
「ハムスターに牛乳を与えても大丈夫?」と疑問に思う飼い主さんは多いはず。
実は牛乳は下痢の原因となり、命に関わるリスクがあります。
本記事では牛乳がNGな理由と、代わりに与えられる安全な選択肢について詳しく解説します。
ハムスターに牛乳を与えてはいけない理由

牛乳は本来、子牛の成長を支えるための栄養源です。
人間が飲めるように加工・販売されている市販の牛乳を、ハムスターに与えるのはとても危険です。
その理由は、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)にあります。
乳糖を分解するには「ラクターゼ」という酵素が必要ですが、ハムスターはこれを十分に持っていないため、消化不良を起こしやすいのです。

結果として下痢を引き起こし、体温低下や脱水につながり、最悪の場合は命に関わることもあります。
人間でも乳糖不耐症の人が牛乳でお腹を壊すことがありますが、体の小さなハムスターではそのリスクがさらに大きくなります。
赤ちゃんハムスターに必要なのは「母ハムスターの母乳」であり、市販の牛乳は不要です。
授乳期以外の成体に対しても同様で、牛乳を与えるメリットはなくデメリットしかありません。
ハムスターにヨーグルトを与えてもいい理由と注意点

ハムスターに市販の牛乳は与えてはいけませんが、同じ乳製品でもヨーグルトであれば少量なら与えることができます。
ただし、与え方には注意点があり、正しく与えないと牛乳と同じように下痢を引き起こす危険があります。
ヨーグルトを与えるときの量と種類
ヨーグルトも元は牛乳です。
そのため与えすぎると消化不良になりやすく、下痢の原因になります。
与える目安は 3〜5日に1回、1g程度 にとどめましょう。さらに、選ぶ種類も重要です。
砂糖や香料が入った製品は避け、無糖で水切りしたプレーンヨーグルトを選ぶことが必須です。
ヨーグルトを与えるメリット
ヨーグルトの大きなメリットは、腸内環境を整えるビフィズス菌を摂取できることです。
小動物にとって腸内バランスは健康維持の要ですが、下痢や軟便を繰り返すとせっかくのビフィズス菌も体外へ流れてしまいます。
適量を守れば消化のサポートや健康維持につながります。
ハムスターの種類による違い
ヨーグルトは冷蔵庫から出した直後は冷たいため、体を冷やしてしまうリスクもあります。
特に中東原産の ゴールデンハムスターは冷えに弱く、下痢を起こしやすいためヨーグルトは不向きです。
一方で、寒冷地に適応している ジャンガリアンハムスターでは比較的冷たさに強く、少量であれば与える飼い主さんも多いようです。
ハムスターに与えても大丈夫?注意が必要な牛乳製品
低脂肪乳や無乳糖牛乳はどうなの?

人間用に販売されている低脂肪乳や無乳糖牛乳は、「脂肪が少ないから大丈夫」「乳糖が少ないなら平気では?」と思われがちです。
しかし、ハムスターの消化器は牛乳自体を想定していません。
たとえ乳糖を減らしても下痢のリスクは残り、健康被害につながる可能性があります。
よって通常の牛乳と同じく与えるべきではありません。
豆乳やアーモンドミルクなら?

牛乳の代わりに植物性ミルクを検討する人もいます。
豆乳やアーモンドミルクは乳糖を含まないため一見安心に思えますが、実は大豆イソフラボンや添加物がハムスターに負担となることがあります。
甘味料や香料が加わっている商品も多いため、こちらも基本的には与えない方が安全です。
与えるなら専用ミルク一択

どうしても乳製品のような栄養補給を考える場合は、ペットショップや通販で販売されている小動物用のミルクを選びましょう。
これらは乳糖を分解済み、または配合を調整してあり、赤ちゃんハムスターや高齢個体に配慮して作られています。
人間用の加工乳や代替ミルクを試すのではなく、必ず専用品を与えることが重要です。
ハムスターに与えてもいい「小動物用ミルク」とは?

