
ベタを飼っていると「オスとメスは一緒に飼えるの?」という疑問がよく出てきます。
実はベタは闘争心が強く、混泳は簡単ではありません。
比較的穏やかな性格のメス同士ならOKと言う意見もありますがベタのオスとメスの混泳はどうなのでしょうか?
ただし、繁殖をさせたい場合にはオスとメスを同じ水槽に入れる必要があります。
本記事では混泳の可否や繁殖方法、さらにはオスとメスの見分け方まで詳しく紹介します。
ベタのオスメスの混泳はおすすめしない

ベタのオスとメスの混泳は出来ますが、繁殖目的でなければおすすめしません。
ベタは気性が激しく、混泳させると他の観賞魚をほぼ確実に襲います。
故にベタは混泳がおすすめされていない観賞魚なのです。
ならばベタ同士なら大丈夫なのでは?と思うかもしれませんが、ベタ同士でも同じです。
ベタは和名『闘魚』闘う魚なので、闘ってしまいます。
ベタのメスは比較的大人しい性格が多いようで、稀に混泳させても他の観賞魚に無関心なベタもいるようですが、基本的に混泳させてはいけないものと覚えましょう。
繁殖目的で混泳させたとしても、オスのベタがメスのベタを襲います。
ヒレがぼろぼろになったり、見ていてかわいそうになるかもしれませんが、繁殖の為というのであれば少し辛抱して様子を見てみましょう。
どうしてもベタのオスとメスを混泳させたい場合の条件

広さとレイアウトが最重要
ベタ同士を同じ水槽で混泳させる場合、最低でも60cm以上の水槽が推奨されます。
狭い水槽だと逃げ場がなく、必ずケンカになります。
さらに、流木・岩・水草を立体的に配置して「死角」や「隠れ家」を多く作り、お互いが視界に入らない時間を増やすことが混泳成功のカギです。
メスを複数入れて群れにする
オス1匹に対してメスを1匹だけ入れると、オスが執拗にその1匹を追い回し、ほぼ確実にケガや死亡に繋がります。
そこでメスを3〜5匹以上入れて群れにすることで、攻撃が分散され、1匹に集中攻撃がいかなくなります。
これはベタのブリーダーや海外の飼育者も実際に行っている方法です。
オスの性格と個体差を見極める
同じオスでも「超攻撃的タイプ」と「比較的おとなしいタイプ」がいます。
繁殖用に改良されたショーベタやハーフムーン系は気性が荒い傾向が強く、一方でプラカット系は比較的穏やかと言われます。
混泳をどうしても試すなら、気性が穏やかなオスを選ぶのが大前提になります。
最初は水槽に慣れさせてから合流させる
いきなりオスとメスを同じ水槽に入れると、テリトリー意識が働いて大乱闘になる可能性が高いです。
まずはオスを新しい水槽に1週間ほど慣れさせ、その後にメスを追加する流れが成功率を上げます。
サテライトや仕切りを活用する
どうしても同じ水槽で飼いたい場合は、アクリルの仕切り板や繁殖用ネットを利用して物理的に区切るのが安全です。
水槽の水は共有できるため、見た目は「同居」しつつも直接攻撃は防げます。
繁殖目的ではない場合は、この方法が最もリスクが低いといえます。
常に観察し、異変があれば即隔離する
混泳を試す場合、最初の数時間〜数日は特に要注意です。
オスがヒレを広げて威嚇したり、メスを追い回す行動が続く場合はすぐに隔離しなければなりません。
「一緒に飼えた」と思っても、数日後に急に攻撃が始まるケースもあるため、予備の小型水槽や隔離ケースを常備しておくことが必須です。
ベタの繁殖方法

用意するもの・事前準備
・大きめの水槽(出来れば40cmほど、最低30cm)水の高さは15cmほどにします。
・ヒーター
・浮き草
・ベタを1匹入れられるようなもの(ガラス瓶などで良い)
・産まれた稚魚を飼育できる水槽・環境
まずオスのベタは日頃泡巣を作っている事が大前提(泡巣を作るオスは発情期・繁殖に適している)
そしてメスのベタはお腹がふっくらしていて、白い卵子がすけて見える個体を用意。

