
カラフルで飼いやすい熱帯魚として人気のグッピーですが、実は驚くほど繁殖力が強く、あっという間に水槽がいっぱいになることも珍しくありません。
今回は、グッピーがなぜ増えすぎるのか、その原因と繁殖しすぎたときの安全な対処法、さらに予防策まで詳しく紹介します。
グッピーは繁殖しすぎるのはなぜ?

グッピーは観賞魚の中でも特に繁殖力が高い魚として知られています。
かわいらしい姿と丈夫さから飼いやすい反面、気づけば水槽がグッピーでいっぱい…という事態が起きやすいのは、この高い繁殖能力が理由です。
卵胎生
まず、グッピーは卵胎生という特徴を持ちます。
卵を水槽内に産みつける卵生魚とは違い、体内で卵を孵化させ、泳ぎ回れる状態の稚魚を直接産みます。
この方法は卵が外敵に食べられるリスクを減らし、繁殖の成功率を高めています。
1回の出産で20〜50匹前後の稚魚が生まれることも珍しくありません。
貯精が可能
さらに、メスは一度交尾すると体内に精子を蓄える「貯精」が可能で、その後数か月にわたって複数回出産します。
オスがいなくても繁殖が続く場合があるのは、この貯精の仕組みが理由です。
繁殖サイクルが短い
また、産まれた稚魚は生後およそ3か月で成魚となり、再び繁殖に参加します。
この短い繁殖サイクルが繰り返されることで、あっという間に個体数が増えてしまうのです。
加えて、グッピーは水質や水温の変化に強く、環境への適応力が高いことでも知られています。
少々過密な環境でも比較的生き残りやすく、結果的に個体数が減らないままどんどん増えていくというわけです。
こうした理由から、グッピーは繁殖しすぎる傾向が強く、計画的な管理や対策が必要になります。


増えすぎたグッピーを肉食魚に与える方法と注意点

グッピーが増えすぎてしまったとき、肉食魚の餌として活用する方法は有効な対処策のひとつです。
生き餌として与えることで肉食魚の食欲や健康維持にもつながり、増えすぎた個体数のコントロールにも役立ちます。
ただし、単純に水槽へ放り込むだけではトラブルになる場合があります。
与える前に、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
肉食魚のサイズに注意
まず、肉食魚のサイズとグッピーのサイズが適切であることが重要です。
大きな肉食魚であれば成魚グッピーでも捕食できますが、小型の肉食魚の場合は稚魚や若魚程度でないと食べられないことがあります。
肉食魚に合わせたサイズのグッピーを与えることがポイントです。
与える数の調整
次に、与える数を調整する必要があります。
一度に大量のグッピーを投入すると、捕食しきれずに死骸が残り、水質の悪化を招きます。肉食魚が食べ切れる量を少しずつ与えるようにしましょう。
グッピーの病気に注意
また、グッピーが病気を持っている場合、そのまま肉食魚に与えると感染症のリスクがあります。
外観に異常がある個体は避け、できるだけ健康な個体を与えることが大切です。
肉食魚にグッピーを与える方法は、繁殖しすぎ問題を解決する一方で、水質管理や健康管理にも気を配る必要があるという点を覚えておきましょう。
グッピーを肉食魚に与える場合におすすめの魚種
グッピーが増えすぎたときに肉食魚の餌として活用する場合、どんな魚種と混泳させれば安全かつ効果的に数をコントロールできるのでしょうか。
ここでは、グッピーの稚魚を捕食できる代表的な肉食魚を紹介します。
ベタ

ベタは性格が気性が荒く、口に入るサイズの魚や稚魚を捕食します。
グッピーの稚魚を少しずつ投入すれば、自然に数を調整できます。
ただしオス同士やヒレの長いグッピー成魚との混泳は避けた方が無難です。
グラミー

ゴールデンハニードワーフグラミーなどの小型種は温和な印象ですが、稚魚サイズの魚は口に入るため捕食します。
グッピー成魚との混泳も比較的しやすい種類です。
エンゼルフィッシュ

中型のエンゼルフィッシュは稚魚~若魚のグッピーを捕食します。
見た目の美しさからグッピーとの混泳水槽は見ごたえがありますが、稚魚がどんどん減っていくため数のコントロールには向いています。
小型シクリッド

ラミレジィ
アピストグラマやラミレジィといった小型シクリッドも口に入るサイズの魚を捕食します。
水槽内に適度なスペースを設け、相性を見ながら混泳させると効果的です。
肉食魚による稚魚コントロールは、見た目を楽しみつつ自然な形で個体数を調整できる方法です。
ただし、肉食魚の攻撃性やグッピー成魚への被害の可能性もあるため、必ず観察しながら管理することが大切です。
金魚

優しい性格ですが、口に入るものはなんでも食べてしまう食いしん坊の金魚。
寿命が長く体も大きい種類が多いので、食べてしまいます。
ミドリフグ

見た目はおっとりしていそうですが、気性荒いです。
口に入るサイズのグッピーならば食べますし、入らなかったら追い回し突っつきまわします。
肉食魚とグッピー、どちらの水槽で与えるべき?