牛乳はハムスターに絶対NGですが、ペットショップや通販では 「小動物用のミルク」 が販売されています。
これは人間用の牛乳とは違い、乳糖を分解済み、または含有量を調整したハムスターやウサギなど小動物向けに作られた専用品です。
牛乳の代わりに与えられる唯一の安全なミルクといえます。
赤ちゃん・高齢ハムスターに与える場合

赤ちゃんハムスター
母ハムスターが育児放棄をしたり、母乳が出ないときは、小動物用のミルクで人工保育を行うことがあります。
ただし与え方には専門的な知識が必要で、哺乳瓶やシリンジを使い、体重や成長段階に合わせて適量を与える必要があります。
誤った方法は命に関わるため、必ず獣医師や飼育書を参考にしましょう。
高齢ハムスター
年齢を重ねたハムスターは食欲が落ち、固形のペレットを食べにくくなることがあります。
その際、少量の小動物用ミルクを補助的に与えると、低血糖を防ぎ体力維持に役立ちます。
与える際は冷やしたままではなく、室温程度に戻してからシリンジで与えるのが理想です。
小動物用ミルクの主な原材料
- 乳タンパク質(カゼイン・ホエイ)
牛乳由来のタンパク質を分解・加工し、消化吸収をしやすく調整しています。乳糖は極力カットされています。 - 植物性油脂(大豆油・ココナッツオイルなど)
小さな体でも効率よくエネルギーを摂れるように配合されています。 - 糖質(ブドウ糖・マルトデキストリンなど)
乳糖ではなく、ハムスターでも消化できる糖質が利用されています。 - ビタミン・ミネラル
成長や老化に伴って不足しがちな栄養素(カルシウム・ビタミンA・D・Eなど)が強化されています。
牛乳との大きな違い
市販の牛乳は乳糖が多く、ハムスターの消化器には負担になります。
一方、小動物用ミルクは乳糖をほぼ除去し、栄養バランスを調整しているため、赤ちゃんハムスターや高齢期の栄養補助として利用できます。
ハムスターにヤギミルクは与えても大丈夫?

牛乳がハムスターにとって危険であることは説明しましたが、「ヤギミルクなら大丈夫?」と考える飼い主さんもいるかもしれません。
ヤギミルクは牛乳に比べて乳糖が少なく、人間の乳糖不耐症対策として利用されることもあります。
しかし、ハムスターにとっては ヤギミルクも基本的にはNG です。
乳糖が完全にゼロではないため、やはり下痢や体調不良を起こすリスクが残ります。
体の小さなハムスターはわずかな量でも大きな影響を受けてしまうため、安全性は担保できません。
小動物用のヤギミルク製品ならOKの場合も
近年では犬や猫用に販売されている「ペット用のヤギミルク」があり、乳糖を調整してあるものも存在します。
もしハムスターに与えるなら、必ず小動物用に成分調整されたヤギミルク を選びましょう。
与える目的は赤ちゃんや高齢ハムスターの栄養補助に限られ、成体の健康維持に与える必要はありません。
与える際の注意点
- ごく少量(数滴〜1g程度)をシリンジなどで与える
- 冷たいまま与えず、常温に戻してから使用する
- 下痢や体調不良の兆候があればすぐ中止する
ハムスターにミルクを与える方法

牛乳は危険ですが、育児放棄された赤ちゃんハムスターや、高齢で食欲が落ちた個体には 小動物用ミルク を補助的に与えることがあります。
その際は、以下の与え方を守ることが大切です。
与える際の手順
- ミルクを準備する
粉末タイプの場合は、パッケージの指示に従ってぬるま湯で溶かします。冷たい状態ではお腹を壊すため、必ず常温〜人肌程度に調整します。 - シリンジやスポイトを使用
お皿に入れると誤って足や体を濡らし、体温低下や不衛生の原因になるためNGです。シリンジやスポイトで少しずつ口元に垂らし、ハムスターが自分でなめ取る形で与えましょう。 - 与える量を守る
赤ちゃんの場合は体重に応じて数滴〜1ml程度を数回に分けて。高齢のハムスターには、食欲の補助として1回あたり数滴で十分です。
与えるときの注意点
- 与えすぎは下痢や肥満の原因になる
- 与えた後は口や体が濡れていないか確認する
- 開封後のミルクは長期保存せず、衛生管理を徹底する
ハムスターに牛乳を与えても大丈夫?【まとめ】
ハムスターに人間用の牛乳や無乳糖牛乳、豆乳などを与えるのは避けましょう。
安全なのは専用の小動物用ミルクのみ。ヨーグルトを与える場合も量と種類に注意が必要です。
健康維持には基本のペレットと新鮮な水が最適ですので、無理に乳製品を与える必要はありません。
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