まずは、お見合いをさせる
ベタ♂に♀とお見合いさせてみた!!
— びちこ💪🏿 (@ayunee__0602) August 16, 2024
求愛行動してます🥹♡
入れ物買い換える予定で水草はみ出てるけどw pic.twitter.com/vfgdQYhxmQ
いきなり混泳させずに『お見合い』させます。
お見合いとはオスのベタを繁殖用水槽へ、メスのベタを一度用意した容器に入れて水槽越しにお互いを見せます。
一日ほどお見合い、以下の様子が見られたら繁殖可能です。
オスが泡巣をおおきく作ったら発情サイン。
繁殖させる上でこの泡巣はとても重要です。
エアレーションなどで泡巣が壊れてしまうようならば一度切ってしまっても良いです。
繁殖水槽へ入れる
準備が整ったらそっとメスを繁殖用水槽に入れましょう。
そして混泳させたら餌は入れません、ここで絶食させておかないと食欲に負けて産んだ卵を食べてしまう可能性があるからです。
ベタのオスとメスを混泳させた直後は、オスがメスを追いまわす・つつくなど可哀そうになってきますが、そっと見守ります。
この時逆にメスのベタがオスのベタを追い回すようであれば、繁殖は失敗です。
交尾
ベタの交尾とオスの卵の世話シーンです。#ベタ pic.twitter.com/yRtRIwT7ES
— つのとと (@roppy_20250614) July 5, 2025
1日~3日ほどオスのベタがメスのベタに巻き付き交尾、成功するとメスが卵を産み落とします。
その後ベタのオスがせっせと泡巣に卵を運ぶ様子が見られますよ。
卵が出てきた瞬間から良いパパ感が出ていますね。
交尾は何十回も見られ、パパが卵を運ぶシーンも何十回と見られます。
そして交尾・産卵が終わったら、オスは泡巣の下で稚魚が出てくるのを待ちます。
メスはオスから追い払われます。
良いパパではあるが、良い夫ではなさそうですね。
出産が終わればメスは隔離
メスのベタは出産の負担が大きく、弱っていますので別の水槽に戻してケアしましょう。
繁殖が失敗している際は中止
繁殖が失敗している場合は中止の決断も必要です。
以下のような場合は繁殖が失敗していますので、一度中止にしましょう。
・メスがオスを追い回す
・一週間たっても交尾しない
・明らかにおおきなダメージを追って弱っている
ベタ同士にも相性があったり、交尾をしようとしても巻き付けないオスが存在するようです。
その場合は無理せずに2週間程度様子を見て、お見合いから繁殖しなおしましょう。
そして、繁殖が成功した場合は稚魚が100匹程度産まれます。
最初は小さな稚魚ですが、だいたい3か月程度で成魚になります。
責任をもって大事にしてください。
繁殖前に引き取り手や、自分で育てるのであればきちんと環境を整えてあげましょう。
ベタの混泳で起こりやすいトラブルとは?

メス同士の混泳でも油断できない
「オスは気性が荒いから単独飼育」とよく言われますが、実はメス同士でも争いが起こることがあります。
特に水槽が30cm以下など狭い環境では、強いメスが弱いメスを追いかけ回し、ヒレや体表を傷つけてしまうケースがあります。
さらに逃げ場がない状態が続くと、弱い個体は餌を食べられなくなったり、ストレスで免疫が落ちて病気にかかりやすくなるのです。
メス同士をどうしても混泳させたい場合は、十分な水草やシェルターを入れて隠れ家を確保することが最低条件になります。
オスがメスを傷つけすぎるリスク
繁殖を目的としてオスとメスを同居させると、ほとんどの場合オスがメスを追いかけ、ヒレをかじったり体を突いたりします。
これは自然な求愛行動の一部ですが、相性が悪いとメスがボロボロになって衰弱し、最悪の場合は死んでしまうこともあります。
観察中にメスがあまりにも逃げ場なく攻撃されている場合は、繁殖を中止してメスを隔離するのが正しい判断です。
「繁殖=必ずうまくいく」とは限らないため、メスの体調を第一に考えることが大切です。
卵や稚魚の共食い問題
混泳トラブルの中で最も多いのが「卵や稚魚を食べてしまう」ケースです。
オスが丁寧に泡巣へ卵を運ぶ姿は感動的ですが、途中で食べてしまうことも少なくありません。
また、メスを一緒に入れたままにしておくと、メスが卵を狙って食べてしまうこともあります。
そのため、産卵が確認できたら速やかにメスを水槽から出し、オスだけで卵を守らせるのが基本です。
さらに稚魚が自由に泳ぎ始めた後は、オスも稚魚を捕食してしまう可能性があるため、タイミングを見てオスも隔離します。
混泳を安全に行うためのポイント
もし混泳を試みるなら、広めの水槽(40cm以上)を用意し、水草や流木などで仕切りを作って「物理的に距離を取れる環境」を整えましょう。
また、常に目を離さず観察し、激しい攻撃が見られた場合にはすぐに隔離できるようにサブ水槽やケースを準備しておく必要があります。
特に初心者が「ちょっとだけ試してみよう」と安易に混泳させるのは非常に危険なので、基本は単独飼育を徹底するのが安全です。
ベタのオス・メス見分け方

ベタのオスの見分け方
・ヒレが立派(体長の2~3倍の大きさと言われている)
・明るい色
ベタのメスの見分け方
・ヒレが短い(体長と同じ位)
・全体的にくすんだ色
以上が見分け方になりますが、ヒレの短いオスベタも稀に存在するためわからないようであればペットショップの店員さんに聞いてみるのも良いと思います。
ベタのオスメスの混泳について【まとめ】
ベタのオスとメスの混泳は原則おすすめされませんが、広い水槽や複数のメスの導入、レイアウトの工夫によって一定の成功例があります。
ただし必ず個体差があり、最終的には「相性しだい」です。
繁殖目的以外で混泳を試す場合はリスクを理解し、失敗時にすぐ隔離できる環境を整えておくことが大切です。
安全に管理できれば、美しいオスと複数のメスが同居する姿を楽しめるかもしれません。