
「日本に野生のフェレットはいるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
実際には自然界に野生のフェレットは存在せず、もし見かけたならそれは飼い主から逃げ出した個体です。
本記事では、野生化したフェレットが食べ物や住処をどう確保しているのか、さらに日本で起こり得るリスクについても解説します。
日本には野生のフェレットはいるの?

フェレットの原種となるヨーロッパケナガイタチは、今でもヨーロッパで野生種が生息しています。
しかしフェレットは人間が飼育するためにヨーロッパケナガイタチを家畜化した種類なので、自然界に野生のフェレットは存在しません。
日本で野生のフェレットが存在するとしたら、それは人間が飼いきれずに捨ててしまったか、あるいは逃げ出してしまった野良フェレットということになります。
しかし、ほとんどのフェレットは生まれて間もなく去勢・避妊手術を受けているので、繁殖能力はほぼありません。
最近では手術を受けていないノーマルフェレットも増えてきていますが、メスのノーマルフェレットの場合、発情期に交配できないと、エストラスという病気になって死んでしまいます。
自然界に野生のフェレットが存在しないという条件では、簡単にオスとメスが出会うことはできず、繁殖して増えるということは事実上難しいことになります。
野生化したフェレットの住処や食べ物は?

フェレットは肉食動物です。
ネズミなどの小動物や、昆虫などを食べて生き延びることは可能です。
フェレットは食べ物にこだわりがある子が多く、そういった生き物をいきなり食べるようになるかどうかは疑問ですが、ヨーロッパケナガイタチの習性を本能的に受け継いでいる場合は、小動物を襲う可能性も否定できないでしょう。
また、小さくて動く物に反応する性格なので、反射的に追いかけることがあるかもしれません。
そういう意味では、どこかの家に忍び込み、ウサギや鳥を襲ってしまうことも考えられることだと思います。
北海道ではフェレットが「特定移入動物」に指定されています。
「特定移入動物」とは、人に対して危害を加える動物という意味は持ちません。
ただし、野生化することで生態系を乱す恐れがあるということで、飼い主が無闇に捨てることがないよう、道内で管理する目的で指定されています。
フェレットがもし野良になってしまった場合、繁殖能力はほとんどないものの、野山のウサギやリスなどの小動物、鳥などを襲い、希少な固有動物達が危険にさらされると考えられているようです。
キャットフードも主食になり得る

私の家の周りで、数年前にフェレットの目撃情報がありました。
近くの緑道にフェレットがいたらしいのです。
この緑道は野良猫が多く、毎日朝晩、餌をあげに来る人がいました。
フェレットはドッグフードは身体に合いませんが、キャットフードは日常的に与えられる子も多いので、緑道に住み着いたフェレットは、そのキャットフードを食べるためにその場を住処にしていたのではないかと思います。
どんなところを住処にしている?

物置の下や、枯葉がたくさん集まっている場所などに潜り込んでいるのではないでしょうか。
あるいは、食べ物の匂いにつられて、ゴミ捨て場やスーパー裏の空ダンボールの中に潜んでいることもあるかもしれません。
野良猫であれば、意外に堂々と道端を歩いていたり、車の上で寝ていたりして目に付きやすいし、人間も、「猫だ」とすぐ認識できるので、その気になれば保護することもできます。
しかしフェレットは人目に付かない場所を住処にして、必要な時だけ出てくる場合も多いように思います。
もしも人間が突然フェレットを目の前にしても、まず間違いなく、「何だコレ?!」と面食らってしまうのではないでしょうか。
明らかに猫よりも小さくて、少し鼻も出ていますから、「巨大なネズミ?」とか、尻尾が長いのでハクビシンと間違える可能性もあり、恐らくほとんどの方が手を出せないはずです。
そして人間がひるんでいるうちに、フェレットも驚いて逃げてしまうでしょう。
なかなか見える場所には姿を現さず、人間に発見されてもその人がフェレットをよく知らない人だと手をだすことが考えられないことから、一度逃げたり捨てられたりしたフェレットは、なかなか保護されないのではないかと思います。
日本でフェレットが野生化した場合に考えられる3つのリスク

外来生物としての影響
日本に本来いない動物が定着すると、生態系のバランスを崩す可能性があります。
フェレットは小動物を捕食するため、野山にすむリスや野ウサギ、希少な鳥類が被害を受ける恐れがあります。
特に離島や自然公園など固有種が多い地域では、その影響が大きくなると考えられています。
感染症の拡大
野良フェレットは衛生環境が整っていない場所で生活するため、ダニやノミなどの外部寄生虫に感染するリスクが高まります。
そこから猫や犬、さらには人間に病原体が広がる可能性もあります。
現在、日本ではフェレット由来の感染症の報告は多くありませんが、野生化が進めば予測できないリスクが生まれかねません。
人とのトラブル
フェレットは人懐っこい一方で好奇心が強く、食べ物を求めて住宅街に入り込むことがあります。
ゴミ袋を荒らしたり、小型のペットを襲ったりすることがあれば、地域住民にとって迷惑動物と見なされるかもしれません。
こうしたトラブルが重なれば、「野良猫問題」と同じように社会的な議論が起こることも考えられます。
日本のフェレットネットワークは素晴らしい!

フェレットは暑さにとても弱い体質なので、気温が30℃以上に上がる地域では、すぐに死んでしまいます。
もしもご自分のフェレットが逃げたら、ネットで呼び掛けたり貼り紙を出したりして、大声を上げて探してください。
フェレットの情報網はとても密で、フェレットの飼い主であれば、その危険性を誰もが知っています。
私も緑道でフェレットを目撃したという話を聞いた直後に近所でフェレットの捜索願いの話をある方のブログで見かけて連絡を取ったところ、翌日にそのブログ主さんが緑道にやって来ました。
その方もフェレットの捜索願いを見て自分のブログで拡散しただけだったということですが、ひとりぼっちで逃げ惑うフェレットが心配でたまらなかった様子です。
残念ながらフェレットは見つかりませんでしたが、フェレットの飼い主さんって本当に熱いです。
逃げた地域の方が真剣に探してくれます。
お礼もしっかりしなくてはいけませんが、逃げたら全力で訴えてください!
たくさんの人の力を借りてください!
あなたのフェレットが小動物を食べ物にしてしまう危険動物になる前に、そして、ひとりぼっちで怯えたまま命を落とすことのないように、早く助け出してあげてくださいね。
野生のフェレットは日本にいるの?【まとめ】
フェレットは野生には存在せず、野生化しているのは人間の手を離れた個体です。
住処や食べ物を求めて生き延びる力を持つものの、自然や人との共生は難しく、放置すれば生態系や地域社会に影響を与える可能性があります。
もし逃げてしまったら一刻も早く捜索し、仲間の飼い主と協力して保護することが大切です。