面付近で動かずに漂って体力温存する行動も見られます。
一方、底に沈む場合は筋力が落ちたり、体力を温存したいとき、あるいは水温が低く代謝が落ちて動けないときに多いです。
沈んでいる方が水流や浮力の影響を受けにくく、エネルギー消費が少ないからです。
グッピーが水面で動かない状態とは?

実際にはこんな感じが多いです。
- 体の向きは水平〜やや上向き
- 尾びれは軽く動かす程度で、ほとんど移動しない
- 水面ギリギリで浮かび、時折口をパクパクさせる
- 水流の弱い場所(隅や浮草の下)に留まることが多い
これは「沈む元気もない」わけではなく、呼吸しやすい場所でできるだけ動かずにいるというサインです。
グッピーが水面で動かないときに考えられる主な原因
酸欠(溶存酸素不足)

原因
グッピーが水面で動かないとき、もっとも多いのが酸素不足です。
水中の酸素は水温が高いほど溶けにくくなるため、夏場や過密飼育では一気に不足します。
フィルターの流れが弱まっていたり、エアレーションを止めていたりする場合も酸欠を招きやすく、特に夜間は水草が酸素を消費して酸欠が悪化します。
対策
すぐにエアレーションを開始し、フィルターの吐出口を水面に向けて水を動かしましょう。
水温が高いときは冷却ファンやエアコンで室温を下げ、27℃以下を目安に保ちます。
吐出口付近やエアレーションの真上に集まる行動が見られた場合は、酸欠改善が第一です。
水質の悪化(アンモニア・亜硝酸など)

原因
餌の与えすぎや掃除不足でアンモニアや亜硝酸が蓄積すると、エラがダメージを受けて呼吸がしづらくなります。
立ち上げ初期でバクテリアがまだ少ない水槽や、長期間水換えをしていない場合に起こりやすく、見た目は透明でも有害物質が多いことがあります。
対策
1/3程度の部分換水を行い、底床のフンや残餌を吸い出します。
換水後はバクテリアを守るため、ろ材を水道水で洗わないよう注意します。
水質測定キットで数値を確認し、安定するまで数日おきに部分換水を続けましょう。
過密飼育や餌の量が原因なら、それらも改善します。
水温の異常(高すぎる・低すぎる・急変)

原因
適温の25〜28℃を外れると、グッピーの体に負担がかかります。
高水温では酸欠が悪化し、低水温では代謝が落ちて動きが鈍くなります。
さらに、急な温度変化も強いストレスになり、短時間で弱らせてしまいます。
対策
高水温の場合は冷却ファンや凍らせたペットボトル(直接水に入れない)でゆっくり温度を下げます。
低水温ならヒーターで1時間に1℃以内のペースで上げましょう。
水換え時も必ず同じ温度の水を使い、急変を避けます。
病気・体力低下

原因
白点病、エラ病、水カビ病などの病気や、妊娠・出産・老化による体力消耗でも水面で動かなくなります。
ヒレのほつれ、白い斑点、呼吸の速さ、体の傾きなどが同時に見られる場合は病気の可能性が高いです。
妊娠後期のメスは出産準備で上層に留まることもあります。
対策
症状がある個体は隔離水槽で静かな環境を用意し、必要に応じて塩浴(0.5%)や薬浴を行います。
妊娠中や老齢個体にはストレスの少ない環境と消化の良い餌を与え、回復を優先します。
いじめや過密が原因なら、水槽を分けるなど環境の見直しも必要です。

水面で動かない状態を予防するための飼育環境づくり
グッピーが水面で動かない状態は、酸欠や水質悪化などのトラブルが進行しているサインです。
日頃から環境を整えておくことで、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。
適切な水槽サイズとろ過能力を確保する

グッピーは小型魚ですが、繁殖力が高くすぐに数が増えます。
水槽は最初から大きめを選び、飼育数に合ったろ過フィルターを使いましょう。
ろ過が弱いと酸欠や水質悪化が起こりやすくなります。
フィルターは定期的に目詰まりを確認し、常に水流が安定している状態を保ちます。

定期的な水換えと掃除

週に1回を目安に、1/4〜1/3程度の部分換水を行います。
底床のフンや残餌も一緒に吸い出し、水質の悪化を防ぎます。
換水時は必ずカルキ抜き処理を行い、水温も合わせることで魚へのストレスを減らせます。
水温と酸素の安定

水温は25〜28℃をキープし、急激な変化を避けます。
夏場は冷却ファンやエアコン、冬はヒーターを活用し、季節によって管理方法を切り替えましょう。
酸素供給は24時間止めず、夜間もエアレーションを継続します。

餌の量と種類を見直す

餌の与えすぎは水質悪化の大きな原因です。
1回で食べきれる量を1日1〜2回与え、残餌が出ないようにします。
乾燥餌だけでなく、冷凍や生餌も取り入れると栄養バランスが良くなり、体力低下を防げます。

ストレスを減らす環境作り

隠れ家になる水草やレイアウトを配置して、弱い個体が逃げられる場所を確保します。
過密飼育やオスの比率が高すぎる環境はストレスやいじめの原因になるため、適正な飼育数と性別バランスを心がけましょう。
まとめ
グッピーが水面で動かない状態は、単なる休憩ではなく酸欠・水質悪化・水温異常・病気や体力低下など、命に関わるトラブルのサインであることが多いです。
特に酸欠や水質悪化は短時間で悪化しやすく、発見したらすぐに酸素供給や部分換水などの対策を行うことが重要です。
また、日頃から適切な水槽サイズとろ過、定期的な水換え、水温・酸素の安定、餌の管理、ストレスを減らすレイアウトなど、予防のための飼育環境を整えておくことで、多くのトラブルは防げます。
「水面で動かない」という行動は、グッピーからのSOS信号です。
原因を見極め、素早く正しい対処をすることで、大切な魚の命を守りましょう。