グッピーを肉食魚に与える場合、「グッピーの水槽に肉食魚を入れる」方法と、「肉食魚の水槽にグッピーを入れる」方法の2パターンがあります。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、状況に応じて選びましょう。
グッピーの水槽に肉食魚を入れる場合
メリット
- グッピーが自然な環境で泳いでいる状態で捕食が行われるため、稚魚が逃げ場を求める行動など自然観察ができる。
- グッピーを別水槽に移す手間がない。
デメリット
- 肉食魚がグッピー成魚も攻撃する可能性がある。
- 肉食魚がグッピー水槽の水質や環境に合わない場合、ストレスや病気の原因になる。
- 一時的に肉食魚を戻す際に移動ストレスがかかる。
肉食魚の水槽にグッピーを入れる場合
メリット
- 肉食魚が慣れた環境で捕食するためストレスが少ない。
- グッピーを与える量やタイミングを調整しやすい。
- グッピー水槽に肉食魚を入れないため、グッピー成魚が被害を受けにくい。
デメリット
- グッピーを捕まえて移動させる手間がある。
- 水合わせが必要な場合があり、短時間でもグッピーに負担がかかる。
結論としては、基本的には「肉食魚の水槽にグッピーを入れる」方法が管理しやすく安全です。
ただし、観察や演出を重視するなら短時間だけ肉食魚をグッピー水槽に入れる方法もありますが、その際は成魚への被害や環境差に十分注意しましょう。
その他のグッピーが繁殖しすぎた時の対処法・予防法

肉食魚にグッピーを与える事で繁殖しすぎを解消する方法を解説してきましたが、諸事情で肉食魚の選択肢が難しい場合もあるでしょう。
その場合は以下のような方法で対処を検討してみましょう。
親グッピーに餌を与えない
空腹に耐えかねて親グッピーが稚魚を食べることで子グッピーの数を減らすことができます。
ちょっと残酷なようですが、自然界では普通に行われている事です。
自分でゴミ箱に入れる
可哀そうですが、放っておくとさらに増えます。
土に埋めてはいけませんよ。
生まれてきた命に罪はありませんが、管理しきれないのであれば自分で責任をもって対処しましょう。
最初からオスメス分けて飼育
これが一番安全です。
物理的に交尾しなければ稚魚は生まれません。
水槽内の仕切り(セパレーター)を使用すれば1つの水槽でオスメス分けての飼育が可能です。
グッピーが繁殖しすぎたら川に放流しても良い?

グッピーが繁殖しすぎたからと言って川に放流しては絶対にダメです。
グッピーは元々日本には生息していない外来種と呼ばれる種類。
放流することにより、グッピーが対応できず死んでしまったり、日本本来の生態系を壊すことになりかねません。
外来種の放流問題で有名なのがブルーギルですね。
ブルーギルは特定外来種と呼ばれ、その繁殖力や雑食性から日本の生態系に脅威を与えています。
そこから「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が策定されました。
釣り人がブルーギルを釣り上げても再放流してはいけない、放流が発覚した場合は罰金が科せられます。
話はグッピーに戻りますが、グッピーも同じようなことが起こる可能性があります。
飼いきれないからと言って安易な気持ちで放流しては絶対にいけません。
グッピーが繁殖しすぎた時は引き取りをしてくれる場所を探す

食べさせるのは可哀そうだと思う方、もしかしたら購入店舗がグッピーの引き取りを行っているかもしれませんよ。
アクアショップでは増えすぎたグッピーの引き取りをしてくれるところも存在。
引き取り後に販売するのか、他の魚の餌にするのかは不明ですが、ショップが引き取ってくれるならば是非利用した方が良いですね。
引き取りをしていないショップもありますので、断られたら素直に諦めて別の方法で対処しましょう。
欲しいという知人がいればもちろん譲渡しても◎
知っている人が大事に飼育してくれるならばうれしいですよね。
その時かならずグッピーが繁殖しすぎる、ということは伝えておきましょう。
【番外編】増えすぎたグッピーを人間が食べるという選択は?
グッピーが増えすぎて困ったとき、「いっそ自分で食べてしまうのはどうだろう?」と考える方もいるかもしれません。確かに、魚は魚。そう思うのも無理はありません。
しかし結論から言うと、家庭で飼育していたグッピーを人間が食べるのはおすすめできません。
グッピーは食用として飼育されている魚ではなく、観賞用として繁殖・流通しています。
そのため、飼育環境で使用した水質調整剤や薬品、餌の成分によっては、体内に有害物質が蓄積している可能性があります。
これを人間が摂取すれば、健康リスクにつながる恐れがあります。
また、体が小さいため食べごたえがなく、調理も非常に手間がかかります。
骨も細かく、内臓の処理もしづらいため、現実的な食材としての利用はほぼ不向きです。
なお、世界には「グッピーを養殖して魚粉に利用する」研究や、「非常食として小型魚を活用する」プロジェクトも存在しています。
今後、研究が進めば何らかの用途が広がるかもしれませんが、少なくとも現時点では、観賞用グッピーを家庭で食べるのは控えるのが賢明です。
グッピーの増えすぎ対策は、やはり肉食魚との混泳や引き取り先の検討、繁殖予防などの方法をとるのが、安全で現実的な選択肢と言えるでしょう。
グッピーが繁殖しすぎた際の対処法【まとめ】
グッピーは繁殖力が非常に高いため、飼育環境を放置するとすぐに数が増えます。
放流は生態系への影響から絶対NGです。引き取りや予防策を組み合わせて、最後まで責任を持って管理しましょう。
増えすぎ対策を知っておけば、グッピーとの暮らしを長く安全に楽しめます。